企業医務室で働く看護師の仕事内容と体験談

企業医務室で働く看護師の仕事内容と体験談
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企業医務室は看護師に人気がありますが、求人も少なく狭き門となります。

そのため、私が体験した企業医務室求人の探し方から、仕事内容やメリット・デメリットも含めて、企業医務室に転職を目指す看護師の方に向けての情報を説明していきます。

少しでも、確認いただき皆さまの転職のチャンスが広がるよう、詳しく説明していきます。

【執筆した助産師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 東京都/35歳
  • 保有資格:看護師、保健師、衛生管理者1種
  • 職務経験:大学病院、クリニック、企業内健康管理室(企業医務室)、学校保健室
  • 診療科経験:呼吸器内科、内分泌代謝内科、眼科(レーシック)
大学病院で5年勤務後、学校保健室や企業看護師、介護施設などを経験。現在、企業内健康管理室(企業医務室)で主にメンタルヘルスを中心に活動中。
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1.企業医務室の看護師1日のスケジュール

企業医務室の看護師1日のスケジュール

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私が勤務した経験がある企業医務室は、「外資系の企業医務室」「工場勤務の企業医務室」になります。

多少内容が異なるため、2つのパターンの企業医務室で働く看護師1日のスケジュールをご紹介します。

 

(1)外資系企業

外資系企業

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9時30分~ ・出社
・休養室の環境整備
・メールチェック
・来室者対応
10時00分~ ・産業医対応
・面談者のご案内
・復職面談、復職判定会議への参加
・部課長との面談、フォロー
12時30分~ 昼休憩
13時30分~ メールチェック
14時00分~ ・健康相談(面談者1~3名)
・長時間労働対象者面談
15時00分~ ・記録
・お問合せメールへの返信対応
16時00分~ ・人事部との打ち合わせ
・情報共有
(メンタル、休職者、フォロー社員、長時間労働の状況)
17時00分~ ・健康診断事後措置の対応
・その他処理
18時00分~ 退社

以前私が勤務をしていた会社では健康診断前後やストレスチェック実施前後等の繁忙期には1~2時間程度(20-40H/月)の残業がありました。

 

(2)工場内の医務室勤務の企業

工場内の医務室勤務の企業

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8時30分 出社
8時45分~ ・健康管理室内での朝礼
・診療所の準備
・休養室の環境整備
・薬のチェック
9時00分~ ・診療所対応
・問診や検査介助
・薬の処方
・記録等
12時00分~ 休憩(社員食堂利用)
12時45分~ ・担当部署の職場巡視
・衛生管理者とのミーティング
14時00分~ ・メンタル相談or保健指導(15分/人:4-5名)
・記録
17時00分~ 健康管理室内での夕礼
17時15分 退社

自分の受け持ちのメンタルフォロー者の数、突発の救急対応によって残業時間の変動が予想されますが、外資系も、工場勤務の場合でも健康管理室の多くは、年間と通すと繁忙期を除いては定時退社が可能な仕事でした。

 

2.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

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次に具体的な仕事内容に関して、私の体験を交えながら説明していきます。

所属(勤務)する企業の事業内容により、企業医務室業務も多少異なる部分があるかと思われますが、主な業務内容として、以下が挙げられます。

社員の健康管理
(フィジカル&メンタル)
  • 毎年事業所で実施義務のある定期健康診断の事後措置
  • 有所見のある対象者への受診勧奨および産業医面談の設定
  • 健康面で相談のある方への相談窓口対応
  • 労基署への健康診断実施の報告(1回/年)
会社全体の安全衛生活動
  • 安全または衛生委員会への出席
    (従業員が50人以上いる事業所での月1回開催される)
  • 職場巡視
  • 衛生管理者としての活動
会社全体の救急対応
  • 救急で医療処置が必要な社員の対応
  • 診療業務
    (診療所登録がある事業所のみ)
社員の休職管理と復職支援
  • 休職者支援、復職後の社員のフォローアップ
  • 休職中の社員の通院状況や内服状況を確認
  • 社員の診断書の管理
  • 社員復職後の上司と連携し体調確認と業務状況の確認
  • 体調の悪化が認められる場合の産業医への報告

以上が、企業医務室で働く看護師の基本的な仕事となります。(企業版の保健室をイメージしていただければ分かりやすいと思います。)

繁盛に救急対応が起こるわけではありませんが、社員3,000人以上の会社だと何かと走り回ることも多くなりがちでした。

また、その他の仕事内容を以下で具体的に説明していきます。

 

(1)長時間労働者の産業医面談調整

会社で決められた時間数以上の長時間労働対象者にピックアップされた方へ産業医面談および健康疲労度チェックを案内します。

申し出があった社員については産業医面談を調整し、産業医より、意見書(残業禁止等の就業制限)の発行を行ってもらいます。

意見書が発行された社員のその後の状況について企業医務室で働く看護師はフォローアップを行うことが仕事になります。

 

