小児専門病院(こども病院)で働いた看護師の仕事内容と体験談

小児専門病院(こども病院)で働いた看護師の仕事内容と体験談

小児科看護のスキルを極める場として、小児専門病院(こども病院)に興味を持つ看護師も多いのではないでしょうか。

しかし、実際にはどのような仕事をしているのか気になったり、本当に自分でも働いていけるのか心配になったりしている看護師もいるのではないでしょうか。

小児専門病院は各病院で看護師の仕事内容や職場環境は違いますが、私が東京都の小児専門病院(こども病院)で働いた経験があり、1日の看護師のスケジュールは以下のような形でした。

8:30~・申し送り
・ウォーキングカンファレンス
9:00~・点滴準備
9:10~・順番にバイタルサイン測定
・点滴更新
10:00~・オペ出しや検査出しをし、終わり次第お迎え
・おむつ交換
・清拭、入浴介助
11:30~・昼食のセッティング
・経管栄養の準備、開始
・口腔ケアの準備
12:30・昼休憩
13:30~・順番にバイタルサイン測定
・オペ出しや検査出しをし、終わり次第お迎え
・おむつ交換
15:00~・チームカンファレンス(1日数名程度)
15:30~・点滴更新
・手が空き次第患児と過ごす
16:30~・配薬や薬のセッティング
・記録
17:00~・申し送り
・ウォーキングカンファレンス
17:30・勤務終了

ご確認いただいて分かる通り、病棟勤務(成人看護)の看護師と1日のスケジュールはあまり変わらないと思います。

しかし、常に患児の様子が見られるようにチーム内でスケジュールをずらすなどの調整もしていました。

少しでも参考になるように、私が小児専門病院で3年間働いた経験を元に、仕事内容や働いて感じたことを説明していきます。

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1.小児専門病院(こども病院)ってどんなところ?

小児専門病院(こども病院)ってどんなところ

一般的な小児科とは違い、症例の少ない疾患や重症度が高い患者を診ている医師が多く在籍しており、その医師を求めて患者が各地から来院します。

また、小児科の中でもいくつかの診療科に分かれているため、より専門的な医療が行われています。

一般的に病院内は入り口からテーマパークのような可愛らしい飾り付けが施されており、明るい印象を受け、遊び部屋や絵本コーナーなど子どもたちが遊べる空間があります。

保育士も複数在籍しており、治療や子ども達の成長・発達の手助けをしてくれます。

さらに、疾患のある子ども達が通学できる養護学校が隣接されているところも多いです。

 

(1)全国の小児専門病院(こども病院)一覧

(※リンクは「はたらきナース」病院の看護師口コミ・評判のページに飛びます。)

北海道北海道立子ども総合医療・療育センター
宮城県宮城県立こども病院
東北大学病院小児医療センター
茨城県茨城県立こども病院
栃木県自治医科大学とちぎ子ども医療センター
獨協医科大学とちぎ子ども医療センター
群馬県群馬県立小児医療センター
埼玉県埼玉県立小児医療センター
埼玉医科大学総合医療センター小児科
千葉県千葉県こども病院
東京女子医科大学八千代医療センター
東京都国立成育医療研究センター
東京大学医学部附属病院小児医療センター
慶應義塾大学病院周産期・小児医療センター
東京都立小児総合医療センター
太陽こども病院
神奈川県神奈川県立こども医療センター
長野県長野県立こども病院
静岡県静岡県立こども病院
愛知県あいち小児保健医療総合センター
愛知県医療療育総合センター中央病院
名古屋第一赤十字病院小児医療センター
三重県国立病院機構三重病院
滋賀県滋賀県立小児保健医療センター
大阪府大阪母子医療センター
高槻病院
兵庫県兵庫県立こども病院
岡山県国立病院機構岡山医療センター
広島県県立広島病院成育医療センター
香川県四国こどもとおとなの医療センター
福岡県福岡市立こども病院
聖マリア病院母子総合医療センター
沖縄県沖縄県立南部医療センター・こども医療センター

小児専門病院は県立のところが多く、働く看護師は地方公務員、又は準公務員(公務員待遇の正社員)扱いになることがあります。(県立と独立法人との給与の差はありますが、ほぼ変わらないと思います。)

PICUやNICUは特別手当が出るのも他病院と変わりません。

 

(2)入院する患児について

基本的には0歳から15歳までの様々な年齢層の患者ですが、15歳以上の成人患者も小児専門病院に通院している場合があり、成人患者と関わるスキルも必要になります。

15歳以上の患者が通院している理由としては、一般的な小児科とは違い、小児専門病院では子どもの頃に発症した疾患を長期で診ていく必要があることや、珍しい疾患は同じ医師が継続して診ていくことがあるためです。

