療養型病院で働く看護師の仕事内容(日勤と夜勤)

障害者施設
写真:shutterstock

皆さんは療養型病院について、どのようなイメージをお持ちですか。

「療養型病院は急性期病院と違って患者の急変や検査出しも少ないから、楽に仕事ができる」と思っている看護師の方も、いるのではないでしょうか。

【執筆した看護師のプロフィール】

山村真子 看護師
山村 真子 看護師資格確認済み
  • 東京都/32歳
  • 病棟経験:大学病院、総合病院
  • その他施設:デイサービス、ツアーナース、イベントナース、特別養護老人ホーム、訪問入浴、外来(整形外科)、健診センター、有料老人ホーム
  • 診療科経験:脳神経科、循環器科、内分泌科、一般内科、血液内科、腎臓内科、老年精神科(療養型)
看護短大にて看護師資格を取得後、大学病院に1年、総合病院に7年勤務し、その後様々な分野を経験。現在は看護師ライターとして活躍中。

私が療養型病院で働いた経験を元に、急性期病院と比較しながら説明していきます。(私が勤務していた療養型病院は284床の中規模病院でした。)

 

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1.日勤:看護師の仕事内容

療養型病院で働く看護師の日勤の仕事内容

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療養型病院で働く看護師の日勤の仕事内容は、大きく分けるとバイタル測定、入浴介助、食事介助、看護助手への指示出しの4つとなり、スケジュール例としては以下の通りです。

8:30~ ・申し送り
・カンファレンス
9:00~ ・おむつ交換
・清拭
・入浴介助
・褥瘡等の処置
11:00~ ・経管栄養
・食事準備
11:30~ ・食事介助
14:00~ ・カンファレンス
14:30~ ・検温
・記録
15:30~ ・おむつ交換
16:00~ ・経管栄養
16:30~ ・申し送り後、勤務終了

(検温は基本的には1回行い、医師へ毎日報告します。必要に応じて夜勤帯も行うこともあります。)

以下で詳しく説明していきます。

 

(1)バイタル測定

バイタル測定

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療養型病院では、状態が落ち着いている患者の割合が非常に高いです。

よって、バイタル測定も毎日全員を測ることはなく、曜日によって決められた患者と、看護師が測定した方が良いと判断した患者のみを測定していました。

バイタル計測が必要かどうか判断することも大事

ここで重要となるのが「看護師が測定した方が良いかどうか、バイタルから判断する必要がある」ということです。

看護師としての知識や経験から、患者一人ひとりの状態を看て「気になる」患者を見つけ出し、測定する必要があるかどうかを見極めなくてはいけません。この見極めができるかどうかが、療養型病院で働く看護師として必要なスキルの一つともいえます。

 

(2)入浴介助

入浴介助

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療養型病院は急性期病院とは違い、患者は比較的長期間病院に滞在し、生活を送っています。

そのため、療養型病院へ入院している患者にとって病院は生活の場であり、入浴は患者にとってリラックスできる、楽しみな時間の一つとなっています。

また、入浴後は保湿および褥瘡等創処置が必要な方も多く、入浴介助とは別に、更衣および創処置を専門に行う看護師および助手が1人ずつ配置され、それぞれ業務をこなしていました。

 

(3)食事介助(含む経管)

食事介助(含む経管)

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療養型病院に入院している患者の多くは、食事においても介助が必要となります。よって、食事介助も看護師にとって重要な仕事の一つです。

また、胃瘻や経管などを通して食事を取っている方も多く、その方々のケアも看護師が行う必要があります。

患者一人ひとりの状態の嚥下状況や食事摂取量などを見ながら、個々の患者にあった介助ペースにて介助を行う必要があるため、食事介助時は「腕がもっとたくさんあれば良いのに」と思ってしまうほど、忙しかったです。

 

(4)看護助手への指示出し(協力を依頼する)

看護助手への指示出し(協力を依頼する)

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療養型病院に勤務する看護師として重要な仕事の一つ。それが、看護助手への指示出しです。

