眼科クリニックで働く看護師の仕事内容と給料事情

看護師のみなさんは「眼科」に対してどのようなイメージを持っていますか。

「よく分からない」「眼科クリニックに看護師はいるの?」「仕事が楽」「看護師らしくない」「勉強する範囲が狭くてつまらない」などという他の科とは別物の特殊な世界であるという印象を持つ看護師が多いのではないでしょうか。

もちろん、そのような一面もあることは確かですが、他では得られない眼科特有の面白みと奥深さがあることは意外と知られていません

以下の5つの役割が眼科クリニックの看護師には求められます。

  1. 医師がスムーズに診察を行えるよう、患者の案内や指導、検査や処置などを行う
  2. 手術で使用する器械の準備や片付け、患者への術前術後の指導や説明を行う
  3. 待ち時間の長さや視力が改善しないことに対する不満などの対応
  4. 失明の不安を抱えた患者の精神的ケアやロービジョンケアなどの役割
  5. 多職種との連携や指導などコーディネーター的役割

眼科クリニックの規模や手術施行の有無などによって、この5つの役割の比重が変化するのも大きな特徴だと言えます。

眼科クリニック勤務歴20年以上の経験を元に、眼科クリニックで働く看護師の仕事内容、給料事情、魅力について詳しくお伝えしていきます。

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1.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

眼科クリニックで働く看護師の仕事は、

  • (1)「外来業務」
  • (2)「病棟業務」
  • (3)「手術室業務」

の3つに分類され、中には手術を実施していないクリニックもありますので、その場合の仕事は「外来業務」のみになります。

手術を実施しているクリニックの場合、ローテーションですべての業務をこなすケースもあれば、3つの業務が分業化され担当が固定しているケースもあります。

規模が大きく手術件数が多い病院なら分業化されている可能性が高いと言えるでしょう。

それぞれの業務の特徴を挙げて詳しく説明したいと思います。

 

(1)「外来」での仕事内容

「外来」での仕事内容

眼科クリニックの仕事の最大の特徴は検査業務が多いことです。眼科クリニックで一般的に実施されている検査とその他外来の仕事内容を説明していきます。

 

眼科クリニックで行われる主な検査

眼科クリニックで行われる主な検査
  • 視力検査(眼鏡処方、コンタクトレンズ処方などを含む)
  • 他覚的屈折検査(オートレフラクトメータ)
  • 角膜検査(角膜形状解析装置・スペキュラーマイクロスコピー・パキメトリーなど)
  • 眼圧検査(ノンクンタクト式)
  • 視野検査(ハンフリー・ゴールドマン)
  • 色覚検査
  • 両眼視・眼球運動検査(ステレオテスト・Hessなど)
  • 眼底検査(散瞳・蛍光眼底造影・眼底写真撮影など)
  • 超音波検査
  • 電気生理学的検査
  • OCT(光干渉断層計)
  • ドライアイの検査(シルマー)
  • 光学的眼軸長検査(IOLマスターなど)

眼科に携わったことのない看護師の方には耳なれない検査ばかりですが、操作が簡単なものが多いですし、特にゲームやスマホになじんでいる若い方は抵抗なく取り扱えるものが多いと思います。

ORT(視能訓練士)が勤務しているクリニックなら高度な検査はORTに依頼することができますし、指導もしてもらえますので、あまり深刻にとらえる必要はないでしょう。

 

検査以外の外来での仕事内容

検査以外の仕事には以下のようなものがあります。

  • 「受付」「ORT」「医師」などの橋渡し的存在として指導や指示を行う
  •  医師の診察介助、患者の呼び込み、処置の準備や介助などを行う
  • 採血や点滴、外来手術や硝子体注射の介助などの看護業務を行う
  • 医師に変わって手術の具体的な説明を行いスケジュールの調整を行う
  • 待ち時間や説明不足などのクレームに対応する
  • クリニックによっては受付業務を要求される場合もある

眼科クリニックの看護師は、どの職種の仕事もこなせる「なんでも屋さん」として重宝される傾向があります。

多職種の業務を手伝いコーディネーター的役割を果たしつつ、採血や点滴など看護師にしかできない業務もこなさねばなりませんので、患者数が多いクリニックではかなり忙しい業務になる可能性があります。

 

