訪問入浴で働く看護師の仕事内容と体験談

訪問入浴
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「訪問入浴」は、「訪問入浴サービス」「訪問入浴介護」とも呼ばれ、看護師資格を必要とする仕事の1つです。

私は、看護師3年目のときに初めて訪問入浴サービスの仕事を行い、現在でも時々行っています。

その際の体験談も含めながら、訪問入浴で働く看護師の仕事内容を説明していきます。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 年齢/エリア:36歳/神奈川県
  • 経歴:大学病院、訪問入浴サービス
  • 経験がある診療科:小児内科・外科、整形外科、脳外科、耳鼻科、形成外科など
新卒で7年間大学病院に勤務し、その後、6年間違う大学病院に勤務。現在は非常勤看護師として活躍中。

1.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

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私が体験した訪問入浴サービスでの1日スケジュールは以下のような流れでした。

8:00~ 情報収集と準備
9:00~ 午前の訪問入浴開始
・2件のお宅を訪問
12:00~ 休憩
13:00~ 午後の訪問入浴開始
・3件のお宅を訪問
18:00~ 事務所へ戻り、勤務終了

1日の訪問件数は、5~7件程度となり、介護スタッフ(介護士やヘルパー)2名以上、看護師1名以上で訪問入浴サービスを提供します。(訪問件数は運営会社によって異なります。運転は介護スタッフが行います。)

基本的に3名で訪問する場合が多く、1件あたり準備と片付けを入れて40分~1時間程度でした。

仕事を行う服装に関しては、私が勤務していた会社では、ポロシャツを貸借してもらいました。また、「ズボンは綿の黒いもの」「靴はスニーカー」など指定があり、運営会社によって異なります。

以下で詳しく仕事内容の詳細を説明していきます。

 

(1)利用者情報の確認と準備

利用者情報の確認と準備

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訪問入浴サービスを提供する看護師は、利用者情報が入ったファイルに目を通し情報を頭に入れ、安全に利用者が訪問入浴を受けられるかどうか、情報から確認します。

利用者情報には、医師の入浴許可書も入っているため、

  • 疾患名
  • 血圧の指示
  • 麻痺側の情報
  • 褥瘡の有無
  • それ以外の創傷処置の有無
  • 胃瘻やストーマの有無

など、安全性の確認を看護師が行います。

また、準備物として訪問入浴サービスを提供する看護師に会社からナースバック(応急セット)を渡され、管理することも仕事です。(1件1件回る前、回った後はナースバックの点検や消毒を看護師が行います。)

 

(2)バイタルサインの計測

バイタルサインの計測

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利用者の自宅に到着して挨拶がすむと、速やかに入浴の準備が始まります。

看護師は利用者のバイタルサインの測定を行い入浴が行えるかどうかを確認することが仕事になります。(入浴の中止を報告するのも仕事です。)

バイタルサインの確認後、責任者へ報告し、入浴が行える場合は、浴槽のセットやホースの準備などを介護スタッフが手際良く始めます。

 

(3)吸引や創部の観察

入浴の準備中、看護師は入浴前に気管吸引が必要な方であれば吸引や、創部のドレッシング材を外し創部の観察などを行います。

この時、家族の方が一緒にいる場合、色々手伝ってくれるため、看護師はそれに従って動きます。

 

(4)更衣のサポート

お風呂の準備が整うと、更衣になり、利用者のサポートを行うことも看護師の仕事です。

冬場の場合など、寒さで血圧が急に上がってしまうことなどもあるため、大きめのバスタオルで寒さに注意することや、全身が見えてしまうことでの羞恥心に配慮することなども看護師の役割となります。

また、体にマヒがある利用者もいるため、健側から着脱し、患側から着衣するなど、基本的なことを守り行うことが大切です。

 

(5)入浴介助

入浴介助

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看護師の入浴介助の仕事は、基本的に利用者の顔色やその他体調の変化がないかを確認することが看護師の仕事内容となります。(運営会社によっても多少異なります。)

また、利用者へ声かけなども行い、反応を確認していきます。(私の経験上、看護師の入浴介助は、利用者の顔色が見えるよう、頭を支えることが多いです。)