療養型病院では、看護師の配置が少ない代わりに看護助手が多く配置されている場合が多いといえます。

病院によっては介護福祉士など、介護職員が配置されているところもありますが、筆者が勤務した病院での看護助手さんの多くは介護経験が全くない方々だったので、経験がない方であってもスムーズに業務が行えるよう、的確な指示を出す必要がありました。

 

2.夜勤:看護師の仕事内容

夜勤:看護師の仕事内容

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私が勤務していた療養型病院での夜勤は、基本的に看護師1人、看護助手2名の計3名体制で夜勤を行なっていました。

夜勤帯は看護師が1人であったため、急性期病院とは大きく異なる仕事内容となり、スケジュール例は以下の通りです。

16:30~ ・申し送り
17:00~ ・夕食の準備
18:00~ ・夕食
・食事介助
19:00~ ・検温(対象者のみ)
・体位交換
・おむつ交換
21:00~ ・就寝
23:00~ ・巡回
・経管管理
3:00~ ・状態が悪い患者への対応
5:00~ ・体位交換
・おむつ交換
6:00~ ・起床
・検温(対象者のみ)
基本的に身の回りのことは介護職員が主で行っており、看護師は患者の希望を聞き入れたり、話し相手になったり、趣味など(塗り絵をする、音楽を聴く)を手伝いします。寝たきりの人も多いので褥瘡を作らないケアが大切です。

では、具体的な仕事について、ご紹介します。

 

(1)巡回業務

巡回業務

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急性期同様、療養型病院においても定時に巡回を行い、患者たちが安全に眠れているかを看護師が観察してまわります。

この時、吸引など定時での医療処置が必要な場合は、これらをこなしながら巡回を行う必要があります。そのため、1回の巡回にかかる時間が長く、処置が立て込んだ場合には巡回に1時間以上かかることもありました。

1回の巡回でこんなに多くの時間がかかるというのは、実際に療養型病院へ転職して初めて知る事実でした。

 

(2)状態が悪い患者への対応

状態が悪い患者への対応

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「病棟内で看護師は1人しかいない」これが療養型病院での夜勤において、最大のネックとなります。

ただでさえ看護師1人で50名近い患者を看ていかなくてはいけない中、状態が悪い患者が1人でもいると、さらに夜勤の看護師にかかる負担は大きくなります。

 

(3)経管管理

経管管理

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経管および胃瘻管理は、看護助手が行うことはできません。そのため、どんなに忙しくても、経管管理は全て看護師が行わなくてはなりません

患者の介助に追われる中、決められた時間通りに経管管理を行うのは、看護師としての知識と経験がないとかなり厳しいと言わざるを得ません。

看護師として優先順位を頭の中に入れて行動を起こせるかどうかが、療養型病院で働く上で重要であり、またこれができないと看護師として働くことは厳しいとすら言えます。実際に看護師歴が短い方は、なかなか経管栄養の管理まで手が回らず、結果いつまでも夜勤の独り立ちができずにいました。

 

(4)食事介助

食事介助

写真:shutterstock

日勤の際にもご紹介しましたが、療養型病院へ入院されている方のほとんどは、日常生活全般において、介助が必要です。

そのため、夜勤という人手が少ない中行う食事介助は、まさに目も回るほどの忙しさとなります。

私が勤務していた病院では、夜勤看護師1人が、患者3名の食事介助を同時に行うことでなんとか回していました。

夜勤時は食事介助の間にも、患者への投薬等も行う必要があるため、看護助手の方々と協力し、声をかけあって、患者をお待たせすることのないように十分に注意しながら、介助を勧めていました。

 

(5)看護助手への指示出し(協力を依頼する)

看護助手への指示出し(協力を依頼する)

写真:shutterstock

療養型病院の夜勤をうまくこなせるかどうかは、「看護助手への指示出しにかかっている」といっても、過言ではありません。

それぐらい大切な仕事になります。

看護助手の方々の多くは、自分の親世代ほど年が離れています。

私はいかに丁寧に、仕事をお願いできるかどうかを大切にするとともに、普段から意識して看護助手とコミュニケーションをとることで、夜勤時にスムーズに仕事ができるように気を配るようにしていました。

 

3.私が働いて感じたこと

私が療養型病院で看護師として働き、感じたことを説明していきます。

どの職場もそうですが、働くメリットもあれば、デメリットがあることが実情といえます。

 