(2)「病棟」での仕事内容

「病棟」での仕事内容

眼科クリニックの中に病棟がある場合、看護師の仕事内容は以下の3つです。

  • 検温、点滴などの一般的な看護業務
  • 患者の状態観察や異常の早期発見など
  • 術前処置や手術室への搬入、術後管理や患者指導など手術に関する業務

処置が少なく重労働もほとんどないため他の科の病棟業務に比べれば、体力的にはかなり楽な業務だと言えます。

近年の眼科手術は日帰り手術が主流であり、入院患者自体の数が減少していることも影響しているでしょう。

ただし、1日の手術件数が多く各々の手術に要する時間が10分程度と短いことや手術に関しては入院患者だけでなく外来患者も対象となること、病棟業務に関わる看護師の数が少ないことなどの理由により、少人数で正確に効率よく業務を行うことが要求されます。

術眼や患者の取り違えなどには特に注意を払わなければなりません。

 

病棟の仕事は患者からの苦情を受けやすい

病棟の仕事は患者からの苦情を受けやすい

見えないことに対する不満や不安、医師に対する疑問や苦情を患者がもっともぶつけやすいのが病棟看護師という存在です。

意識が鮮明で自力で行動できる患者や症状の改善や悪化をはっきりと自覚できる患者が大半であるため、あいまいな返答や対応をすれば事態を混乱させ深刻化させる可能性があります。

十分な説明や指導、精神的ケアが求められるという難しさはあるでしょう。

 

(3)「手術室」での仕事内容

「手術室」での仕事内容

手術器械の準備・滅菌・片付け、患者の対応や器械だしなどを行います。

眼科手術は繊細で高額な器械を大量に処理するという特徴があり取り扱いには細心の注意が必要です。

また、医師は顕微鏡をのぞいたまま手術を行うため「手洗い看護師」には阿吽の呼吸が求められ、短い時間でテンポよく大勢の患者の手術を行う必要があり、ペースを乱されることを極端に嫌う医師が多いのも特徴の一つです。

局所麻酔下での手術が大半で患者の意識が鮮明であるため、言動や対応にも配慮が必要になるでしょう。

眼科では白内障手術以外にもさまざまな種類の手術が行われており、手術室の規模によっては幅広い知識と技術が要求されるでしょう。

以下に眼科で行われる主な手術を挙げてみます。

 

眼科クリニックで行われる主な手術

眼科クリニックで行われる主な手術
  • 白内障手術(超音波乳化吸引術(PEA)、眼内レンズ挿入術(IOL)、水晶体囊外摘出術(ECCE)
  • 眼内レンズ強膜逢着術など
  • 硝子体手術(硝子体吸引術、硝子体切除術、硝子体茎顕微鏡下離断術、増殖硝子体網膜症手術、硝子体置換術)
  • 緑内障手術(繊維柱帯切開術、繊維柱帯切除術、バルベルト、エクスプレスなど)
  • 治療的エキシマレーザー角膜切除術(PTK)
  • 角膜移植手術(全層角膜移植術(PKP)、深層角膜移植術(DLKP)、表層角膜移植術(LKP)、角膜内皮移植術(DSAEK)など)
  • 斜視手術
  • 涙器の手術(涙のう摘出術、涙管シリコンチューブ挿入術など)
  • 屈折矯正手術(レーシック、ICLなど)
  • 眼瞼の手術 (霰粒腫切開術、眼瞼下垂手術、睫毛電気分解術など)
    ※外来で行われることが多い
  • 結膜の手術(翼状片手術、結膜縫合術など)
    ※外来で行われることが多い

 

(4)働く看護師に必要なスキルとは?

働く看護師に必要なスキルとは?

看護師の資格以外に「眼科コメディカル」の資格があれば強みにはなりますが、すでにこの全国統一試験は廃止されていますし、絶対に必要なわけでもありません。

もちろん、眼科の経験があれば優遇されますが、採用後に学べばよいと考えて現時点でのスキルは特に問わないというクリニックも多いようです。

本人のやる気や今後の成長が感じられる人材なら、たとえ経験がなくても採用される確率は高いと言えるでしょう。

 

内科を経験した看護師は重宝する

実際の業務において意外と役立つ経歴は、内科看護師の経験です。眼科疾患は糖尿病などの内科疾患との関りが深いため内科で学んだ知識や経験が役立ちます。

また眼科専属の看護師は注射や点滴の機会が少なく苦手な人が多いため、注射や点滴の技術に長けた内科経験看護師は重宝されます

もちろん、このような条件に該当するのであれば他の科の経験であっても十分役に立つでしょう。

 

