退職届や退職願は、看護師のみならず退職する際に必要な書類となります。
初めての退職をする看護師は、「何をどう書いていいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
数回か退職した経験がある看護師でも「あれ?退職届や退職願の書き方が分からない」という声をよく耳にします。
今回は、退職届や退職願に関する書き方や例文を含めて疑問について解説していきます。
目次

1.看護師の退職届と退職願の違い

「退職届」と「退職願」は同じにされがちですが、意味が違うので注意しましょう。
退職届と退職願の違いは以下の通りです。
退職届 | ・退職を届け出るもの (一度届けたら自分では撤回できない) ・自主退職となる |
退職願 | ・退職を希望している意思表示をするための書類 ・合意のもと退職となる |
上記のような違いがあります。
「退職願は退職させてもらえませんでしょうか?」という意味合いで、退職の承認をとるという意味があります。一方退職届は「退職します!」と断言した意味合いとなります。
(退職届は、断固たる決意で退職決定を示す書類であり、退職願は自分が退職を希望している旨を伝える書類になります。)
また、「退職願」や「退職届」を提出しなくても退職することは可能です。
(1)退職届と退職願の看護師の使い分けについて
では、退職届と退職願はどのように看護師として使い分けたら良いでしょうか。
- 退職の相談が終わっている場合は「退職届」を提出
- これから退職の相談をする場合は「退職願」を提出
上記の使い分けで行うのが一番無難といえます。
退職願と退職届の違いを分かっている看護師の上司は少ないため、まずは退職の相談を上司にすることが一番無難といえます。
また、退職届は退職願と違い、一度届けたら自分では撤回できない効力を持つので、その点だけは注意が必要です。(退職願も雇用主に了承された場合は退職届と同様となるため、撤回は困難になります。)
現場での意見!どっちが一般的?
看護師の場合、書面を出す前に師長などの上司に相談しているケースが一般的で、どちらを出しても意味は一緒ですが、退職願の方が「下からお伺いを立てる」というソフトな印象になるため、退職願と書いて提出するのが無難なようです。
(2)退職届と退職願はどちらかを提出すれば問題ない
退職届と退職願に違いはあるものの、病院や施設にはどちらか一方の書類を提出すれば問題ありません。
(3)退職届・退職届は必ず提出する必要があるか
退職届・退職願ともに、必ず提出する必要はありません。
退職願、退職届は提出しなければならないという法的な決まりはないため、出さなかったからといって退職できない、あるいは法に触れるということはありません。
2.退職届と退職願はなぜ提出する理由

退職届や退職願は必ず提出した方が良いといえます。
その理由としては、昨今看護師が病院・施設ともに不足しており激しい引き止めに合うケースが後を絶ちません。
そのため、「退職を言った」「言わない」などのトラブルや「強引な看護師の引き止め」を防ぐためにも書面での提出は行っておいた方が良いといえます。
また、以下で説明する「民法の労働契約法を適用」するために書面での提出は行っておいた方が良いでしょう。
雇用契約と「民法の労働契約法を適用」について
雇用契約は病院側(雇用主)と看護師(労働者)とで結んだ契約になりますが、民法では労働者を保護する目的で、「労働契約法」というものが存在します。
そのため、病院側が2か月前に申し入れないと退職が出来ない旨の記載があったとしても、民法では退職の意思表示(退職願または退職届)の提出時から最短14日で退職することが可能になります。
3.看護師の退職届や退職願を郵送するのはあり?

入院中や病気療養中など、やむを得ない理由がある場合は郵送でも問題ありません。ただ、基本的に退職届、退職願共に手渡しで提出するのが一般的です。
また、法的に郵送したら駄目などの決まりは一切ありません。
(1)郵送の場合は内容証明付きで郵送しよう
郵送の場合は相手の手元にきちんと渡ったか、ただポストに出しただけではわかりません。
もしかしたら、「きちんと手元に渡っていたのに届いていないと言われてしまう」「本当に届いていない」という場合があるかもしれないため、郵便局で配送手続きをして内容証明証をもらっておきましょう。
(2)退職届・退職願が届いているか確認の連絡をしよう
3日から1週間経った頃に施設へ連絡して、内容証明証を参照しながら届いているかの確認をすると良いでしょう。
もしくは、速達のように手元に届いた旨を自分が確認できるような方法で発送することが理想です。
(3)退職届の入っている封筒に住所は書かない
郵便で出す際には、退職届の入っている封筒に直接住所を書かず、退職届の入っている封筒よりさらに一回り大きい封筒を用意してそこに住所を書くようにしましょう。
(4)郵送で退職届を提出する場合は添え状を忘れない
郵送で退職届を提出する際に1番大切なのが添え状です。
退職届には、決まった形式の文章のみを書き、個人の見解などは不要となるため、添え状に今回手渡しができなかった理由とそれに対する謝罪の言葉を添えて郵送するようにしましょう。
添え状を書くことで好感度も上がり、円満退社も期待できます。添え状は、退職届の入っている封筒に入れず、もう1つ準備した一回り大きい封筒の方に入れておくと良いでしょう。
4.退職届・退職願の提出先とタイミング