病院に来る子ども達の親はいろいろな思いを持っています。

特に小児専門病院は、先天性疾患の子ども達がたくさん入院・通院をしていて、親は「自分のせいで子どもが辛い思いをしている。」と自責の念を持つことが多いです。

そういった親の精神的なサポートをすることも小児専門病院の看護師の大切な役割だと言えます。

 

2.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

私が小児専門病院(こども病院)で働き、一般病院と比較して仕事内容が違った部分、特徴などを主にご紹介していきます。

 

(1)検査の説明(インフォームドアセント)

小児専門病院に検査に来る子どもは、大人と同じ説明をしても患児には難しくて理解できません。

そのため、患児の年齢、発達に合わせることを常に意識して検査の説明(インフォームドアンセント)してくのが看護師の仕事になります。

私が勤務した小児専門病院では、一般の小児科では治療できない難しい疾患をかかえる子どもたちがたくさん集まってくるため、成人と同じような検査も多く行われます。

しかし、そのほとんどが健康であれば子どものうちには経験しないような検査ばかりです。

 

(2)両親の代わりにお世話

病院にもよりますが小児専門病院の多くは管理上の問題などのため、家族であっても面会時間を決めています

そのため、両親がいない間は看護師が両親の代わりを行うことが仕事になります。

看護師は、患児のお世話をしたり、成長や発達を支援したり、不安を和らげたり、言葉にならない思いを察して寄り添うなど、少しでも患児の両親の代わりになれるよう努めます。

患児にとっては自分の置かれている状況がわからなかったり、身体がつらかったりすると、その不安を和らげてくれる両親の存在は非常に大きいものです。

しかし、そばに居て欲しいときに両親が不在のため、心が不安定になってしまい、それが治療に影響することもありました。

 

(3)子どもらしい体験ができるように関わること

小児専門病院で働く看護師は保育士と一緒に季節ごとのイベントを企画することや、院内の飾り付けなどにも取り組み、患児が病気と闘いながらも子どもらしく遊び、学び、体験し成長していけるよう支援していました。

私が勤務した小児専門病院には、新生児から中学卒業程度の患児が入院していました。

その約14年の間、月や年単位で学んだり、体験したりしながら成長できる場面が沢山あります。

それは入院中の子どもたちが成長していくためにも必要なことでした。

 

(4)自己決定の支援

看護師が子どもの年齢や性格を考慮しながら、患児自信が自己決定し意思を伝えられるよう支援します。

また、患児が自己決定でき、それを家族が受け入れられるように支援することも大切な看護師の仕事でした。

私が勤務していた小児専門病院の患児は、病状や環境など複雑な状況にあることが多い印象でした。

たとえ子どもであっても、自分自身で治療方針などを決めなければならないこともありました。まだ、数年しか生きてきておらず頭や心の発達も未熟な患児は、自分で考えたり、意思を伝えたりすることが難しいことでした。

 

(5)家族への指導

患児がこの先病気とうまく付き合いながら生きていくためには、家族の手助けが必要でした。

最近は医療処置がある場合でも、患児と家族が望む場で療養することができます。

しかし、医療の経験がない家族にとっては自分の子どもの身体に何かをすることに恐怖心があったり抵抗があったりすることもあります

その気持ちに寄り添いながら、医療行為を家族ができる形に変容して指導し、習得できるまで看護師はゆっくり、じっくり関わっていきます。

 

(6)家族の思いを聴くこと

小児専門病院では、患児の不安に対するケアはもちろん、家族に対するケアも必要でした。

時には、不安や恐怖のあまり患児との関わり方がわからなくなってしまう家族もいます。

そのような家族に対して、話を聴き、必要な手助けをすることで心のケアをしていくことも大切な仕事のひとつでした。

私が勤務していた小児専門病院に入院する患児は、難病といわれるような難しい疾患を抱えていたり、長期的な入院が必要であったり、緩和ケア目的などの患児が多い印象でした。

そのため、家族は患児を大切に思うからこそ抱くさまざまな思いや葛藤を抱いている場合が多かったです。

 

3.働いて感じたこと

働いて感じたこと

私が小児専門病院に勤務し、看護師として働いて感じたことを体験談から説明していきます。

 

(1)普段関われない子どもたちと触れ合えた

小児専門病院の看護は性格、年齢、病気、障害など患児それぞれの個性に触れられる場所です。

普段はなかなか関わることの少ない、障害を抱える患児と接する機会もたくさんあります。

しかし、患児に寄り添いすぎて、思うようにいかない病状や環境のために患児が諦めなければいけないつらさ、苦しさ、命と向き合う姿に触れるたびに自分自身の心が持たなくなることがありました。