2.看護師の給料事情

看護師の給料事情

地域や夜勤の有無、残業の多さなどによって差があるのはもちろんですが、最終的に看護師の給料額を決定するのは絶対的な決定権を持つ院長の考え方や方針です。

一見すると支給額は多いが実は、各種手当で支給額を多くみせており基本給は他より少ないなどというケースもあり、結果的に基本給を基準とする賞与額が低くなります。

このように支給額のみでは全体像を把握できないため注意が必要になるでしょう。

私が眼科クリニックに勤務していた時の年収や給料の参考値をご紹介します。

地方での平均給料18万円~25万円
都心での平均給料~36万円
平均年収250万~550万

(※平均値は実際に経験した私のイメージに基づくものです)

また、夜勤での仕事量が少ない眼科ならではの待遇として、拘束時間は同じなのに「夜勤」ではなく仮眠が十分確保できる「当直」として取り扱う場合もあります。

この場合、夜勤手当の支給額が通常より低めである上、夜勤明けに日勤勤務に携わることを要求されるケースもあります。待遇については事前にしっかり確認しておきましょう。

 

(1)求人募集例

月給(給料)25万~32万円
(試用期間1ヶ月)
雇用形態正社員
仕事内容・カウンセリング業務
・視力検査業務
・手術内容の説明
・準備を含む手術室業務
・接客業務 等
福利厚生・交通費支給
・社会保険あり

以上のような眼科クリニックの募集が多いといえます。

もちろん、パート勤務や、業務委託契約などの雇用形態も多く、求人探しには注意が必要です。

 

(2)賞与(ボーナス)は「その年の業績に応じて」が多い

賞与の額自体「その年の業績に応じて」などと明確な呈示を避けるクリニックが多いです。

そのため事前に詳細を把握するのは至難の業です。

不安を感じるなら看護師転職サイトなどを活用して直接交渉や過去の実績を確認してみてください。

 

3.私が思う眼科クリニックの魅力

私が思う眼科クリニックの魅力

冒頭でも述べたように「眼科」と聞くと特殊な科であるというイメージが先行してしまい敬遠する看護師も多いようですが、決して看護師にとって魅力がない科というわけではないと、私は考えています。

 

(1)患者と喜びを共有できる

一つ目の魅力として、患者自身がもっとも治療の成果を実感できる「見る」という機能を回復させる科であるからこそのやりがいがあります。

「よく見える」「世界が変わった」「もっと早く手術をしておけばよかった」などと目を輝かせて語る患者に対応する瞬間は、眼科看護師として心から患者と喜びを共有できる瞬間です。

 

(2)達成感が味わえる

二つ目の魅力として、行った検査が診断の決め手になったり、説明が患者の満足につながったりする達成感を感じられることが挙げられます。

医師に信頼され検査を行うよう直接指名されたり、患者に「わかりやすかった、次もあなたに説明して欲しい」などと言われたりすることは眼科看護師の勲章だと言えるでしょう。

手術室で緊急事態に臆することなく速やかに対応し「さすがだね」と言われた時は心の中で思わずガッツポーズをとってしまうこともあります。

 

(3)看護師らしくない仕事が出来る

三つ目の魅力は「看護師らしくない仕事」であるということです。

「それって魅力じゃなくて欠点じゃないの」と言う人もいるかもしれません。

しかし、世間でイメージされている「キツイ」「汚い」という点は敬遠したいけれども看護師自体の仕事は好きで続けたいと感じている人とっては、まさに渡りに船ともいえる仕事なのではないでしょうか。

サービス業的な要素が強い点や重労働が無い点、清潔な仕事が多い点、施設によっては残業や夜勤が無い点などは、そんな看護師にとって特に魅力的な要素であると思います。

 

4.最後に

少し眼科に対するイメージが変わったのではないでしょうか。

もし、眼科へ転職してみたいという気持ちが高まったのであれば「案ずるより産むが易し(心配していても実行してみれば意外に簡単なこと)」です。

実際に眼科クリニックへ転職してみたら、事前に心配しているほど難しくはありません。

この記事を参考にして早速、行動に移してみてください。きっとここに挙げた眼科クリニックの魅力が実感できるはずです。

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