(2)ストレスチェックの実施、実施後のフォロー

会社内で実施するストレスチェックのフローを人事部、産業医と相談し看護師が作成します。

また、実施後の高ストレス者対応するフォロー業務も行います。

 

(3)ハラスメントの相談対応業務

セクハラやパワハラを受けた社員より相談があった場合、人事部と連携し会社としてどう対応するか検討するもの看護師の仕事になります。

被害を受けた社員の心のケアを行っていきます。

 

(4)人事部と連携し欠勤が多く目立つ社員のフォロー

会社規定以上の欠勤や体調不良による休みが目立つ社員について、部署および人事と連携し健康面より看護師がフォローを行っていきます。

 

(5)健康教室やセミナーの開催・運営(数回/年)

健康教室やセミナーの開催・運営を行うのも、企業医務室で働く看護師の仕事となります。

多くは年間計画で決められており、最近のトピックスは主に「メンタルヘルス関連」や「長時間労働による健康への影響」などがテーマにあがります。

外部講師によるものと社内スタッフによるものがあります。

 

(6)健康だよりの作成(1回/月)

複数看護職がいる場合、「健康だより」を交替で担当し、作成するところが多いですが、1人の場合は毎月行っている会社も多いです。

作成した「健康だより」は社内イントラネットや掲示板へ掲載されます。

 

3.働いて感じたメリット

働いて感じたメリット

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企業医務室で働く看護師の一番のメリットについては、繁忙期でも基本的には日曜日は必ず休みのため、シフト勤務のように1か月前や2週間前にならないと勤務日が分からないということがなく、プライベートを充実させやすいことが挙げられます。

また、一般の社員と同様に、平日は有給を使用して休みを取ることが可能です。

その他、私が働いて感じたメリットは以下の通りです。

 

(1)プレッシャーもある分、やりがいも大きかった

会社の安全配慮義務について責任のある部署のため、社員や会社全体の健康状態をアセスメントし、日々活動しています。

「やりがい」としては休職から復帰された職員の方から感謝されることや所属上長より相談されることもあり、サポートをしている部署のパフォーマンスが向上することや、社員の笑顔が見られたときに自分たちの役割の重要性を感じることが多かったです。

しかし、長時間労働による、うつ病のケース等の時は現状について詳しく聞かれることもあり、特に面談の記録に関しては産業医と共に注意しながら、なるべく詳しく記載をする必要がありプレッシャーを感じることもありました。

 

(2)ライフステージが変わる瞬間に関われること

企業医務室の看護師として、ひとりの人間として、社員一人ひとりの変化を共有できることは、とても嬉しいことでした。

社員自身のライフスタイルの変化により健康への意識が変わることや、部下や同僚への関わりに、変化があったりしたことの方が多い印象でした。

例えば、禁煙指導に関わっていた社員が自分の孫の誕生をきっかけに禁煙を始める、結婚をきっかけに仕事に対する考え方や、働き方が変わった方などがあげられます。

 

(2)業務の工夫や調整が楽しく感じる

企業医務室看護師の仕事内容は、毎年のことであるため繁忙期の期間を想定することができました。

そのため、繁忙期に備え自分の中での業務調整がしやすく、慣れてくると楽しくなります

補足

バースデイ(誕生日月)健診や外資系のように、中途採用が常にある状態の企業では、1年中繁忙期のように健康診断のご案内から事後措置に追われているということもあるので注意が必要です。

勤務している企業の健康診断の在り方によっても繁忙期は変わってきます。

 

4.働いて感じたデメリット

働いて感じたデメリット

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実際に企業医務室で働いて感じたデメリットを紹介いたします。

 

(1)平日の有給を取ることが難しかった

企業医務室は看護師が1名~2名の場合がほとんどで、平日の有給を取ることが難しかったです。

平日有休を取得する場合には、看護師不在の対応について、あらかじめ社内ルールや対応を決めてある場合がほとんどでしたが、人事部や総務部の安全衛生担当者と連携する必要があり、手間がかかりました

また、入社する前の説明で「平日に不在にならないように」と言われ、休みが取りづらい状況を感じました。

ポイント!

看護師や事務の方など、複数名で健康管理室を運営している場合は、月に1日有給を必ず取得するよう会社(上司)から指示があり、公平になるよう看護師間で有給取得の順番を回していた会社もあります

それぞれの会社や健康管理室の規模にも影響されるので求人を選ぶ場合は確認しましょう。

 

(2)人間関係に悩む

企業医務室で仕事をしていく中で、産業医との関わりは非常に多く(指示、報告、相談等)、産業医の人数も少ないことが多いため、自分の考え方とあまりにも違いすぎる場合や、相性が合わない産業医であると、自分がストレスを感じることが多かったです。

また、企業医務室に勤務をする看護師の数も少ないため、苦手な看護師と同じ場所で一緒に仕事をしていくことは、人間関係で悩む原因になります。

補足説明

複数名、企業医務室に在籍している場合でも、女性が多い職場環境に変わりはありません。

小さい子供がいて、保育園のお迎えで残業が出来ない場合の時も、周囲が残業をする中で自分だけが早く帰りづらかったりします。

 

