看護師から未経験のCRA(臨床開発モニター)へ転職!仕事内容と私の体験談

看護師から未経験のCRA(臨床開発モニター)へ転職!仕事内容と私の体験談
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CRA(臨床開発モニター)を簡単に説明すると、新薬の治験が適切に行われているかモニタリングすることがメインの仕事になる職業です。

私は大学病院退職後、製薬会社に勤務し、CRA(臨床開発モニター)として約2年間仕事を行っていました。

その経験を元にCRA(臨床開発モニター)の仕事内容や、看護師から未経験のCRA(臨床開発モニター)へ転職する際の良くある質問を私の体験談と共にご紹介していきます。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 千葉県/39歳
  • 職務経験:大学病院、総合病院、製薬会社
  • 診療科経験:内科、外科、人工透析科、CRA、訪問看護
大学病院に4年間、総合病院に転職しながら7年間、大手製薬会社のCRAとして2年間勤務。現在は訪問看護師として活躍中。

1.CRA(臨床開発モニター)の仕事内容

CRA(臨床開発モニター)の仕事内容

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CRAの仕事は協力医療機関との治験契約と開始、治験中のモニタリングやデータの回収、治験終了の手続きなどを行います。

治験には多くの人が関わりますが、治験を上手く進めるのも駄目にしてしまうのもCRAの力量にかかっているといっても過言ではない大切な仕事です。

私が勤務していた製薬会社では「CRAは治験の花形である」と言う人が多くいました。私はCRAとして第3相試験(第3相試験とは実際に患者様に投与して、薬の安全性と薬効を確認するための試験)を経験しました。

私の経験を元に以下で具体的な仕事内容をご紹介していきます。

 

(1)医療機関の選定

医療機関の選定

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治験を進める上で協力医療機関は必ず必要となり、また被験者は誰でも良いというわけではありません。

治験実施計画書(プロトコール)に則り、

  • 本治験に該当する疾患や条件を有した患者が多くいるか
  • 治験に協力できる医師がいるか
  • その医療機関が治験を実施する設備や環境が整っているか

などの確認をCRAが行い、医療機関を選定し、契約することが仕事となります。実際には私は4つの協力医療機関を担当していました。

 

(2)スタートアップミーティング

スタートアップミーティング

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契約後、治験に関わる医療従事者を対象に治験内容の説明を医療機関にCRAが行います。

協力医療機関へプレゼンテーションすることがCRAの仕事となり、パワーポイントを使用して治験概要の説明後、質疑応答などを行います。

 

看護師の体験談

医療機関によって異なりますが、スタートアップミーティングには30人~50人位の医療従事者が参加しますので、とても緊張しました。

病院勤務時代に製薬会社主催の勉強会が頻繁にあり、参加するとお弁当がもらえるからと気軽な気持ちで行っていましたが、「説明する側はこんなに緊張していたのか…」と思う程緊張しました。

 

(3)治験薬の搬入

治験薬は製薬会社にあり、手続きを踏んで医療機関へ持っていくこと(治験薬の搬入)もCRAの仕事でした。

 

看護師の体験談

その当時、私が担当していた治験の治験薬は量が多くとても大きい箱だったので持っていくのが大変でした。

会社から近い所であればタクシーを利用するため、それ程大変ではありませんでしたが、新幹線や飛行機での移動の際は本当に大変だったことを覚えています。

 

(4)原資料の直接閲覧(SDV)

原資料の直接閲覧(SDV)

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実際に被験者が登録され、新薬の投薬が始まると協力医療機関にはCRC(治験コーディネーター)が居り責任をもって業務を遂行してくれますが、最終的な知見の責任はCRAにあります

そのため、CRAは都度協力医療機関へ出向き、被験者のカルテを確認し、

  • 被験者として問題はないのか
  • 治験期間中の検査等に問題はないのか
  • 被験者の安全性に問題はないのか

などを確認する必要があり仕事となります。これらのことを「原資料の直接閲覧(SDV)」といいます。

 

