保育園で働く看護師の役割と仕事内容、働いた体験談

保育園で働く看護師の役割と仕事内容、働いた体験談
写真:shutterstock

近年、保育園での看護師求人が増えてきており、定時に仕事が終わりやすいことや、夜勤がないことから転職の際に選択肢のひとつとして考える看護師も多いのではないでしょうか。

私は、子ども好きなこともあり新卒時に小児専門病院への就職も考えましたが、まずは成人分野で知識・技術を身につけようと思い、小児看護は選びませんでした。

成人看護で様々な経験を積み、未経験の保育園を選び、保育園看護師として働きました。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 年齢/エリア:46歳/埼玉県
  • 経歴:公立病院、クリニック、訪問入浴、デイサービス、健診センター、保育園
  • 経験がある診療科:手術室、呼吸器外科、呼吸器内科、消化器外科、心臓血管外科、内視鏡・放射線検査
公立病院に14年間勤務し、その後はパートや派遣看護師として様々な現場を経験。現在はクリニックで看護師として活躍中。

その際の経験を元に、保育園看護師の役割、仕事内容、その他保育園で働いた看護師の事例などもまとめながら説明していきます。

1.看護師の役割

看護師の役割

写真:shutterstock

保育園で働く看護師の役割を大きく3つご紹介します。

 

(1)園児の健康管理

園児が安全で健やかに成長できるよう、看護の専門家として体調不良やケガの対応、感染症などの予防、健診の対応などが主な役割となります。

日々の視診やアレルギーや喘息・てんかんなど既往歴の把握や投薬管理、健診時には医師との連絡調整や保護者への連絡、健診後の報告など業務も多岐にわたります。

登園後の体調不良やケガの場合、必要があれば保護者へ連絡し状態によってはお迎えを依頼します。各保育園でマニュアルなどがあり、ある程度の基準があるため、保育士と相談しながら保護者と連絡を取ることも重要な役割です。

 

(2)健康指導

保育園の看護師は、毎月「保健だより」を発行し、季節に合わせた健康トピックスや家庭でできる食事・体力作りの情報などを発信します。

園内で感染症が発生した場合には、玄関などにリアルタイムで感染者数などを提示し、感染の兆候がある場合の登園は控えてもらうよう協力を求めることも大切な役割です。

 

(3)職員の健康管理・指導

園児の健康のためには保育士の健康が欠かせませんが、(実際に保育園に勤務しても感じましたが、)保育士の仕事もかなり心身への負担が大きいです。

保育に携わる人が感染症などにかかると、その影響はすぐに園児の健康にも関わってしまうので、体調不良時には無理しないような協力体制が必要です。

そのため、保育園で働く看護師は、職員の健康管理、指導も重要な役割の一つといえます。

看護師は、職員の既往歴などの情報を把握し、職員に変化がないか健康管理に気を配ります。

 

2.看護師の1日・スケジュール例

看護師の1日・スケジュール例

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私が働いた保育園での1日と、2人の看護師に1日のスケジュール例を規模別にご紹介します。

働くためのイメージが少しはつくのではないでしょうか。

 

(1)保育園看護師の1日(例)

保育園看護師の1日(例)

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看護師は0歳児クラスに入ることが多いようですが、私の園は1歳児からなので1歳児クラスの保育補助に入ることが多いです。

その日の予定やスタッフによって30分刻みで入るクラスが決められています。

9:00~乳児の保育補助・見守り・検温、全クラス視診

9時30分から各クラスに移動するため、それまでの時間は乳児と幼児に分かれて遊んでいるのを見守ります。

その間、乳児クラスで登園してきた園児の体温測定や皮膚の状態などを観察します。ひと段落したら幼児クラスに行き、健康状態や出欠状況、各部屋の温度・湿度の確認も行います。

