ベビー専門の訪問看護ステーションで働く看護師の仕事内容と体験談

ベビー専門の訪問看護ステーションで働く看護師の仕事内容と体験談
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訪問看護でも小児科専門・精神科専門と専門性に特化したステーションが増えてきています。

私が在籍している訪問看護ステーションは、主にNICUを卒業したベビーを専門に訪問看護を行っています。NICU・GCU・小児科を経験している看護師や助産師の方は、これまでの経験を生かすことのできる職場だと感じています。

全国的にも数が少ないベビー専門の訪問看護ステーションではありますが、私の経験を元に仕事内容と働いて感じたことを説明していきます。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 年齢/エリア:38歳/東京都
  • 資格:がん看護専門看護師、消化器内視鏡技師、心理相談員
  • 経歴:大学病院、総合病院、訪問看護
  • 経験がある診療科:NICU、GCU、小児科、内科、採血室、保育所
NICU・GCUを約8年、ベビー専門の訪問看護師を約9年と主にあかちゃんの看護を専門に活躍中。現在で20年目の看護師

1.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

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ベビー専門の訪問看護での対象は小児(主にNICUを退院した児)となり、患者・家族のニーズに合わせた専門性の高い訪問看護を提供する必要があります。

また、私が勤務していたベビー専門の訪問看護ステーションは1日に3件~5程度看護師が訪問し、基本的に利用者は医療保険による訪問看護の提供を受けます。

医療保険を使用して行う訪問看護は週1~3回が基本ですが、患者のケースによっては同じお宅に毎日訪問、1日に複数回訪問することもあります。

訪問看護として、訪問時に行う看護師の仕事内容例は以下の通りです。

小児の全身状態を観察
  • バイタルサイン測定を行う
  • 小児の全身状態を十分に観察する
  • 異常の場合は医師に連絡する
  • 異常の早期発見を行う
人工呼吸器の管理
  • 呼吸器の設定条件の確認
    (医師の指示による呼吸回数や酸素濃度など)
  • 動作確認
  • 小児の呼吸状態に異常確認
  • 家族へ観察点や対応方法などのアドバイス
気管内吸引、口鼻腔吸引
  • 痰の性状や色や量を観察
  • 家族へ適切なタイミングで吸引できるようアドバイス
胃ろう管理
  • バック内の水が入っているか確認
  • 挿入部位の周囲の皮膚の観察
  • 漏れの有無を確認
  • つまりの有無を確認
  • 消化状態の観察
  • 安全に経管栄養が行えるよう成長発達に合わせた支援
沐浴の介助
  • ベビーバスで沐浴やケアを行う
  • ケアの方法を家族に伝える
  • 改めて全身状態を観察
    (爪が伸びていないか、スキントラブルはないか、耳垢は蓄積していないかなど)
ミルクの与え方の観察
  • 経口哺乳の場合:哺乳状態を確認
  • 経管栄養の場合:チューブの位置・固定状態・消化状態を確認
  • 直接母乳の場合:児の飲み方・乳房の状態・母乳の分泌量を確認

以下で、ベビー専門の訪問看護師としての仕事内容を説明していきます。

 

(1)看護計画の作成

看護計画の作成

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ベビー専門の訪問看護師は、医師の治療方針や家族の状態なども踏まえ、患者に合った看護計画を作成することが仕事の1つとなります。

働く看護師は、

  • 家族構成
  • 主にケアを行う方の確認
  • どのように生活しているのか

など、十分な情報収集を行い、看護計画を立てていきます。

看護師の体験談

例えば、経管栄養が3時間おきにある場合、病院のように各勤務の看護師がいるわけではなく、24時間家族だけで行わなければなりません。睡眠時間や兄弟の世話など、生活の中でどのように行っていくのか、負担を少なくするためにはどうしたらいいのかを踏まえて計画していきます。

また、ADL(日常生活動作)も全てにおいてケアが必要であり、ケアを行うのはすべて家族になります。看護師が無理な計画を立てることで負担が大きくなり、家族のバランスや生活リズムを崩壊してしまうおそれもあるので注意が必要になります。