(1)入浴介助は体力的に大変

入浴日は通常の業務に加えて入浴介助を行う必要があるため、体力的にもかなり大変でした。

私が務めていた病院では、状態が落ち着いている患者は週に2回入浴することになっていたため、入浴日は看護師と看護助手がペアを組み、午前・午後とわけて1日あたり20名ほどの患者の入浴介助を行なっていました。

療養型病院へ入院されている患者のほとんどは、全般的な日常生活において介助を必要としているため、ストレッチャーによる入浴となります。そのため、看護師は助手さんと声を掛け合い、ボディメカニクスにも十分注意しながら入浴介助を進めていきました。

 

(2)夜勤での非常事態は何度もある

私が勤務していた病院では、入院前に家族へ療養型病院であることを説明するとともに、事前にNDR(蘇生措置拒否)確認をしているため、急変時に救命目的での心臓マッサージや人工呼吸などを行うことはほぼありません

しかし、看取りの段階となった時、家族より「自分たちが到着するまで心臓マッサージはしてほしい」という要望があった場合は、家族が到着するまで心臓マッサージを行わなくてはいけません。

こういった非常事態では、当直師長および他病棟の夜勤看護師に応援を依頼しながら、なんとか夜勤を乗り切っていました。

 

(3)コミュニケーション能力は向上した

療養型病院では、看護助手の方など他職種の方と連携することがより重要となるため、コミュニケーション能力を高められたと思います。

職員に限らず患者1人あたりの在院日数も急性期病院に比べると長いため、患者やその家族と長期間にわたって良好なコミュニケーションを取る必要があり、コミュニケーション能力を鍛えることができました。

 

(4)ゆっくり患者と向き合えた

1日あたりの患者と接する時間は短くとも在院日数は長くなるので、必然的に患者と関わる時間は必然的に長くなります。

患者が、いかに安楽に日々を過ごせるかを職員同士、そして家族と話し合い、ひとつずつ実行していくことで、たとえ表情が乏しくなったとされている患者でも、少しずつ表情が柔らかくなるなどの変化が見られるようになります。

その長期間、患者と関わっているからこそ感じることができる変化は、まさに療養型病院で働く醍醐味だともいえました。

 

(5)よほどの事がない限り定時で帰宅できた

療養型病院では、急性期のように勤務終了間際に緊急入院や検査が入ることはほとんどありません。

そのため、よほどのことがなければ定時に帰れることが多かったです。

小さいお子さんがいる方も保育園のお迎えに間に合うので助かるといった声や、仕事後に習い事を入れている方など、職員がそれぞれ仕事以外にプライベートも充実させていました。

 

(6)給料は残業がない分、安くなった

私が急性期病院から療養型病院へ転職した際、基本給や各種手当は、急性期病院とはほぼ変わりませんでしたが、手取り金額は数万円下がりました。

その理由として、

  • 夜勤回数が月7回から月3回へ減少した
  • ひと月あたりの残業時間が1時間と、ほぼない状態だった

この2点があげられると考えます。

 

(7)行いたい看護が違い、辞めていく看護師もいた

私が勤務している間、急性期から数人の看護師が転職してきましたが、急性期病院の業務内容との違いに戸惑い「私がやりたい看護はこういう看護ではない」と短期間で辞めていっていました。

こういった方々はみなさん共通して「急性期病院では人間関係が辛かった、慢性期病院では仕事が楽だから、人間関係もよさそう」というように、急性期での業務そのものではなく、人間関係などを理由にして転職しており、転職後に療養型病院の業務内容の違いに困惑し、辞めてしまっていました。

 

4.最後に

急性期でも様々な看護を学べますが、患者にとって急性期病院で過ごす日々は人生の中でもほんの一部です。

そのため私は療養型病院に勤務することで「急性期に起こった麻痺や障害が、日常生活においてどのように影響しているか」、そして「残存する機能を維持することがどれほど大変なことなのか」を学ぶことができると考えます。

療養型病院は決して楽な職場ではありませんが、やりがいも多く感じる職場です。是非あなたも、療養型病院への転職を検討してみませんか。


   
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更新:2019年7月19日
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