人工透析クリニックで働く看護師の仕事内容と給料

人工透析クリニックで働く看護師の仕事内容と給料

人工透析クリニックは看護師に非常に人気があります。人気の理由としては、休みが取れる上に給料が比較的高い傾向があるからです。

しかし、今まで透析に携わったことがない看護師の場合、一から勉強する必要があり、特殊な技術が必要で憶えることも多いため、決して楽ではないと思います。

私達看護師は患者の生活の一部分しか関わることができませんが、的確に患者の状態を把握し透析条件の判断を行うことができるよう日々勉強が必要だといえます。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 大阪府/36歳
  • 保有資格:看護師、保健師、3学会合同呼吸療法認定士
  • 職務経験:総合病院、クリニック、コールセンター
  • 診療科経験:手術室、救急センター、人工透析科、ICU、外来
大阪府内の総合病院で約8年間勤務。退職後、イギリス留学し、小児がんのボランティア活動を行う。様々な分野を経験し、現在は災害支援看護師として活動しながら、人工透析クリニックに勤務中。

人工透析クリニックの仕事内容、仕事に必要なスキル、私の給料と年収を経験から説明していきます。

1.看護師の仕事内容と流れ

看護師の仕事内容と流れ

人工透析はご存知の通り「血液をろ過して体内に戻す」作業となり、看護師の他にも医師、臨床工学技士が主に勤務しています。

その中で、看護師は、透析器械の操作・患者の全身状態の管理・シャントなどを主に行います。実際の透析は、もちろん機械が行いますので、看護師が行うのは針を刺す穿刺(せんし)になり、決して難しい作業ではありません

スケジュールに沿って、人工透析クリニックで働く看護師の仕事内容を説明していきます。

 

(1)看護師の1日のスケジュールについて

人工透析クリニックの看護師の一日を説明します。

以下のスケジュールは、午前・午後(2クール)を想定しており、午前のみの1クール(治療期間の一区切り)などもあります。
8:00 出勤、機器の準備
(プライミングを行い透析準備)
8:15 申し送り、役割分担等の調整
8:30 ・透析の準備
・患者体重測定
・バイタルチェック
・順番に穿刺を開始(1クール)
・透析中にフットケアや健康相談等
10:30~11:30 約30分間の昼食休憩
(2グループに分かれる)
12:00 ・順次返血を開始
・ベッドが空いたら午後の患者の穿刺を開始(2クール)
14:00~15:00 約30分間の休憩
(2グループに分かれる)
15:30 順次、返血(体外に取り出した血液を再び体内に戻す作業)を開始
16:30 遅番以外は退勤

全ての患者が問題なく透析を終え帰宅されれば業務は終了となります。

しかし、患者の止血が確認できない場合や血圧が低値、気分不快を訴える等、循環動態が不安定な場合、症状が改善するまで看護師は帰ることはできません

最悪そのまま患者が入院することもあり、(透析開始前の除水量の決定や透析中の状態観察など)看護師の仕事は的確に行う必要があります。

 

(1)透析の準備

透析の準備

看護師の仕事内容は、透析前の患者の体重測定から始まります。

歩くことが困難な患者は車椅子のまま体重測定を行い、座位困難な患者には体重計付きのストレッチャーを利用します。

 

(2)患者へ問診とバイタルチェック

患者へ問診とバイタルチェック

簡単な問診(体調の変化がないか、排便状況等)を行い、バイタルサインチェック、ドライウェイト(体の中の水分が適正な状態)と測定した体重を元に、その日の除水量(透析療法では、人工腎臓を通して体内から余分な水分が排出される総量を除水量と言います。)を算出します。

その算出した数値を透析機器へ看護師が入力してセットします。

 

(3)順番に穿刺(せんし)を開始

順番に穿刺(せんし)を開始

穿刺(体に針を刺して液体を吸い取る)部位と留置に問題がないかを確認し、透析が開始になります。

ルートを固定し患者の環境を整えながら自覚症状に変化がないか、バイタルサインも測定しながら5分位はベッドサイドで観察を行います。

問題がなければ、次の患者の穿刺に移り繰り返します。

イメージとして、以下のような時間配分で患者への対応を行っていきます。

1クール(治療期間の一区切り)
あたりの透析患者数
30人弱
患者1人にかける穿刺の時間 15分
患者の透析時間 3時間~4時間
返血にかかる時間 10分
バイタルサインのチェック間隔 30分~1時間おき

患者によって透析を行う時間が違うため、一番時間がかかる患者から穿刺を行い同じ時間に透析が終了するように仕事を行います。

私が勤務している透析クリニックは、1クール(治療期間の一区切り)で患者が30人弱おり、他と比較して忙しいクリニックになります。

また、透析中には医師による回診があります。薬やダイアライザー(半透膜などからなる透析装置)の変更等の指示が出るのでその都度対応していきます。

 