看護師の体験談

協力医療機関でのSDVは一日当たり大体5~6時間でした。

被験者は一協力医療機関に大体10人前後、多い時には20人程いることもあるので、しっかりとSDVをするためには自分ひとりで行うことはできません。

そのため、同じグループの方にお願いして一緒に行ってもらいます。その逆もあり、担当以外の協力医療機関で行うことも多くありました。

 

(5)被験者登録の進捗状況を把握

被験者登録の進捗状況を把握

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被験者登録の進捗状況を把握し、被験者の確保を促すことはCRAの重要な仕事の1つです。

理由としては、順調に被験者が登録されれば良いですが、そうではない協力医療機関がほとんどのためです。

CRCに確認してもらった上で医療機関の選定を行っていますが、実際に検査をしてみたら治験実施計画書(プロトコール)に記載されている被験者の要件に合わないといったことや、被験者の要件に合っても治験に協力できないという患者もいるためです。

決められた被験者数が集まらないと、試験自体の有意性を証明することができないため、被験者確保はとても大事です。

 

看護師の体験談

私達CRAが被験者以外の患者のカルテを見て、治験の要件に合った人を探すわけにはいきません。

そのため、治験に関わっている医師やCRC(治験コーディネーター)に、CRAはひたすらお願いに伺い、病院勤務の頃には味わったことのない「営業」に近いものでした。

最初はどのようにお願いしたらいいのか戸惑いましたが、医師やCRC(治験コーディネーター)との信頼関係も出来上がってくるので、それ程抵抗なく行うことができました。

 

(6)治験終了後のデータ回収

治験終了後のデータ回収

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治験が無事終了したらCRAが全てのデータを回収し、医療機関へ治験終了の書類を提出します。

この後の手続きはCRAの仕事ではありませんが、データを解析して厚生労働省へ提出し結果を待ちます。

提出後に厚生労働省等からヒアリング等がありますが、それはCRAのグループリーダーや上層部の方々が対応することが一般的です。

結果が出たら、ご挨拶を兼ねて担当医療機関の医師やCRC(治験コーディネーター)を訪ねることもCRAの仕事となります。

 

2.看護師からCRAへ転職して感じたこと

看護師からCRAへ転職して感じたこと

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病院や病棟勤務の看護師から、CRA(臨床開発モニター)に私が転職して感じたことを説明していきます。

 

(1)看護師とは違った意味で「やりがい」を感じた

看護師は目の前の患者の命を救うことのできる尊い仕事です。

一方、CRAは自分が治験に携わった新薬が実際に普及した場合、目には見えない多くの患者の命を救うことになります。そのため、看護師とはまた違った意味で、私は「やりがい」を感じています。

また、実際に治験に関わり薬が誕生するまでには長い期間と費用、多くの人の力が詰まっているのだと実感することができ、薬効についても学ぶことができます。

その知識は、CRAを続けていく上でも、今後看護師として仕事を行っていく上でも非常に役に立っています。

 

(2)会社勤務は看護師として新鮮だった

病院には多くの看護師が働いていますが、一般企業と比べ少し特殊な世界だと感じます。

そして、夜勤を含めて不規則な生活になりがちな看護師と比較し、製薬会社のCRAは基本的に残業少なく、土日休みという安定した勤務時間が保証されています。

私にとって看護師という職を離れた会社勤務はとても新鮮な世界でした。また、会社勤務では看護師時代に学ぶことができなかった電話対応のやり方やメールの書き方、言葉遣いなど多くのことを学ぶことができました。

 

(3)病院勤務時代にはできなかった体験ができた

会社に自分のデスクがあることがとても嬉しかったです。勤務時間内にお茶を飲んだりお菓子をつまんだりしていました。他には昼食です。病院勤務だと白衣を着ているので病院内のレストランか休憩室で昼食を取ることがほとんどでしたが、会社勤務だと近所の美味しいレストランやカフェへも行きました。