9:30~保育補助

その日に入るクラスに移動し、荷物・着替えの整理やカリキュラム補助に入ります。散歩の準備や引率、工作などの補助を行います。

11:00~給食

給食準備と配膳、食事介助を行います。

11:30~昼休憩

休憩中でも園児の体調不良時には呼ばれます。

12:30~午睡見守り

寝かしつけと5分毎に呼吸状態や寝ている体位を記録します。

14:30~着替え、おむつ交換

午睡後の片付け、着替え後には体温測定も行い、連絡帳に記入します。

15:00~おやつ、保育補助

おやつ介助、片付け後は適宜おむつ交換や帰りの準備を行います。

16:30~事務作業

保健日誌の記入や各クラスの救急バッグやAEDの点検、健診の準備などの事務作業を行います。保育スタッフが少ない場合には、事務作業の時間がほとんど取れない日もあります。

 

(2)0歳児のクラスのみ:スケジュール例

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 年齢/エリア:34歳/神奈川県
  • 資格:看護師、保健師、養護教諭2種
  • 経歴:大学病院、献血ルーム、保育園、企業保健師
  • 経験がある診療科:産婦人科、乳腺外科、呼吸器内科・外科
大学病院にて勤務後、結婚を機に献血ルームや保育園看護師、企業保健師を経験。現在は子育てに奮闘中。

私は園庭なしの保育園で8時~17時の固定勤務で働いていました。

以下は、当時のある1日のスケジュールです。

7:45~ 出勤
8:00~ ・業務開始
・次亜塩素剤の希釈剤の作成(嘔吐・下痢の処理用)
8:10~~ 早朝の合同保育に入る
8:45~9:00 各クラスへの回診し園児の体調を把握
9:00~ ・その日のスケジュールを園長へ報告(※1)
・各クラスの体温計の整備(※2)
9:15~ 0歳児保育の補助に入る
10:30~ 0歳児の昼食の準備・介助
12:00~14:30 ・他の職員と交代で昼食休憩をとる
・連絡帳記入や制作の手伝い
・お昼寝の確認(※3)
15:00~ 0歳児のおやつの介助
16:00~ 事務仕事(ほいく便りの作成など)
17:00~ 特に何もない日は退社
(19:00) 全体会議(月に1回)
※1:朝から身体測定をする、午後に歯磨き指導をする、乳児・幼児の健診がある、などといったことを報告していました。
※2:各保育室の部屋に体温計があるため、小さいタッパーにアルコール綿を毎朝詰めて配布していました。
※3:0歳児は5分間隔・1歳児は10分間隔、2歳児は15分間隔で呼吸の確認をしていました。子供の乳児突然死症候群を予防・早期発見をするためです。

 

(3)0歳~5歳の大規模保育園:スケジュール例[

【執筆した看護師のプロフィール】

亀岡さくみ 看護師
亀岡さくみ 管理者・サイト監修者
  • 東京都/30歳
  • 資格:正看護師・保健師・養護教諭第二種
  • 職務経験:総合病院、大学保健室、保育園、デイサービス、イベントナース、ツアーナース
  • 診療科経験:整形外科、小児科
「はたらきナース」の記事監修看護師です。

私は看護師が2名~3名程度在籍している大型保育園で看護師の仕事を行っていました。

8:50~ 保育園へ出勤しロッカーで着替える
9:00~ ・事務所で、園児の欠席状況を把握
・保健室待機
10:00~ 0歳児クラスの補助に入る
(食事やおむつ替えなども行う)
11:30~ 0歳~5歳まで全クラスのラウンド
12:00~ お昼休憩
13:00~ 保健室で待機(園児はお昼寝中)
15:00~ 0歳児クラスのおやつの補助
16:00~ 保健室待機
17:00~ 勤務終了
勤務時間はスケジュール通り、9時~17時で帰宅できていました。

また、基本的には上記のスケジュールに沿って動きますが、園児の受診が必要なったり熱発が立て続けに起こったりすると、スケジュール通りには難しくなり、看護師は保健室以外の場所にいても何かあればすぐにクラス担任から呼び出され、現場に駆けつけなければなりませんでした。