(4)順次、返血を開始

順次、返血を開始

透析最後に行う返血(体外に取り出した血液を再び体内に戻すこと)には10分程度時間がかかります

また、返血の間は患者が急変することもあるため、看護師は透析患者のベッドサイドを離れることなく観察します。

透析終了の合図があちらこちらであっても看護師の人数が足りないと返血を行うことができないので、看護師は、あらかじめ開始時間を操作する必要があります。

補足説明

透析クリニックでは透析開始時と終了時は時間との勝負でもあり最も活気づきます。

穿刺や機器トラブルが発生した際にはスタッフが助け合い、チーム一丸となって対応し乗り切ります。

 

(5)測定の状態観察、止血

測定の状態観察、止血

返血終了後バイタルサイン測定と状態観察、止血をします。止血は止血バンドを使用することが多いのですが、血管の状態によっては手で押さえて止血します。

止血を確認し、再度体重測定を行い評価して透析終了です。

 

(6)随時ラウンドし患者の様子を観察する

突然血圧が低下し意識消失することもあるので、随時ラウンドし患者の様子を観察します。

 

2.看護師に求められる仕事のスキル

透析に関する機器の構造を理解することは大切ですが、臨床工学技士が教えてくれるのでそれ程心配はいりません。

そのため、人工透析クリニックで働く看護師に必要なスキルとしては「穿刺(せんし)の技術」と「コミュニケーション力」が仕事で必要なスキルといえます。

 

(1)穿刺(せんし)技術は必要スキル

穿刺(せんし)技術は必要スキル

透析導入時の患者への穿刺は難しいことが多く技術を要します。

しかし、自分が苦手な血管を得意とする看護師が人工透析クリニックには、必ず在籍していますので、その時は無理をせず交代してもらうことができます。

透析患者の血管は発達しているので通常の血管よりも太いことが多いです。導入時の患者でない場合には一日おきに穿刺をするためその患者の血管の状態を把握しやすいので、初めての患者の採血をするよりも容易なことがあります。

 

(2)コミュニケーションスキル

人工透析クリニックで働く看護師には医療面でのスキルはそれほど必要ありませんが、コミュニケーション能力は必ず必要になります。

透析に来る患者は、何年も通っている人が大半で、中には10年以上前から通っているという人も少なくありません。

さらに、年配の人が多いため、透析に関してはベテラン揃いであり、中には、針を刺すのが下手だと意地悪を言われることや、からかう患者もいます。年配の方と上手くコミュニケーションを取るスキルがあれば、スムーズに仕事が出来るでしょう。

 

3.給料と年収について

給料と年収について

透析専門のクリニックの場合、比較的に基本給が高い場合が多いです。

夜間透析を行っているクリニックもあるので、そのような場合は夜間手当がつくため、透析で働く看護師の給料の平均よりは少し高くなることがあります。

 

(1)透析クリニックで働いた私の年収と給料明細

「常勤、夜勤なし」の透析クリニックで働いていた私の給与明細は以下のような形でした。

基本給 225,000円
超過勤務手当 15,000円
夜勤手当 0円
危険手当 20,000円
資格手当 20,000円
給料の合計 280,000万円

残業時間にもよりますが、毎月28万円程度が透析クリニックの給料でした。

ボーナス(賞与)は2回あり、合計で100万円前後だったため、年収は約450万円でした。

 

(2)パート・アルバイトの場合の時給

パートやアルバイトの場合は、時給1300円~1500円程度の透析クリニックが多いです。

一般的なクリニックと同じ程度か、少し高めである透析クリニックが多いといえます。

透析クリニックは、日曜日休みが多いですが、祝日の勤務があるので、休日出勤をすることで時給が高くなったり、休日手当がついたりする透析クリニックも多いです。

 

(3)透析クリニック看護師にとって「高給料」と言える基準

透析クリニックで働く看護師は、夜勤や時間外勤務がない分、給料が低くなるという点が共通しています。

様々な手当を含め、年収である500万円程度ある場合は高収入であるといえます。

そのため、透析クリニック求人を選ぶ場合は、

  • 夜間透析があるかどうか
  • 賞与額が多いかどうか

などによって高額な年収かどうかが左右されてきます。

 

4.最後に

人工透析クリニックは一般外来や病棟とは少し違った雰囲気があります。

それ故、やってみたいと思っていてもなんとなく足踏みしてしまう看護師も多いでしょう。

私は新しい技術を習得できる点や、透析だけに没頭できるので、一度携わってみて損はないと思っています。しかし、給与や待遇だけで決めるのではなく自分の適性を考えた上で慎重に検討していくようにしましょう。


   
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