慢性期病院で働く看護師の仕事内容や体験談

慢性期病院で働く看護師の仕事内容や体験談


看護師、保健師

「慢性期病院で働いている」と聞くと、ゆったり仕事をしている場面を想像する看護師が多いのではないでしょうか。

急性期など回転が早い職場で仕事することに疲れている看護師の中には羨ましいと感じる方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

慢性期病院は療養病床がある病院を指し、療養型病院とも呼ばれます

入院期間が短く、最長でも1か月前後の急性期患者がいる一般病床とは異なり、慢性期病院では入院期間が1年以上に渡ることも珍しくありません。

慢性期病院にいる患者は、急性期を脱した後病状が安定傾向にあるものの、在宅復帰が困難な状態であることから、長期にわたり経過観察や加療・治療が必要である患者になります。

患者層としては高齢者が多くみられます。

(高齢者は廃用症候群の併発やその他後遺症により在宅へ戻ることが困難な状況になることが多いため、必然的に高齢者の患者層に偏りが生じます。)

そのため、慢性期病院は独特の空気と時間が流れており、看護師の方によっては、向き・不向きがあると思います

そこで今回は、看護師の仕事内容や仕事風景がより詳細にイメージできるよう、慢性期病院で働いた私の体験をもとに紹介していきます。

もちろん、働く慢性期病院によって違いがありますので、注意してください。
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1.一般的な看護師の仕事内容

一般的な看護師の仕事内容

慢性期病院で働く日勤看護師の1日のスケジュール例は以下の通りです。

時間仕事内容
8:30夜勤からの申し送りを受ける
8:50~10:00・オムツ交換
・陰部洗浄
・褥瘡処置
・体位交換
10:00~11:00・バイタルチェック
・処置
・痰吸引
・固定テープの交換など
(各自空いた時間に進める)
11:30~12:00・痰吸引後に経管栄養の準備
・食前分の与薬
12:00~13:00・ 経管栄養開始
・食事介助
13:00~14:00看護師昼食休憩
14:00~15:00・ バイタルチェック
(必要な患者のみ)
・点滴まわり
15:00~16:00・ 口腔ケア
・痰吸引
16:00~16:30看護記録
16:30~16:45夜勤者へ申し送り
17:00勤務終了

私が勤務していた慢性期病院では、ある程度自分のペースで業務を行うことができましたし、1日の計画も立てやすいことが特徴でした。

ただ、体力勝負な面が多く、受け持ち患者によっては業務に追われる日もありました。しかし、急性期病院のように緊急性の高い出来事や、突然の入院受け入れなどはほとんどありませんでした。

慢性期病院で働く看護師の一般的で特徴的な仕事内容の詳細を説明していきます。

 

(1)バイタルチェック

バイタルチェックは状態変化がないか確認・観察のために当然行いますが、慢性期の患者は状態の変化はほとんどなく平行線です。

そのため、患者によっては1日1回から週に1回の検温に変更になる場合もあり、その場その場で患者の状態に合わせて臨機応変していくことが一般的です。

しかし、高齢者が多いため、痰の嚥下等により肺炎を起こし突然発熱することもあり、看護師として気を抜くことはできません。しっかりとした観察能力・判断能力が求められます。

 

(2)褥瘡処置

私が勤務していた慢性期病院では、慢性期の患者は急性期ほど積極的なリハビリを行いません

今の状態を可能な限り維持することが目的のリハビリとなっていました。

そのため、寝たきりとなっている高齢患者が多く、乾燥や浮腫などの皮膚要因、拘縮や体動制限、食が細いことによる栄養不足等身体的要因など様々なものが重なり合い、褥瘡が発生してしまう患者が多いため、看護師は褥瘡処置をしなければなりませんでした。

また、褥瘡を予防し悪化させないために、看護師の観察・臨機応変な対応が重要でした。

 

