私が働いていた呼吸器内科病棟では、主に肺炎、肺がん、じん肺、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの患者を扱っていました。それに加え、気胸・膿胸・喘息発作の短期入院、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査入院も定期的に一定数行っていました。
呼吸器内科は、看護師として吸引や人工呼吸器の操作、酸素マスクの管理などの技術を習得でき、内科全般の疾患にも強くなるため、若手の看護師にも非常に人気の高い診療科です。
私が呼吸器内科病棟で働いた経験をもとに、看護師の仕事内容や働いて感じたこと、やりがいについてご紹介していきます。
呼吸器内科病棟で働く看護師の仕事内容

私が働いていた、呼吸器内科病棟での看護業務・仕事内容は、基本的には他の内科系疾患を扱う病棟と大きな違いはなく、具体的にいえば、患者のバイタルサイン測定、聴診器を使った全身状態の確認、SpO2測定、採血、点滴施行、医師の回診介助と処置介助などが主です。
喘息や肺炎や気胸の患者は、若い人が多く、入院期間も短いので治療が済むと、1週間から10日で退院して行く人が多いのが特徴的でした。
また、睡眠時無呼吸症候群の検査のため一泊入院したり、治療器具を装着して実際に効果があるか脳波をとったりするための検査入院も多く、看護師の仕事は多様化しています。
私が呼吸器内科病棟で働いた際の1日(日勤)のスケジュール例は、以下の通りです。
| 8時30分~ | 出勤:情報収集、勤務帯に施行予定の点滴準備、処置準備 |
|---|---|
| 8時40分~ | 病棟全体朝礼、勤務帯引継ぎのための申し送り |
| 9時00分~ | 受け持ちナースとリーダーナースとのショートカンファレンス |
| 9時30分~ | 部屋巡回業務 |
| 10時30分~ | 必要時、医師への状態報告、介助が必要な患者の清拭や保清ケア |
| 11時30分~ | 交代で休憩 |
| 12時30分~ | 昼食後の内服薬を配薬、口腔ケア |
| 14時00分~ | ・必要時、医師への状態報告、介助が必要な患者の清拭や保清ケア ・チーム別にカンファレンス |
| 15時00分~ | 必要時、医師への状態報告、介助が必要な患者の清拭や保清ケア |
| 16時00分~ | 業務の漏れの確認、明日の検査の準備、申し送り準備 |
| 16時30分~ | 夜勤帯勤務者を交えた業務の引継ぎ、申し送り |
| 17時00分~ | 終業時間(残った業務や看護記録を再開する) |
その他、呼吸器内科病棟特有の看護師の仕事内容について、私の経験から以下で説明していきます。
受け持ち患者のケア

呼吸器内科病棟で働く看護師は、各受け持ち患者のもとへ順番に回り、以下がメインの仕事です。
- 患者のバイタルサイン・SpO2測定・呼吸チェック等
- 患者の全身状態の確認
- 酸素投与中の患者の酸素流量のチェックや加湿水の補充
- 必要な患者には吸引施行
- 点滴を開始や継続のための交換 等
集めた情報を元に早期に報告が必要な患者がいれば、外来中の医師に連絡し、看護師は状態報告と指示受けを行います。
さらに平行して、看護師は寝たきりの患者や点滴ルートが多く、一人では着替えや入浴ができない患者の介助も行います。
ターミナル期の看護

急性期病院、慢性期病院に関わらず、呼吸器内科病棟には、肺がんのターミナル期の患者が入院しています。
そのため、呼吸器疾患に関する知識の他に、ターミナル期の疼痛コントロールや看護が、呼吸器内科病棟で働く看護師の仕事です。
看護師の体験談
私が勤務していた呼吸器内科病棟では、重症患者になると一時的に人工呼吸器を装着している患者も少なくありませんでした。
そのため、人工呼吸器の機械そのもの操作方法、モニターの見方、またモードの設定の種類、人工呼吸器適応の呼吸状態、または全身状態なのかという緊急性の判断は医師でなく看護師にも必要な知識でした。
さらに呼吸器内科では、とにかく挿管や、人工呼吸器装着時の処置介助にも看護師は関わりました。
酸素量の管理や酸素吸入に必要な物品の管理

