看護師の産業カウンセラー資格取得までの道のりと現状での実践

看護師の産業カウンセラー資格取得までの道のりと現状での実践
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初めに、産業カウンセラーとは、簡単に言えばこころの専門家「話を聴くプロ」であり、働く人やそのご家族を対象としたカウンセリングが主となります。

人の話を「聞く」ではなく「聴く」ことは自分自身の価値観もあり意外と難しいことです。

しかし、私は産業カウンセラーとして関わったクライアントが変化していく姿にとてもやりがいを感じ、その方の人生が少しでも心豊かにできる関わりが持てた時、カウンセラーとしての素晴らしさを実感することができます。

この記事では産業カウンセラーの資格取得方法から、取得後にどのように現場で産業カウンセラーの資格を活かせるのか、私の体験談からご説明します。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 沖縄県/32歳
  • 保有資格:看護師、保健師、産業カウンセラー、
  • 職務経験:総合病院 、行政機関(市役所)、健診施設
  • 診療科経験:外科、ICU、緩和ケア(ホスピス)
総合病院の外科とICUで3年間経験を積んだ後、市役所の看護師として勤務。その後、様々経験を経て、現在は緩和ケア病棟で活躍中。
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1.産業カウンセラーまでの道のり

産業カウンセラーまでの道のり

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産業カウンセラーとして活動するためには、第一に、年1回行われる産業カウンセラー試験を受験し、合格することです。

(一般財団法人日本産業カウンセラー協会:産業カウンセラー試験を参照してください。)

受験資格の一つには産業カウンセラー養成講座の受講があります。

 

(1)養成講座は通学か通信か選べる

産業カウンセラー養成講座は通学か通信かのどちらかのスタイルを選択することができます。

  • 通学:7ヶ月間の受講
  • 通信制:11ヶ月間の受講

通学可能範囲で講座が開催されているのであれば、通学制を選択することをおすすめします。

 

通学制の産業カウンセラー養成講座は同じ志の仲間ができる

通学制になると志が同じ仲間ができるので、互いに切磋琢磨し合うことができ、カウンセリングについて学びを深められます

カウンセラーとして狭い視野で行っていると続かなくなる可能性があるため、議論できる存在がいることはとても大切です。

また、講座以外の場所にも集まって毎週出される課題をこなすことや、試験勉強をすることは一人で勉強するよりはかどることもあります。

 

(2)産業カウンセラー養成講座の前半は座学が中心

前半は座学が多く、カウンセリングの歴史や理論や効果について事例も踏まえて学びます

座学で学んだ内容を元に自分の頭の中でカウンセリングとはについて整理していきます。

毎回先生から、時間を決められた中でカウンセリング内容のお題が出題されます。

回数をこなすとお題もフリーとなり、時間も始めは15分のカウンセリングが40分と徐々に長くなっていきます。

 

カウンセリング理論を学んだあとには実践を行う

理論を学び終えると、グループを組み、カウンセラー役、クライアント役、オブザーバーを決めて実践を行います。

実践後は、クライアント役、オブザーバーそして先生から、カウンセラーとしてどうだったかと意見をもらい、良い部分や今後の課題と向き合います。

 

(3)養成講座終了後は試験勉強が中心

産業カウンセラー養成講座終了後は、産業カウンセラー試験に向けて勉強を開始します。

試験内容は筆記と実技で、毎年1月に1度だけ行われます。

個人的にですが、試験勉強は日本産業カウンセラー協会が出している参考資料をもとに勉強する方法がおすすめです。

 

(4)試験の合否は3月

1月の試験後、合格発表は3月となります。

合格通知が届いた後は日本産業カウンセラー協会へ産業カウンセラーとして登録します。

産業カウンセラー登録後は、様々な背景のあるクライアントと向き合い仕事開始となります。

産業カウンセラーとしては、まさにここからが勝負です。

 

2.体験談:資格取得で苦労することとは?

体験談:資格取得で苦労することとは?