(3)経管栄養のケア

意識レベルの低下や嚥下障害のため自己で摂食できず、マーゲンチューブやPEGを使用して経管栄養法を行っている患者も入院していました。

そのため、PEGの消毒や定期的なマーゲンチューブの交換や接触部位に発赤が生じないための固定テープの貼り換が必要です。

また、経管栄養法を使用していると、マーゲンチューブの詰まりやテープ固定による皮膚トラブルをはじめ、PEGを使用するために開けた穴であろう孔部発赤などのトラブルも起こるため、それに対する対応や処置を看護師が行わなければなりませんでした。

 

(4)採血・点滴

私が勤務していた慢性期病院では、定期的なものから、必要時に応じての採血・点滴がありました。

患者は高齢の方が多いため、血管も細く脆いことから点滴に使用できる血管がない場合がほとんどでした。

そのため、24Gの針での細い血管を確保・翼状針を使用しての点滴・膝の血管を使用しての点滴など、様々な穿刺技術や留置針の固定法で採血や点滴を行っていました

 

(5)痰吸引・口腔ケア

自己喀痰・排痰ができない患者は口腔内に貯留する唾液も飲み込むことができません。

放っておくと誤嚥性肺炎や窒息を起こす可能性があるため、定期的な吸引が必要となり、看護師の仕事となります。

また、経管栄養を開始すると口腔内の唾液が増加しますが、経管栄養中に吸引をすると嘔吐誘発の原因になるため経管栄養開始前にも吸引する必要があります。

 

(6)食事介助・入浴介助

自己のみにて摂食行うのが困難な患者もいますが、経口摂取は可能であるため食事介助が必要でした。

また、入浴介助も看護師の仕事になります。入浴後の褥瘡の処置やろう孔部のケア、拘縮の強い患者の入浴介助が仕事内容です。

私が勤務していた慢性期病院では、食事介助が必要な患者が多い場合は看護者側の人数が足りず、看護師1人で1部屋食事介助することもありました。誤嚥の可能性もあるため、目を離すことができません。そのため、患者の食事の際は時間に追われました。

 

(7)陰部洗浄・オムツ交換・体位交換

私が勤務していた慢性期病院では、自己にてトイレにいくことができない患者がほとんどであるため、看護師が必然的に陰部洗浄・オムツ交換を数多くこなすことになります。

事前に患者の排便状況を確認し、排便がない場合は陰部洗浄時に摘便も行っていました。

オムツ使用の患者が多かったため、この時間帯は体力と時間の勝負でした。オムツ交換に追われて他の業務がおしてしまうことも多々あるため、その後の時間配分が難しいこともありました。

 

2.私が慢性期病院で働いて感じたこと

私が慢性期病院で働いて感じたこと

私が慢性期病院で看護師として働いて感じたことを説明していきます。これから、働こうと考えている方は是非参考にしてください。

 

(1)患者と深く関わることができた

急性期病院のように患者の回転が早いわけではなく、同患者が1年以上入院していることがよくありました。

また、施設へ退院後に発熱等何かしらの理由で再入院することも少なくありませんでした。そのため、患者と長期に渡りじっくり関わりを持ちながら経過を見守ることもできました

これにより看護計画も各患者としっかり向き合った上で、患者にあったプランを組むことも可能で、ひとりひとりと向き合うことで観察能力も向上するので、急性期とはまた違った方法で自分の観察能力を伸ばすことへつながりました。

 

辛い経験もありました

急性期で元気だった患者が寝たきりになって慢性期に移ってきた時がとても辛く感じました。

意識レベルも清明で、ポータブルトイレにて自己排泄できるほどのADLだったのですが、脳梗塞を発症し、慢性期に来た時は寝たきりで拘縮も強く、会話もままなりませんでした。

ただ目を開き呼吸を繰り返すのみで、その姿が目に焼き付いて未だに忘れることができません。

 

(2)看護・医療技術が身に付きにくかった

慢性期病院では患者自身ほとんど変化がなく、オムツ交換や入浴介助食事介助が中心となってしまったため、医療的処置を行う機会がほとんどありませんでした

褥瘡処置やPEGのケアなど身に付けることはできましたが、身に付けることができる医療的処置が限定されていました。

そのため、私は慢性期病院で働いた後、他一般病院に転職した際に苦労した経験があります。

 