次に退職届・退職願の提出先についてと、渡すタイミングについて説明していきます。
(1)退職届と退職願の提出先は師長や看護部長が一般的
退職願、退職届の提出先は、病院長や病院を取りまとめているトップとなります。
ただし、看護師がわざわざ病院長に退職届を手渡しする例はほとんどなく、
- 師長に渡す
- 看護部の部長に渡す
というのが一般的になります。
注意点としては、退職届に書く宛先は病院長にしておくのが一般的です。
(2)退職届・退職願提出のタイミングについて
退職願と退職届の性質上、提出するタイミングは異なります。
退職願 | (約退職日の2ヶ月前) 上司への相談と共に提出 |
退職届 | (約退職日の2ヶ月前) 上司への相談後、提出 |
退職届は誰にも相談せずいきなり出すものではなく、まずは直属の上司である師長に相談し師長の了承が得られた下で提出します。
退職願は、相談と共に持っていくことが一般的ですが、書面で提出すると驚く上司も多いため、やはり退職願も相談してからの提出といえいます。
退職日2ヶ月前の理由について
一般的な病院や施設の雇用契約は、2か月前に退職を申し出るように雇用契約書に記載がある場合が多いです。
円満退職のために、辞める日の2か月前までには退職の申し出をしましょう。
また、雇用契約の内容は病院・施設によって異なるため、確認しておきましょう。
(3)看護師転職する場合の退職願と退職届のタイミングについて
看護師として転職する場合の退職願と退職届のタイミングについては以下の通りです。
- 転職先の病院・施設の内定を貰う(2ヶ月前~4か月前)
- 内定が出たら退職の旨を上司に相談(または退職願の提出)
- 上司からの了承が出れば退職届を提出(退職願を提出している場合は不要)
- 退職
退職日の決定は病院や施設によって異なるので、内定から2か月以上余裕を見ておきましょう。
5.看護師の退職願、退職届の書き方と例

看護師の退職願や退職届の書き方について説明していきます。
退職届と退職願の書き方のルールを確認しよう
手書きorパソコン | 手書き、パソコンどちらでも構わない (手書きの場合はボールペン、万年筆を利用) |
縦書きと横書き | 縦書きと横書きどちらでも構わない |
用紙の大きさ | A4用紙が一般的 |
封筒 | 無地の便箋を利用する |
上記が一般的な内容になります。
病院では手書きを求められる可能性が高い
(注意)「インターネット上でフォーマットが作成されており、簡易だから」という理由でパソコンを使用して書こうとする看護師もいます。
私の体験談ですが、パソコンで退職届の作成は、ダメではありませんが、恐らく多くの病院で手書きの文書の提出を求められます。
看護師の退職願と退職届の書き方とサンプル
退職願や退職届は、いわゆる普通の手紙のようにあれこれ内容を書かなくても、書くべき内容は決められています。
退職届と退職願のサンプルは以下の通りです。
<<退職願>>
<<退職届>>
(1)1行目「退職願または退職届」と記載
まずは1行目に退職願・退職届と書きます。送り仮名は不要です。
(2)2行目「私事(わたくしごと)」と記載
2行目の下の方には「私事(わたくしごと)」または、「私儀(わたくしぎ)」と書きます。
(3)3行名「一身上の都合により~」と記載
退職願 | 「この度、一身上の都合により、来たる平成○○年○月○日をもって退職したく、 ここにお願い申し上げます。」 |
退職届 | 「この度、一身上の都合により、来たる平成○○年○月○日をもって退職します。」 |
3行目には、「一身上の都合により退職します」ということを退職希望日、元号と年月日を添えて記入します。
(4)提出する日付と部署名・押印をする
名前の上に記載する日付は退職願、退職届を提出する日付になります。
(5)最高責任者の名前を記載する
医療法人であれば理事長など、病院・施設の最高責任者の名前を記載します。
退職願、退職届の封筒について

書き上げた退職届は、白い封筒(または無地の封筒)に入れ表面に退職届・退職願と大きく記入、裏面には所属部署(大体の方が看護部)と自信の名前を記入し、糊付けして提出します。
退職届・退職願を書く際の注意点とは
退職届や退職願を書く際に注意しておきたいことは、必要最低限の内容は必ず入れるということです。
どれか1つでも足りないと、やり直しをさせられることもありますので、必ず入れるようにしましょう。
中には伝えたいことがいろいろあるのか、辞めたい理由をつらつらと書き連ねる看護師もいるようですが、ここは一身上の都合で十分ですのでプライベートな事情をあれこれ書かないように注意しましょう。
最後に
退職届・退職願は、難しく考えなくても意外に内容自体はシンプルで、手書きと手渡しで今までの感謝を表現することで円満退社が期待できます。
退職届・退職願を手渡しに行くことで、改めて上司たちが「自分のことをどのように考えてくれていたか」も分かる良いきっかけになるでしょう。
一社会人として、退職届・退職願は、しっかりと記入し提出するようにしましょう。
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