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私が産業カウンセラー資格を取得した際に、苦労したことは、仕事と勉強の両立です。

講座自体は毎週1回ですが、講座と仕事は両立していくことがやや難しい場面もあり、さらに毎週出される課題をこなすというサイクルも続きます。

産業カウンセラー養成講座終了後、1年間は試験勉強と並行して、同じグループのオブザーバーと先生からカウンセリングにおいて出来ていない部分を指摘されます

出来てない自分と向き合い、修正と再度カウンセリング実践の繰り返しという作業に心が折れそうになりやすいです。

講座を修了し、産業カウンセラーの試験に合格し、実際カウンセラーとして活躍している自分というイメージを糧に、辛さを乗り越えられる努力をしました。

そのため、私からのアドバイスとしては、あくまでイメージすべきは、この苦労を超えた先にある自分の理想の産業カウンセラー像を目指してみてください。

また、どうしても辛いときには、家族や仲間から叱咤激励してもらうことで、自分自身でモチベーションをあげることも大切です。

以下で私が行った勉強方法や仕事との両立について説明していきます。

 

3.資格取得の勉強と仕事との両立方法

資格取得の勉強と仕事との両立方法

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ここからは産業カウンセラーの資格を取得するための勉強方法、毎週ある産業カウンセラーの講義と仕事の両立について、おすすめの方法もあわせて説明していきます。

 

(1)教科書を振り返り自分の頭の中に落とし込みをする

暗記ではなく「理解する」ことが重要です。(個人的には、きれいな見やすいノートは役に立ちません。)

教科書の振り返りや、理解するための落とし込み方法としては、

  • 教科書の読み込みでは余裕をもってあまり詰め込みすぎない
  • らくがき帳に講義や教科書の特に重要な内容を繰り返し書き込む
  • 教科書に自分が理解しやすいように追記する
  • 書き込んだ要点や教科書の重要な部分は何度も読み込む

などの方法があります。

筆記試験の場合、講座中に使用した教科書を振り返り、自分の頭の中に落とし込み理解することが大切だと感じます。

また、予習や復習では教科書だけでなく、余裕があれば日本産業カウンセラー協会が出している参考資料を読むこともおすすめです。

 

(2)カウンセリングの実践には集中して取り組む

実技試験に関しては講義中のカウンセリングの評価が良ければ免除になることがあります。

実技試験の免除を狙うためには以下の方法をおすすめします。

  • クライアント役・カウンセラー役・オブザーバーどの役割になっても気づきを得て発言する
  • 講義外も知り合いにクライアント役を頼んで自分のカウンセリングを評価してもらう
  • 仕事や生活においても傾聴することを意識づける

とにかく最低限、毎回の講義におけるカウンセリングの実践には集中して取り組むことは絶対条件です。

また、私は座学で学んだことを実生活と結びつけることで理解度を上げ、カウンセリングとはこういうことか再発見に繋げていました。

 

実技試験の評価対象はカウンセラー役だけではない

カウンセラー役だけが評価の対象ではなく、クライアントやオブザーバーとしても、ひとつのカウンセリング内容からどれだけの学びを得ることができ、そして理解しているかも実技試験の評価対象です。

 

(3)固定休の仕事であれば休日に通学講座を受けると良い

仕事の休みが固定休の場合は、仕事の休みの日に通学講座を選択することがおすすめです。

おすすめの理由としては、

  • 通学講座であれば仲間と講義などの相談もできる
  • 仕事と産業カウンセラーの講義に対してメリハリがつく

などです。

仕事と勉強をしっかり分けられることは、効率よく勉強もできるので理解度もあがります。

私の体験ですが、仕事が固定休であれば両立はしやすいといえます。

 

(4)不定休の仕事の場合は通信制の講義がおすすめ

看護師として病院などで働いており、不定休(シフト制)の場合、産業カウンセラーを目指すとなると、講義日時を固定しにくいため通信制の講座が良いと感じます。

通信制の講座であれば、自分にあった講座を選択できます。

産業カウンセラーの講義と仕事を両立するには、自分の仕事と生活スタイルに合わせて選択することが大切です。

 