(3)組織の中では優先順位が低い仕事

会社で働く人の多くが健康管理の重要性について温度差がありました。

そのため、活動に対して十分な予算組みがされない場合や、健康管理室職員の数も必要最低限、もしくはそれ以下の人数で勤務をしないといけないことが多い印象でした。

直接的に利益を上げられる部署ではなく人件費や運営費がかかる部署(経費)とみられることが一般的です。

 

(4)看護師としの活動量は低下する

パソコンの前で頭を使うことや、業務上、部長や課長など忙しくされている方や役職の方と話しをする機会が多くなるため、気を遣うことが多い仕事でした。

そのため、病棟などの看護師業務と違い、疲労感を感じることが多くなります。

 

5.企業医務室の求人を探すコツ

企業医務室の求人を探すコツ

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企業医務室の看護師は、就業環境に恵まれていると言われる一方、求人数が極端に少ないという難点もあります。

求人数が少ない理由としては、

  • 企業で1人又は2人の看護師しか雇用していない
  • 環境が良いので、退職や転職が頻繁にない

上記の理由で、新規採用の形で募集をかけるケースはごく限られており、欠員が生じた際の補充などのチャンスを狙うことになります。

看護師求人を常に把握しておく必要があり、簡単なインターネット検索で求人を見つけられるほど甘くありません。

そのため、転職会社を通じての非公開求人を狙う、より早く求人見つける(紹介してもらう)など、情報収集が鍵となります。

 

(1)希望条件はあまり望まないこと

病院やクリニック、介護施設へ転職経験がある看護師の方は特に注意が必要ですが、一般企業の場合は看護師の希望条件などは特に聞いてくれませんし、聞き入れて貰えることもありません。

募集要項に記載がある内容や、面接時の回答内容がすべてとなり、交渉もありません。(看護師求人に困っていないからとも言えます。)

そのため、病院やクリニックに転職するイメージで、自分の希望条件を伝えても受かることはありませんので注意しましょう。

 

(2)非公開求人を狙うこと

正社員で雇用される企業医務室看護師は非公開求人が多いです。その理由として、「看護師に人気があり応募が殺到する」ためです。

また、特に企業医務室求人の中でも給与や待遇などの条件が良い場合などは、必ず非公開求人となります。

企業医務室求人が非公開で出る看護師転職サイトは、大手企業とつながりがある転職サイトが多く出る傾向にあり、

などが有力といえます。

 

(3)正社員だけではなく派遣も視野に入れること

企業の医務室求人は看護師の求人として「派遣」で出る場合も多いです。例えば、「医務室求人の正看護師が産休中」など産休代行派遣などで求人が出ます。

一番良いのは、正社員として採用されることですが、未経験の場合は派遣からスタートするもの1つです。

派遣の場合、

などの看護師転職サイトを利用してみてください。

また、派遣で半年や1年間、企業医務室看護師に勤務することで自分の実績・経験となり、次の転職先の正社員へのステップにもなります。

 

(4)求人がない場合は出るまで待つこと

「企業看護師求人を探したけどなかった」と言う場合でも、求人を待つことで出会うこともあります。

待ち方としては、登録した看護師転職サイトの担当者などに、企業看護師求人が出たら転職や面接をすぐ希望する旨をしっかりと伝えておきましょう

担当者も仕事なので、転職を希望しない看護師には連絡はしませんが、「転職や面接をすぐ希望する旨」を伝えておけば、すぐに転職を決断してくれる看護師だと思うため、比較的連絡を行ってくれやすいといえます。

私はこの方法で連絡をもらったことが数回あります。

 

6.最後に

企業医務室で働く看護師のイメージはどのようなものでしたでしょうか。

私が実際に企業医務室で働いて感じたことは以下の通りです。

働いて良かったこと
  • 様々な立場の社員と健康管理という側面から関われること
  • 仕事に対する気持ちや価値観が変わったこと
  • 様々な立場の方の貴重な意見や話しを聞きけたこと
  • 社員から医療職として頼られたこと
  • 会社全体の健康をマネジメントしている「やりがい」を感じたこと
働いて辛かったこと
  • 人事部(会社)と医療職の健康管理室の意見が異なる時
  • 社員や会社全体に対して何もできないと感じてしまったこと
  • 直接「ありがとう」と言われる機会が少ないこと
  • 自分の役割を見失いそうになること
  • 社員の本音が聞き出せないこと、またサポートに限界を感じること
  • 会社内での優先順位が低いこと

企業医務室で看護師として働き、楽しいことは沢山ありましたが、その分辛いことも多かったのが現実でした。

しかし、医療現場では経験できない関わりや、スキルアップができる勤務場所だと私は感じます。

実際にこれから企業医務室で勤務をされる方は、病院という医療現場との違いに最初は驚くことや、とまどいもありますが、成功も失敗も全て自分の経験として前向きに受け止められ、ご活躍されることを祈っております。


   
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更新:2019年3月25日
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