 

3.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

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保育園の規模にもよりますが、看護師は1人のことが多く、仕事内容は多岐に渡ります。

そのため、ひとつのことにじっくり関わるというよりも、全体的な幅広い視野を持ち、その場その場で求められていることを確認しながら、自分の仕事のペースを作っていけるような主体性も必要になります。

一般的な保育園で働く看護師の仕事内容について説明していきます。

 

(1)体調不良やケガの対応・健康管理

体調不良やケガの対応・健康管理

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登園時に体温測定を行うので、37.5度以上の場合は再検し担任の保育士に報告します。子どもが体調不良を訴えたり、保育士からケガや症状などの報告を受けたりした場合には、子どものところへ行き状態を観察します。

必要なら横になって休ませて継続的に観察を行い、状況によっては保護者へ連絡し、お迎えを依頼することもあります。

受診が必要と判断した場合には病院まで看護師が付き添います。

 

園児の怪我について

【体験談】園児の小さな怪我への対応

小さな怪我の処置は、流水で洗い流すだけという措置が多く、深い傷やトゲなどの処置でしか消毒液を使うことはありませんでした。特に薬が必要はなくても何か塗布することで園児の気持ちが落ち着くこともあり、流水でしっかり落としてからワセリンで保護をしてあげることもありました。

その他に、給食時や、最近流行の傾向にある食育で調理の際に調理過程で火傷を負う子供もいたり、遊んでいてテーブルに顔をぶつけて歯が亜脱臼の状態になり、病院に連れて行ったこともあります。

 

園児の発熱に関して

【体験談】園児の発熱に関する対応

入園して間もない0歳児は、午前中は問題なくてもお昼寝明けに発熱するケースが多い印象でした。その場合、保護者へ連絡し、職員室へ隔離してクーリングや水分補給をさせて様子をみていることが多かったです。

 

職員の健康管理に関して

【体験談】職員の健康管理

私が経験した中で一番大惨事だったのは、調理師が調理中に手を滑らせて包丁で手首を切って大出血を起こした時でした。圧迫止血をして、即病院に行ってもらいましたが、数針も縫うケガでした。また、インフルエンザが流行する時期には、まず職員たちに予防接種を受けてもらうように促しました。他には職員から「これは病院に行った方がいいかしら」などの健康相談を受けることもありました。

 

(2)感染症などの予防行動

感染症などの予防行動

写真:shutterstock

園児に感染症が発生した場合は、職員間で情報を共有し、送迎に来る保護者にも感染症の発生状況をお知らせします。

発生している感染症と発生しているクラス・人数や主な症状と登園の目安などを掲示することで、無理な登園は控えてもらい感染が拡大しないよう努め、登園している園児に感染症の症状が出ていないか、念入りに観察するよう心がけます。

また、子どもと関わる保育士に対して感染対策の基本的な知識を伝えていくことも感染症を予防する上で重要な仕事です。

 

感染症に関する指導

【体験談】私が行った感染症に関する対応

私は、保育園の看護師として冬場は嘔吐下痢の感染症が流行するため、吐しゃ物の処理の振り返りを職員同士で行うようなこともしました。

園児には、手洗いとうがいの指導を行い、保護者から感染症の相談を受けた場合には丁寧に分かりやすく回答するように心がけて対応していました。

(3)健診の対応

内科、歯科、眼科健診など年間で決まっている健診の実施計画を立案し、事前準備から当日の実施、結果の記録、保護者と区への報告業務を行います。

保育士や保護者への事前周知を徹底し、当日の健診がスムースに行われるよう協力をお願いします。

また、担当医師へ連絡し、当日必要な物品の確認も事前にしておきます。

 