入浴後も、更衣や創部の処置を指示書に従って行い異常の有無を確認することや、バイタルサインの変動も確認します。

【補足】スタッフが行う訪問入浴サービスについて

訪問入浴サービスの場合、「どこから洗うか」や「介助者がどこを支えるか」などの決まり事が運営会社別にあることが多いです。

そのため、

  • 入浴時間(制限がある)の確認
  • 支える場所の確認
  • 洗い忘れの確認
  • 洗う順番の確認

など確認しながら、スタッフが入浴介助を行います。(看護師が利用者の体を洗うことはありませんでした。)

 

(6)撤収と記録

入浴に必要な物品の片付けをして、移動車に運びます。訪問入浴に必要な重たい機材はスタッフが運びますが、片付けは看護師も手伝い、仕事内容の1つです。

次の訪問先へ向かわなくてはいけないので、撤収は手早く行うことが必要になってきます。

移動者の中や事務所に戻り、看護師は、

  • 特記事項などの看護記録の記載
  • 必要事項の報告
  • ナースバック(応急セット)の補充

などの仕事を行います。

 

2.働いた感想

訪問入浴の看護師体験談

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私が訪問入浴サービスで働き感じたことを説明していきます。仕事内容をイメージする上で、是非参考にしてください。

(1)体力的には厳しい仕事だった

訪問入浴の利用者は介護度4または5と重度であり、ほぼ全介助が必要です。ヘルパーと介護士が主に入浴介助をしてくれますが、看護師もチームの一員であり、もちろん介助を行います。

そのため、訪問入浴サービスは体力的に厳しい仕事と感じました。

 

(2)利用者は楽しみに待っている方が多い

利用者は楽しみに待っている方が多い

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利用者は、毎回お風呂をとても楽しみに待っています。入浴後は別人のように笑顔になったり、たくさん話をしてくれたり、信頼関係を築けているのが分かりました。

また、利用者が私のことを覚えてくれる時はとても嬉しかったです。

 

(3)入浴を中止する判断を行うことが辛かった

利用者が楽しみに待っている入浴だとしても、「医師の指示書に記載されている血圧より高いこと」や「その他の異常」が見られたときは、看護師が判断し、入浴を中止させる必要があります。

安全に訪問入浴サービスが実施されるために、必要な悲しい決断でした。

 

(4)臨床経験や看護スキルはそれほど必要なかった

訪問入浴サービスでは、採血や点滴などの医療行為は求められないため、褥瘡や傷の処置、バイタルサイン測定が出来れば問題なく働けました。

そのため、看護師として臨床経験はそれほど必要ありませんでした。

医療行為は少ない仕事のため、

  • ブランクがある看護師
  • 単発のアルバイトでやってみたいなと思っている看護師
  • 病院勤務に慣れて自身がついてきた頃の看護師

などに向いている仕事だと感じました。

訪問入浴前と後に、看護師が必ず水銀での血圧測定を行い利用者の状態を判断するため、水銀での血圧測定を行えること、覚えることは必要でした。

 

(5)利用者へのマナーは必要

初めて関わる利用者が多く、礼儀正しく、言葉遣いなどしっかりと行う必要があります。(訪問入浴後に、会社にクレームを言われる場合もあります。)

気持ちよく訪問入浴サービスを受けていただく配慮が必要でした。

 

3.最後に

訪問入浴サービスは、普段自由に入浴出来ない利用者の為のサービスです。

入浴することを心待ちにしている利用者が多く、入浴時にはたくさんの笑顔や感謝の言葉をもらえます。

ただ、入浴を喜んでもらうためには「安全」が守られなければなりません。

そのために、配置されている私達看護師は、ただ入浴のお手伝いをするのではなく医師の指示書に従い、その日の利用者の身体の状態を把握し、速やかに判断を下し、対処することなどが必要になり、仕事内容です。

「初めて関わる方(利用者)だから分からなかった」というわけにはいきません。

分からないことや不安に思ったことは、一緒に回っているスタッフに速やかに聞くことも大切だと感じます。興味がある方はぜひチャレンジしてみて下さい。


   
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