フライトナース!ドクターヘリで働く看護師の仕事内容と体験

フライトナース!ドクターヘリで働く看護師の仕事内容
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フライトナースは、最近ではテレビやドラマでも取り上げられることがあり、その知名度は上がってきているため、多くの看護師や看護学生が憧れもち、それを目標にしています。

「私には無理」「できない」「なれない」と思ったら、決してフライトナースのチャンスは回ってきません。

私は、総合病院の救急外来に5年間勤務し、フライトナースを約3年間行いました

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 東京都/34歳/男性
  • 職務経験:大学病院、総合病院、ボリビア(海外)の国立病院
  • 診療科経験:手術室、救急外来、フライトナース
看護学校卒業後、大学病院4年勤務後、海外の病院で働く。その後日本に戻り、総合病院5年勤務しフライトナースを経験。現在は、海外のボランティア活動なども積極的に行いながら看護師として活躍中。

私の経験を元に、フライトナースで働いた仕事内容や体験談を説明していきます。

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1.フライトナースとは?

フライトナースとは?

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フライトナースとは、病院内での通常業務(主に救急外来や集中治療室)に加えて、ドクターヘリで現場へ行って屋外での現場活動が主な仕事になる看護師を言います。現場で働く看護師は初期治療に加え、救急車やドクターヘリで病院まで搬送を行います。

そのため、病院内の安全で広く衛生的な環境とは異なり、危険を伴う限られたスペースでの活動になることが多いです。

 

(1)フライトナースとして働くために

フライトナースとして働くために

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フライトナースとして働くためには、救命センターや救急指定病院などで経験を積む必要があります。救急外来・病棟などであらゆる症例を経験し、最低でも5年の勤務経験が必要と言われています。

実際に現場に出れば医療者は医師と看護師の2人、あとは救急隊員という組み合わせがほとんどであり、「経験したことない症例は対応できません」などと言えないからです。

補足説明

フライトナースになるために、できる限り特殊症例も含める様々な症例を病院内で経験することや、救急だけでなく、集中治療室・手術室などの急性期に関わる部署での勤務を経験した上で、幅広い知識・技術を身につけなければなりません。

また、いくら救急専門の分野で経験を積んでも、その病院がドクターヘリを持っていなければいつまで経ってもフライトナースに挑戦できません。そのため、ドクターヘリを持つ基幹病院で転職する必要があります。

さらに、病院によってフライトナースとして働くことが可能な基準が違うため、下調べが必要といえます。

 

(2)フライトナースの1日

フライトナースの1日

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私がフライトナースとして活動していた1日を参考に、スケジュールをご紹介します。

8:00〜8:30 準備
・フライトスーツの着用
・無線機の着用
・必要物品の装備
・メイン・セカンドバックの確認及び点検
・使用する薬剤・機器の確認及び点検
・その日の天候の確認
・所属病院の手術件数確認
・所属病院の在庫輸血数の確認
8:30〜9:00 ERまたはICUでの申し送りに参加
9:00〜9:30 ブリーフィング(※1)に参加
・ヘリポートで医療者とヘリスタッフ間で打ち合わせ
(情報交換や現場シミュレーションなど)
9:30〜 各部署での勤務
・その日の担当部署での日常勤務
(ただし、基本的には患者を受け持たない)
12:00〜13:00 昼食
13:00〜17:00 各部署での勤務
17:00〜17:30 デブリーフィングと片付け、その他準備
・活動した事例に関して、ヘリスタッフとの話し合い
・出動した事例の書類の整理
・使用物品の確認・補充

(※1)ブリーフィングとは、救護班や救援チームは救護活動を通して受けるストレスを軽減し、処理するために行うミーティングのことを指す。
(引用:災害看護関連用語(案)ブリーフィング

各病院によってフライトナースのスケジュールは多少変わりますが、おおまかな流れはご紹介した通りです。

 

2.フライトナースの仕事内容

現場からの要請

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現場からの要請は突然入ります。

  • 朝の準備をしている時
  • 救急車を受け入れている最中
  • ご飯を食べている時
  • トイレに入っている時

など、いつ要請が入るか分かりません。(私は慣れるまでストレスを感じたことがあります。)

フライトナースの仕事内容

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現場要請が入ると、フライトナースは「フライトスーツ」に着替えたら、専用の無線を身につけることから始まります。

その後は、エマージェンシーバッグ・ウエストポーチの中身の確認、薬剤の確認をし、ヘリ機内のモニター・シリンジポンプ・輸液ポンプ・吸引器・酸素残量などの点検をします。

その他、天候で飛べない場所や降りられない場所が出てくるため、その日の天候・緊急手術に対応できるか確認するために手術件数・集中治療室の空床数なども確認します。

私がフライトナースとして働いた経験を元に、仕事内容の詳細を説明していきます。

 

(1)ドクターヘリ内でのミーティング

ドクターヘリ内でのミーティング

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ドクターヘリで現場へ向かっている最中、現場の情報や救急隊からのセカンドコールなどから、現場状況・傷病者の状況を予測します。

機内でフライトドクターと戦略を立て、共通認識を持ちどのようにして処置するかを話し合うことがフライトナースの仕事です。

現場での判断が遅れてしまうので、この時からすでに戦い(仕事)は始まっています。

 

(2)現場での初期治療

現場での初期治療

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現場に到着すると、フライトナースは、傷病者数、状況を把握し、すぐにアセスメント、処置に入ります。