患児への看護に対して他の看護師との意見が食い違うことや、話し合いのもつれも重なり、人間関係がうまくいかなくなる人もいました。

すべては、患児への思いが強いからこそ出てくる問題なのですが、それらの原因が重なり退職する看護師が多いのも事実です。

 

(2)医療処置のスキルが向上したこと

小児科で使用する器具、物品などは、身体の小さな患児に合わせて小さく細かいものが沢山あります。

そのため、採血やルート確保では血管が細く、見えにくい患児に検査や処置をすることにより確実に看護スキルは上がっていきます

様々な疾患の患児が集まることで、普段なかなか経験することのない医療処置をおこなう機会も増え、経験を積むこともできたと感じます。

 

一方でハイレベルな職場でした

小児専門病院はスキルを身につけたいと思う、意識の高い看護師も多く在籍していました。

そのため、医療処置スキルが向上したと共に、ハイレベルな看護師が集まる職場でした。

また、病院の環境だけでも自然にスキルを身に付けられ十分小児看護のスペシャリストを目指すことが可能だと感じました。

さらに、周りの看護師が患児のために厳しい指導を望み指導に応えようと熱心に学ぶ姿勢があるというレベルの高い集団の中にいることで、常に「自分も小児看護のスペシャリストになる」というモチベーションを維持することができました。

 

(3)毎日がトラブル処理の連続だったこと

一般の小児科よりも多くの子どもが集まる小児専門病院だからこそ、毎日がトラブルの連続でした。

成人看護ではあまりないかもしれませんが、小児看護では患児を守るためにトラブルをどう防ぐのかという話し合いも日々おこなわれています。

例えば、食事や安静度など制限がある場合、成人であれば説明を理解し、自分自身の身体のために守ってもらうことができます。

しかし、小児の場合は「欲求を抑えられずにこっそり食べてしまうことや、気づいたら部屋におらず走り回っていた」ということはよくあります。

何事もなければいいのですが、それがきっかけで病状が悪化してしまうことも少なくありませんでした。

 

患児の両親へ対応も大変でした

小児科では、患児だけでなくその両親とのコミュニケーションが欠かせませんでした。

両親の中には、患児を心配するあまり声を荒げたり、暴言を吐いたりして、怒りをぶつけてくる方も実際にはいました。

最初のうちは、両親の言葉の裏側にある思いを受け入れることができますが、次第に両親の言葉に自分が傷つき、無意識に両親を避けるようになってしまう恐れもあるぐらいでした。

 

(4)疾患の知識がより深まりました

私は小児専門病院で働いたことによって、幅広い領域において疾患の知識が深まるだけでなく、珍しい疾患であっても実際に関わって必要な看護を学ぶこともできたと感じます。

具体的には、循環器、内分泌、血液、神経、免疫、悪性腫瘍、整形、発達、アレルギーというような多くの領域があり、小児科よりも、小児専門病院は尚更多くの領域の小児疾患を看ることになります。

 

看護師としても成長できたと感じます

小児専門病院では常に観察力、判断力を働かせなくてはならないため、日々スキルが高まり看護師としても成長することができました

小児の場合、自分の状態をつらい、痛い、苦しい、悲しい、不安、怖いなどの言葉にできない年齢の患児もたくさんいます。

そのため、患児の状態をアセスメントするためには、患児の直接的な言葉だけでなく、見て、触れて感じる観察力、判断力が実際に患児と接するたびに身に付いていきました。

 

(5)勉強会や研修が多い印象でした

私が勤務していた小児専門病院では、勉強会や研修が多く実施されていました。

それも参加必須というものが多かったです。

それだけ学べる環境が整ってはいるものの、プライベートを大切にしたいと思うと負担に感じることもありました。

また、対象者が小児であり、看護をする上で成人患者より危険度が高いため、指導は厳しい印象でした。

 

4.最後に

最後に

小児看護を極めていきたい方には小児専門病院は最適な環境だと思います。

看護のスペシャリストや小児医療で有名な医師の元で働くことができ、よりレベルの高い小児看護を極めていくことができます。

小児看護だけではなくて成人看護もやりたいという方や、小児看護に興味はあるけど向いているか分からないという方は総合病院で働く方が良いと思います。小児科が合わなかった時に総合病院であれば違う科に異動ができるので、そういった方は総合病院を選ぶことをおすすめします。

私の個人的な見解ですが、大きなくくりで見れば、成人も小児も看護師の仕事は同じです。

しかし、対象が小児というだけで勝手が違うのも事実です。特に小児専門病院は小児科の勤務経験がある看護師にとっても勝手が違うものです。

せっかく小児専門病院に転職するのであれば、長く勤められるように目的や目標をしっかり持っておくこと、そして小児専門病院がどのような職場であるのかを十分把握し、本当に自分に向いているのか自己アセスメントをしておくようにしましょう。

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