どれも病院勤務時代には、ほとんど経験できなかったことなので、とても世界が広がったような気分でした。

 

看護師の体験談

私が勤務していた会社の協力医療機関は、北は北海道から南は沖縄までありました。

もちろん、出張には飛行機や新幹線を使用し、小旅行気分になれたことを良く覚えています。日帰りも多かったため、光をする時間はありませんでしたが、その地方の美味しいものを食べたりお土産を買ったりと、外勤では比較的時間を自由に使えたため気分転換にもなりました。

 

3.未経験の方へ・良くある質問集

CRA未経験の方へ・良くある質問集

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看護師からCRA(臨床開発モニター)未経験で転職を考えた場合の良くある質問を私の経験からまとめてみました。

勤務する会社によっても異なりますが、参考にしてください。

 

(1)看護師として働いてきたことが活かせることは何ですか?

回答看護師として活かせることは、カルテを正確に読むことが出来る経験です。

CRAがSDV(原資料の直接閲覧)の際に閲覧する主な資料はカルテとなり、疾患とある程度の治療方針の検討がついていないと、カルテに書かれた医師の考えを読み取ることはできません。

例えば「採血データの異常値から何を疑っていて、次回どのような検査を実施しようと考えているのか」といった流れをつかむことは、医療に従事したことないCRAには難しいことです。

 

看護師の体験談

私はCRAに転職した際に「病院では沢山の先生のカルテを読んできたでしょ?」「カルテを読むことは慣れているよね」といったことをよく言われた経験があります。

また、看護師資格を保有していないCRAから、カルテに何が書かれているのか質問されることも多くありました。

 

(2)一番求められるスキルは何ですか?

回答CRAに求められる最大のスキルは、コミュニケーション能力だと言われます。

CRAの仕事柄、

  • 製薬会社側の人
  • 治験を行う医療機関の医師やスタッフ
  • CRC(治験コーディネーター)

など、さまざまな人と専門的な話し合いをしなければならず、その際には患者の命に関わることから、決して聞き間違いや言い忘れ、勘違いなどは許されないため、非常に高いコミュニケーション能力が求められると感じます。

 

(3)パソコンのスキルは必要ですか?

回答パソコンスキルは必要です。難しい操作は必要ありませんが、マイクロソフトのWordとExcel、パワーポイントの作成は必須です。

ただ、会社によっては入社してから、ある程度は教えてくれるため、タイピングさえできれば大丈夫です。

CRAはパソコンが使えないと仕事にならないため、苦手な方は注意してください。

 

(4)英語は必要になりますか?

回答会社によって異なりますが、転職後すぐに、英語力が必要になることは少ないと思います。また、英語力がある方は採用されやすいとも言えます。英語ができなければCRAになれないというわけではありませんが、英語ができれば仕事の幅が広がるのは確実です。

CRAの世界では、英語ができないとキャリアアップできない可能性があります。(TOEIC700点以上あれば、優遇されるケースが多いです。)

理由としては、新薬に関する情報は英文で書かれていることが多く、またCRAの中には読み書きレベルの英語は完璧な人も多いからです。

 

(5)プレゼンテーションは苦手ですが大丈夫ですか?

回答やる気があれば問題ないと思います。「人前で話すこと」「うまく伝え、説明すること」などは、練習・経験と、事前準備が大切になるからです。

また、多数相手にプレゼンテーションをする機会はスタートアップミーティングぐらいですが、個人相手に説明する機会はとても多いです。

 

看護師の体験談

私は協力医療機関でプレゼンを行う前に、社内でプレゼンの練習をする機会が何度もありました。会社の上層部の方にプレゼンを実施し、質疑応答に対応できないとCRAとしてデビューできなかった経験があります。

プレゼンは相手に概要を伝え理解してもらう必要があるので、とても難しく緊張もします。

 

(6)疾患への知識はどれぐらい必要ですか?