 

(2)成長発達支援

成長発達支援

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ベビー専門の訪問看護の場合、NICUを退院した小児の多くは発達がゆっくりであったり、遅れていたりしますがその子のペースで成長発達をしていきます。

看護師は普段から成長発達を促すようなケアを取り入れていく必要があり、他にはない仕事となります。

看護師の体験談

例えば、カラフルな絵本を小児に見せて視力や脳の発達を促していくよう働きかけることや、おもちゃに手を伸ばす、握るなど遊びを通して成長発達を支援します。

また、オムツ交換をする際は足のマッサージや体操を行うこと、日常ケアの中にも、看護師はひと工夫します。

 

(3)リハビリテーション介助

リハビリテーション介助

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リハビリテーションの指示がある小児が訪問看護の利用者であることがあります。その場合、小児は地域の療育センターや病院などでリハビリテーションを行います。

自宅では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが作成したリハビリテーションメニューを訪問時に看護師が一緒に行うこと、家族に指導することが仕事となります。

家族や訪問看護師が日常的にリハビリテーションを行い、継続していくことが児の成長につながっていきます。

看護師の体験談

出生後、脳出血を起こし麻痺が生じている、聴覚が弱い・視力が低い・四肢の発達に遅れが生じているなどNICUを退院した児はリハビリテーションの必要性が高い状態です。

赤ちゃんは成長発達の過程にあり、リハビリテーション次第では今後の発達が大きく変化する可能性もあります。

最近では理学療法士が中心となって訪問リハビリテーションを行うサービスも増えてきており、医療ケアが複数ある児にとっては外出せずにリハビリテーションがうけられるため安心です。

 

(4)家族のケア

家族のケア

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ベビー専門の訪問看護では、看護師は家族の話を出来る限りゆっくり傾聴します。

場合によっては、家事ヘルパーなど利用できるサービスを保健師に相談・短期入所やデイサービスの利用など、家族にかかる負担の軽減をはかります。

家族のケアを重点的に行う理由

例えば、長期入院のあとようやく退院した我が子との生活は喜びも大きい半面、24時間医療者のいない状況で医療ケアを行う不安や、必要なケアをすべて行わなければならないというプレッシャーなど、身体的にも精神的にも負担が大きくなり、家族にストレスが生じてしまいます。

とくに母親は小さく産んでしまった、健康に産んであげることができなかったと自責の念を強く持っていることが多く、退院後の育児やケアをがんばりすぎてしまう傾向があります。

また、NICUを退院した児は未熟性が強く、感染すると重症化する可能性も高いため外出を控える家族が多くなり、悩んでしまうこともあります。

 

(5)情報の共有

情報の共有

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ベビー専門の訪問看護では「報告をすること」が重要な看護師の仕事となります。

理由としては、得た情報も、報告しなければ問題の抽出、異常の早期発見ができない可能性が高いためです。

1人で訪問している分「見落とし」がでてしまうこともあるため、仕事終わりには必ず所長に報告を行い、スタッフ全員が把握できるようにするなど、細かい情報をきちんと報告し他のスタッフの意見も取り入れられるようにすることが求められます。

 

(6)他業種との連携

他業種との連携

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ベビー専門の訪問看護は、他業種との連携を密に行う必要があり、看護師の大切な仕事です。

連携する他業種としては、医師・病院看護師・訪問看護師・往診医・往診看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理士・保健師・社会福祉士・児童福祉士・保育士・ヘルパーなどです。

これらの関係者がすべて集まり、カンファレンスを実施することもあります。退院後、小児に関わる人のつながりは大きく拡がり、共に児の安全を守り、成長発達を支援するためには多職種の連携が大切です。

 

3.私が働いて感じたこと

私が働いて感じたこと

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私がベビー専門の訪問看護ステーションで働いて感じたことは沢山ありますが、以下で特に皆さまにお伝えしたいことを5つご紹介していきます。