(4)日々の視診

日々の視診

写真:shutterstock

園児が登園してきたら、乳児クラスの体温測定と皮膚の状態を観察します。

その後、幼児クラスに移動し、健康状態や出欠状況を確認します。

園児の発育をアセスメントし異常の早期発見に努める

各園児の身長と体重のバランスを確認し、発育(成長・発達)をアセスメントし、異常の早期発見に努めるのも看護師の大切な仕事です。

園児によっては、成長ホルモンのバランスが悪くて成長障害を起こしていることもあります

そのため看護師としてアセスメントを行い、必要があれば保護者に伝え、病院への通院を促します。また、発達障害の傾向にある園児への対応について、保育士と話し合わなければいけないこともあります。

 

(5)内服管理

園児の内服管理も、看護師の仕事になります。

時間で外用薬を塗布する子どもへの声かけや、一時的に内服する薬がある場合には、保育士と情報を共有し、保健日誌に記録します。

 

3.働いた看護師の体験談

働いた看護師の体験談

写真:shutterstock

実際に保育園で働いた看護師の方に、保育園で働いた際の感想・体験談をお聞きしました。

参考になる内容なので、最後に確認していきましょう。

 

(1)小児看護の経験がなくても働けた

看護師 回答(27歳/東京都)

健康な子どもたちが対象なので、みんなとても元気で毎日笑いが絶えませんでした。日々の成長を近くで見守れるのは子ども好きにとっては喜びも大きいです。

また、小児看護の経験がなくても、子育てを経験していれば保育補助などにも入りやすく、子どもの病気にも詳しいため保育士や保護者との信頼関係が築きやすいと思います。

 

(2)頼れる人がそばにいないため不安だった

看護師 回答(26歳/神奈川県)

保育園看護師は1園につき1人体制の園が多く、病院のように頼れる人がすぐそばにいませんでした。今までは病院などで先輩や医師などすぐに相談できていた環境があったと思いますが、そういったことができなくなるため、判断に迷って不安になることもありました。

 

(3)プライベートは充実させやすい

看護師 回答(33歳/埼玉県)

突発的なことがなければ、ほとんど定時で帰れますし、夜勤もないのでプライベートな時間は確保しやすい環境でした。保育園によっては土曜日に出勤するところもあると聞きますが、行事などがない限り週末や祝日はお休みなので予定も立てやすかったです。

 

(4)何でも知っていると思われることが辛かった

看護師 回答(41歳/大阪府)

保育士は看護師なら病気に関することは何でも知っていると思っているようで、体調不良時など判断を求められますが、医師ではないし、小児科の経験もないので正直判断には困りました。

入職して間もなくは、園児の顔と名前も一致せず普段の様子もわからないので、本当に難しいと思いました。

 

(5)身体的な負担が大きく疲れました

看護師 回答(45歳/埼玉県)

実際に働いてみて感じているのは、看護師とは違う身体的負担が大きいということです。

病院や施設ではベッド上でのケアがほとんどですが、保育園で園児と接する時には床に座ったり膝をついたりする体勢をとることが多く、抱っこや散歩などもあり、慣れるまで想像以上に疲れました。

 

(6)コミュニケーション力は大切だと思います

看護師 回答(34歳/神奈川県)

健康な園児が対象であり、その保護者や保育のプロである保育士との関わりになるので、病院や施設などとは全く違うという認識を持ち、相手の立場を尊重するよう積極的にコミュニケーションを図ることが求められました。

また、園児の親で外国籍の保護者などもいるため、看護師としても仕事としてもコミュニケーション力は重要でした。

 

4.最後に

私は、病院や介護など様々な現場を経験していますが、保育園は全く違う看護師の仕事であるということを痛感しています。

働いていた保育園は「保育ありきの看護」でした。そのため、ほとんどが保育に時間を割かれていました。

子どもたちはとても可愛く元気をもらえ、やりがいも感じますが、働く看護師の年齢によっては心身の負担は大きく、保育士や保護者との関わりも密接なため、転職を考える場合は、まずは派遣や非常勤などで働いてみると良いと思います。


   
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