回答疾患の理解については、臨床経験が3年以上あれば、そこまで問題ないと思います。

ただ、疾患の全てを正確に回答できる必要はありませんが、看護師としてある程度の知識を備えておいたほうが良いと言えます。

 

看護師の体験談

私が勤務していた製薬会社でCRAとして働いていた方の資格は、薬剤師、獣医など、医療系の資格がない方々でした。

そのため、疾患や検査データの読み方などの知識はあまりないので、専門的なことは質問されることが多かった印象です。

 

(7)薬に関しての知識はどれぐらい必要ですか?

回答転職前には、そこまで薬に関しての知識は必要ない場合が多いです。あれば、なお良いと言った程度です。

しかし、CRAとして働きだした際には薬の作用機序について協力医療機関で医師やCRCに説明する場面は多々あり、治験概要書という添付文書に記載されている内容が詳しく書かれたものがあり、何度も読み返し勉強が必要になります。

また、多くのCRAは、薬屋さんとして各方面に伺っているため薬の知識は必ず必要になります。

 

(8)給料や年収は下がりますか?

回答看護師から転職した場合、未経験となるため年収や給料は下がることが多いと感じます。

しかし、製薬会社等のCRAは実力重視である企業が多く、経験を積んで認められることで、看護師以上の年収になる可能性も十分にある業界です。

例えば、CRA経験10年目の方の年収は800万円弱となる場合が多いです。

 

(9)出張はどれぐらいありますか?

回答転職する会社にもよりますが、CRAはかけもちで治験を渡り歩かなければならないため、週のほとんどが出張になってしまうことも珍しくありません

例えば、看護師の時より子育ての時間が取れると期待してCRAになった場合、実際には家にいる時間が思った以上に少ないために「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性があります。

転職前に、面接等で確認すると良いと思います。

 

(10)患者と関わることはできますか?

回答患者と関わることも、会うこともCRAはできません。

また、CRAになれば注射や採血などの看護師業務は一切しなくなり、当然ながら看護スキルは徐々に落ちてしまうことが予想されます。

 

(11)未経験でもCRAに転職できますか?

回答CRA未経験でも転職することが可能です。

しかし、CRAになるためには、薬剤師、看護師、臨床検査技士、MR(医薬情報担当者)、CRC(治験コーディネーター)などの職種経験を前提とした未経験採用が一般的となり、資格は必須ではありません。

そのため、看護師からCRAになる場合は、求人を探すことを注力した方が良いでしょう。

 

(12)求人はどのように探しますか?

回答探し方としては、看護師専用の転職サイト(看護師転職サイト)と、一般的な転職エージェントを併用して利用した方が良いと思います。

私は、看護師からの転職で治験関連の求人が多い、

などの看護師転職サイトを利用し、一般的な転職エージェントは

などを利用しました。

転職を考え始めると、どうしても転職した場合のメリットばかりを気にしてしまうので、第三者(エージェント)のアドバイスを貰うことが最適です。

また、未経験であればなおさら利用をお勧めします。

 

4.最後に

CRAの世界は看護師の世界と全く違います。

新たにCRAとして頑張っていくという覚悟のある看護師なら問題ありませんが、「せっかく難しい国家試験をパスして看護師の資格を取ったのに」と思う人には不満が残りやすいといえます。

今まで看護師として培ってきたことが活かせるとは限らず、出張が増えることによって生活環境も変わります。そのため、転職してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、転職活動や情報収集には時間をかけてください。

私は、2年間CRAとして働きましたが、患者と直接関わりたい、やっぱり臨床に戻りたいと思うようになり、看護師に戻りました。

しかし、CRAを経験できたことはとても貴重な体験だったと思っていますし、違う医療分野に触れることで自分の世界観は広がったと感じています。

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更新:2019年10月16日

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