(1)病棟経験は数年必要になる

勤務するベビー専門の訪問看護ステーションによりますが、採用条件として以下の経験は求められる場合が多かったです。

  • NICU・GCU・小児科などの臨床経験
  • 看護師として5年以上の臨床経験
  • 助産師資格もあればなお可

などです。私が在籍しているベビー専門の訪問看護ステーションでは、看護師スタッフ全員がNICU経験者でした。

当たり前ですが、経験年数の多いスタッフが揃うために給料は一般の訪問看護ステーションより高く、都内だと25~35万円、パートの場合は訪問1件が2,500~4,000円ぐらいでした。

 

(2)仕事に「やりがい」を感じる

ベビー専門の訪問看護ステーションでも、一般の訪問看護と同じように訪問時は1人ですべてを行わなければならないため負担が大きな仕事です。

しかし、これまでの経験を生かし責任を持って行うため看護師として大きく成長できると感じます。

訪問看護師を実際に経験することで、病院で仕事をしていたときには知らなかったことや学びが多くあり、やりがいと充実感を私は感じることができます。

小児の成長を間近で感じることが出来る

成長発達が遅く寝返りがなかなかできなかった児ができるようになった瞬間や、表情が乏しい児が笑った瞬間、体重がなかなか増えなかった児がようやく10kgを越えたなど、ベビー専門の訪問看護ならではの感動があります。

 

(3)家族のケアは難しい

ベビー専門の訪問看護で、一番難しいと感じる仕事は家族のケアです。

訪問看護では家族との距離が近くなる分、トラブルも起きやすく、何気なく言った一言で家族が不快になることや、場合によっては家族から訪問を拒否されてしまい、担当看護師の変更を余儀なくされることもあります。

コミュニケーションが大切になる職場

例えば、日常ケアの中に家族が好むやり方があったり、こだわりがあったり、ときには病院で指導された内容が変わることや、間違っていることもあります。

そんなときに看護師は、ケアの方法を修正することや家族に合わせ、うまくコミュニケーションをとらなければなりません。

 

(4)家族の支援を得られない時もある

残念ですが、NICUを退院した小児には、家族からの虐待やネグレクト、育児放棄などが起こることが実際にあります。

実際での辛い経験

私が訪問したケースでも、育児放棄がありました。訪問時には笑顔で話す母親でしたが、経管栄養のボトルがいつまでもつるされたままだったり、爪が伸びきっていたり、児の清潔が保持されていなかったりと気になる点が多々ありました。

小児の体重が減少したことで、経管栄養が指示どおりに行われていないことが明確になり、母親と話す中で「可愛いと思えない」という言葉がきかれるようになりました。

医師、保健師にも相談し、ショートステイを利用したり、児童相談所の職員と連携をはかったりして対応することになりました。可愛い赤ちゃんを間近でみている私にとって辛い経験でした。

 

(5)24時間体制(オンコール)の場合がある

24時間体制をとっているベビー専門の訪問看護ステーションもあり、私が勤務している訪問看護ステーションでは、緊急用の携帯電話を順番で持ち、夜中でも早朝でもすぐに対応できるようにスタンバイしなければなりません

また、場合によって緊急訪問を行うこともあり、看護師にとっては負担の大きい仕事となります。

 

4.最後に

最後に

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NICUを退院した小児のケアは専門的であるため、これまでは地域の訪問看護ステーションは引き受けにくい状況がありました。

そこでベビー専門の訪問看護が注目されています。

ベビー専門の訪問看護師に求められることは「的確なアセスメントと判断力」であり、より広い視野をもって情報を収集しなければなりません。

私は訪問看護に興味があり、転職を考えている方の中でNICU・GCU・小児科を経験したことがある方は、是非、ベビー専門の訪問看護ステーションで経験を生かし活躍して欲しいと願っています。

希望する方は、看護師転職サイトなどで求人を紹介してもらうことができますので、利用をお勧めします。

転職を考えている看護師の方へ

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更新:2019年9月22日

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