(3)即戦力として業務に従事できた

慢性期病院では急性期病院のように目まぐるしい変化はなく、仕事内容はほぼ毎日同じでルーティン業務です。

そのため、一度急性期病院を経験している私は即戦力として重宝されました。

ある程度の経験があれば新しく覚える仕事内容も少ないため、業務の流れを覚えると即戦力としてバリバリ働くことができるのではないでしょうか。

覚えやすい仕事内容であるため、指導をしっかりしてもらえる病院であれば、新人看護師でも働きやすい職場だと感じます。

 

(4)ルーティン業務が多かった

慢性期病院では、曜日により業務内容は異なるものの大まかな流れは毎日変わらず、流れを覚えてしまえばルーティン業務でした

ルーティン業務が苦手な看護師には向かない職場だと感じました。

逆に慢性期病院に入院している患者は急性期を脱した後であるため、比較的状態が安定しており、変化もほとんどありませんでした。

そのため、緊急の入院やトランスもないため、残業につながる業務自体がなく定時上がりが可能でした。

「急性期病院を離れてゆっくり働きたい」「自分の時間を確保したい」と考えている看護師や育児など家庭の事情で残業が難しい看護師にはぴったりな職場だと思います。

 

(5)看護師ひとりの負担が大きかった

慢性期病院は一般病院(一般病棟)よりも看護師1人に割り当てられる患者数が多く介助業務も多いため、看護師ひとりひとりの負担が大きかった印象です。

そのため、体力面で厳しく、勤務する病院やその日のメンバーによっては激務になることもありました。

慢性期病院で急変が少ないからといって、必ずしもゆっくり働ける環境にあるわけではありませんでした。

 

(6)家庭と仕事を両立しやすかった

私が勤務している慢性期病院では、入院している患者は病状が比較的落ち着いている人が多く、職場の雰囲気も比較的穏やかでゆったりしていました。

既婚者であることや育児中でなかなか夜勤や残業ができない、という看護師にはぴったりだと感じました。

仕事を続けたくても家庭の事情があり、夜勤や残業が難しくなってくると看護師という仕事は続けづらいことも多いです。そのため、家庭と仕事の両立をしやすい、という意味では慢性期病院は良い転職先ではないでしょうか。

 

(7)看護師として「やりがい」もあった

意識レベルがほとんど回復せず、寝たきりとなっている患者の表情の変化がわかるようになってきた時期がやりがいとして印象に残っています。

表情といっても顔の表情自体はあまり変わりません。

「やや紅潮があるな」「体熱感がある」「やや発汗量が多い」など普段の状態と比較し、早期に対応できるようになったことが嬉しかったです。

慢性期病院で長期に渡って患者と関わることで得られた経験でした。

 

3.最後に

慢性期病院では急性期病院ほどの慌ただしさはないものも給料は同程度であるため、急性期での仕事に疲れた看護師や仕事と家庭を両立する必要のある看護師が大勢働いています。

また、業務に慣れてしまうとマンネリ化してしまいがちな分野ですが、褥瘡や皮膚・排泄ケアに関してスキルアップを目指せる職場でもあり、患者ひとりひとりと長期的に向き合いながら、経過をじっくり見つつ看護計画を立案していくことも可能です。

慢性期病院では中途採用を積極的に行っており、中途の看護師にとっては働きやすい環境が整っているところが多いと言えます。

しかし、

  • 具体的に看護師はどういった仕事・業務を行っているのか
  • 看護師の教育体制はどうなっているのか

などは、確認した方が良いと言えます。

病院ごとに看護師が普段行っている業務は大きく異なっている場合があり、さらに中途だからと何も教えてくれない慢性期病院もあるからです。

自分自身を取り巻く環境など様々な面を踏まえた上で、慢性期病院で働くことも視野に入れてください。

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