(5)勉強する時間を1時間設けるだけで仕事と両立できる

人それぞれ勉強方法はあると思いますが、私は短期集中で勉強を行った方が頭に入りやすかったです。

そのため、産業カウンセラーの勉強時間は1日1時間としていました。

また、1時間集中するというスタイルなら無理なく継続することができますし、仕事とも両立しやすいです。

 

短期集中型では勉強するタイミングを固定することがおすすめ

短期集中型で勉強をする場合は、講義後の1時間、仕事後の1時間、眠る前の1時間など毎回固定して設けることがおすすめです。

産業カウンセラーの勉強を振り返って思うことが、1時間勉強をするよりも、勉強時間を固定した方が内容も頭に入りやすい印象でした。

 

4.看護師が産業カウンセラー資格を現場で活かす方法

看護師が産業カウンセラー資格を現場で活かす方法

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産業カウンセラーの資格を取得後、カウンセリング術はありとあらゆる場で応用ができます

カウンセリング術は看護師の仕事における、

  • 患者やクライアントとの関係性
  • 職場の上司や同僚
  • 多職種とのコミュニケーション
  • 家族や友人

といった、ありとあらゆる場で応用できます。

産業カウンセラーは「話を聴くプロ」です。

相手との会話の中で受容・共感・自己一致のプロセスを理解できるので、より相手の気持ちに沿ったコミュニケーションを図ることができます。

また、産業カウンセラーは会話というコミュニケーションを通して、相手の思いを表現しやすい環境作りができ、その思いに共感する姿勢は、相手の自己効力を高めること、強い信頼関係を築けることに繋がります

これから具体的に、看護師がどのように産業カウンセラーの資格を現場で活かせるのか事例も含めて説明します。

 

事例1:ネガティブな患者の心を開くためにカウンセリングを使う

ネガティブな患者の心を開くためにカウンセリングを使う

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病院の入院患者は、寂しさや不安からネガティブな会話が多いです。

寂しさや不安からネガティブな思考になる患者へは、以下3つのポイントが大切になります。

  • その時の気持ちを否定しない
  • その場の雰囲気を無理に変えようとはしない
  • 相手の気持ちに共感する姿勢を持つ

話を聴くプロである産業カウンセラーの看護師が共感を続け、長く関わる中で、患者は自ら少しずつ幸せに感じることなども話すようになります。

 

固く心を閉ざしてしまう患者にもカウンセリングは役立つ

患者の中には、様々な要因により心を固く閉ざしてしまい、看護師との会話も強く拒否してしまう患者もいます。

患者から会話を拒否されることで、時には仕事が滞る事態にもなります。

そんな時に、カウンセリングの技術を使って患者に寄り添うことで、少しずつでも心を開いてもらえます。

もちろん患者の心はすぐに変えられるものではないので、少しずつ前向きになれる関わりを持つことが大切です。

 

事例2:カウンセラーの「聴く」技術で仕事を円滑にする

カウンセラーの「聴く」技術で仕事を円滑にする

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看護師は医師の治療やケアの方針が納得いかずに、意見がぶつかることもあります。

しかし、医師がどのような考えで、その治療を進めているのか気持ちを聴くことで、腑に落ちる部分も見つけられます。

理解を示し、自分の意見を言うことで信頼関係がうまれ仕事も円滑になります。

産業カウンセラーとしての「聴く」技術は患者だけではなく、仕事においても重要な意味を持つのです。

 

5.最後に

産業カウンセラーの資格取得でカウンセリングを学び、看護師として患者やご家族との関わりが密になり何を必要としているのか知ることができます。その方の必要にあった看護を実践できるのです。

看護学生としても「傾聴」の必要性を学んできましたが、実践と実践を通した分析を行わない限り「聴く」姿勢を自分の中に落とし込んでいくことが難しいです。

患者や家族の気持ちに沿った看護を実践していきたいという思いがあれば産業カウンセラーの資格を取得することをお勧めします。


   
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更新:2019年6月27日
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