救命に必要な最低限の処置(初期治療)を現場で行い、いち早く現場離脱し病院で搬送することが仕事内容となります。

補足説明

現場で行う仕事としては、

  • FAST(外傷の初期診療における迅速簡易超音波検査法)
  • 心エコー
  • 全身脊柱固定

などの侵襲の少ないものから、

  • 静脈路の確保
  • 点滴
  • CPR(心臓マッサージ、気管挿管、薬剤投与など)
  • 胸腔穿刺

など、状況に合わせて初期治療を開始します。

また、フライトナースはその治療の補助だけでなく、救急隊、警察、傷病者の家族の対応なども行う仕事が多々あります。

 

(3)ドクターヘリ内での治療

ドクターヘリ内での治療

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ドクターヘリに搬入後、フライトナースは症状・バイタルサインなどをモニタリングしながら搬送します。

(基本的には、フライトドクターが傷病者の頭側に位置し、フライトナースが傷病者の横側に位置する形をとります。傷病者の状態が悪化した際に、気管挿管などすぐに処置ができるようにしています。)

状態に合わせて、継続的に処置をすることもフライトナースの仕事です。

搬送先病院から直近のランデブーポイントに着陸後、ストレッチャーのまま救急車に搬送して移動するか、そのままストレッチャーで病院へ搬送します。

補足説明

ドクターヘリ内で、フライトナースは、さまざま処置や対応をしながら、現場の活動記録を記載することも仕事です。(かなり大変ですが、大切な情報なので正確に記載します。)

搬送先の病院に引き継ぐ際の大事な情報となり、できる限り搬送先に到着するまでに記載すべき内容は全て記載します。

 

(4)活動記録の整理と検討会

傷病者搬送が終わり、自分の病院へ帰院したら使用した物品(点滴や薬剤など)の補充をし、次の要請に備え、現場活動記録を整理・保存します。

また、病院毎に症例検討会が行われ、現場活動での成功・失敗、今後の課題・目標、特殊症例などの情報交換・共有などを行います。

 

(5)フライトナースの育成

フライトナースの育成

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自分の成長に努めるとともに、今後のフライトナースを育成することもとても大切な仕事です。

自分の代わりに誰か交代できる人材を作り、良いものを次に繋げる、伝えていくことは欠かせません。

 

(6)その他病棟での仕事

フライトナースは、基本的には病院の一般勤務と兼任してフライト業務を行うことがほとんどです。

そのため、要請がない時は、救急外来や救急病棟、または集中治療室など仕事をしています。

補足説明

いつ現場から要請が入るか分からないため、基本的に受け持ち患者はおらず、受け持ち患者がいたとしても必ずその患者を引き継げるように他の看護師がフォローしてくれる体制を取ることが一般的です。

 

3.実際に働いて感じたこと

実際に働いて感じたこと

画像:shutterstock

私がフライトナースに3年間勤務した際に、感じたこと、体験したことを説明していきます。

 

(1)様々な経験ができた

フライトナースは、病院の中だけでは経験できないことが、経験できるというのは間違いない事実だと感じます。

様々な症例・様々な職種の方との出会いがあり、看護師としても人としても成長できる場面がたくさんありました。

また、勉強も沢山するため、看護師としての知識・技術の幅はかなり広がりました。

 

(2)仕事への「やりがい」も感じた

病院の中で働いている以上に、「やるべきこと」や「考える機会」が多く、忙しい中で「やる気」がみなぎる自分がいました。

また、フライトナースは、基幹病院の代表として周囲から見られ、より責任感を持って仕事をすることができ、それがさらなる自信につながりました。

 

(3)コミュニケーション力は必要だった

フライトナースは、円滑に的確に安全に作業をしていくために、患者・家族・他職種などと関わることが多く、

  • 毎回違った場所
  • 緊迫した場面
  • 初めて会う救急隊員達

など、看護師として常にコミュニケーション能力を求められました。(病棟勤務から考えると、かなり高いコミュニケーション力だと思います。)

また、フライトドクターが円滑に傷病者の処置ができるよう、周囲をコントロールする必要もあり、様々なことに配慮することも必要でした。

 

(4)地域情報の把握は苦労した

フライトナースは、あらゆる場所が現場活動の場所になります。

そのため、活動範囲内の、各病院が「どんな症例に対応できるのか」「対応ができない症例はどれか」など、医療事情把握しておく必要がありました。

現場活動の場所や傷病者の状況から、その場面での一番適切な病院に搬送決定することを求められるため、プレッシャーもあり苦労しました。

 

(5)体力的には厳しい仕事

フライトナースは精神的にも体力的にもとても負担のかかる仕事でした。

また、特に体力に関しては、普段から走ったり、スポーツしたりして鍛えているフライトナースが多く、私も体を鍛えていました。

いつどこでどんな要請に当たるか分からないからこそ、フライトナースの看護師は、努力していました。

 

(6)給料が少しアップした

私が勤務していた病院は、フライトナースの場合、危険手当が給料に加算されました。

看護師としてのスキルアップになる経験ができ、さらに給料がアップすることは、とても嬉しく感じました。

 

4.最後に

フライトナースになるために、すでに看護師として勤務している方であれば、今いる自分の場所からどのようにすれば、その目標を達成できるのか、常に考え行動するようにしたら良いかと思います。

そうすれば自然と何を勉強し、どんな情報を収集すれば良いか分かります。

自分は出来ると信じて、まずは行動を起こしてみてください。

フライトナースは決して楽な道ではないかもしれませんが、やりがいのある仕事だと強く私は感じています。是非、挑戦してみてください。


   
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更新:2019年6月16日
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