呼吸器疾患を持つ患者たちの多くは、症状の軽い・重いに関わらず、酸素療法を行いながら入院生活を送っている方がほとんどでした。
そのため、酸素量の管理や酸素吸入に必要な物品の管理、また労作時に起きる呼吸の変化にすぐに対応して。患者の呼吸症状の苦痛を軽減できるようにすることも、呼吸器内科病棟で働く看護師の大事な仕事です。
さらに、痰の吸引も呼吸器疾患には必ずといって良いほど必要な処置になるため、看護師は患者への吸引施行の仕事も多いです。
患者の退院支援や生活指導

呼吸器内科病棟に入院した患者が急性期を脱し、退院を迎える方たちには、生活指導も重要な看護師の仕事です。
私が勤務していた呼吸器内科病棟では、呼吸器疾患はタバコが原因といわれているものが多く、禁煙などの生活習慣の改善を進め、退院後も家庭での継続的なケアの必要性を理解してもらうことも大切でした。
外来との連携

呼吸器内科病棟に慢性閉塞性肺疾患の患者などが入院する場合、感染性肺炎を起こし症状が重症化した場合などが多い印象でした。
そのため、入院時以外にも自宅で酸素療法を行なっていることが多く、外来との連携も呼吸器内科病棟で働く看護師の仕事の1つでした。
呼吸器内科病棟で働いて感じたデメリットやつらいこと

私が呼吸器内科病棟で働いて感じた、他の診療科との違いやデメリットに感じたこと、つらかったことを紹介していきます。
もちろん、すべての呼吸器内科病棟が、私が経験した内容には当てはまらないと思いますので注意してください。
患者の急変が多い職場だった

呼吸器内科病棟では、病気の性質上、患者が急変することも多い印象でした。
多くの患者は呼吸器をつけています。呼吸器は酸素を取り込むために必要な器官であり、そこに問題が起こると命に関わるため、看護師としてプレッシャーに感じることもありました。
残念ながら、急変からそのまま亡くなる患者も少なくありませんでした。
また、私が勤務していた呼吸器内科病棟では、肺がんのターミナル期の患者が大勢入院しており、時期によっては毎日のように「お看取り」に立ち会う場面がありました。
そのため、呼吸器内科病棟は他の診療科と比較して「精神的な負担が大きい」と感じる看護師もいました。
看護師の体験談
患者に呼吸器を装着すると声を出すことができず、早期に離脱した患者はリハビリで発生を取り戻すことはできますが、なかなか離脱できない方や、今後は装着し続けなければ生命維持ができない患者もいました。
そのような患者から、ある日「家族や孫と一緒に声をだして話したかった」「生まれてきた孫の名前を呼べない」「声も覚えてもらえない」と涙を流して訴えた患者に治療上必要なことだったと理解していても、人間として心が痛くなりました。
自分がその立場なら、看護師の立場からという気持ちの整理がなかなかつけられない日々があり、その期間は仕事がとてもつらく感じました。
基本的に忙しい病棟だった

私が勤務していた呼吸器内科病棟は、基本的に満床であることが多く、ナースコールが鳴り止まないことも多かったです。
特に冬の時期は、肺炎をこじらせた患者の緊急入院も多く、毎日のように残業することもありました。
また、呼吸状態が悪化するとすぐに急変につながり、その発生は時間帯に関わらず起こる為、時間外勤務が多い印象でした。
私たち看護師は、いつ起こるかわからないイレギュラーな緊急処置や急変に備え、レギュラー的な業務は早め早めにこなしていくように意識するため、せかせかとあわただしく業務にあたっていました。
自己学習が多い職場でした

特に新人看護師の頃はとにかく、日々の業務をこなすにも時間がかかり、分からないことを家に持ち帰り、課題をひたすら学習する生活でした。
それを行わなければ、呼吸器疾患の理解や、カンファレンスについていくことができず、寝不足状態で疲れが取れないということも、つらかった経験です。
また、呼吸器関連の機械管理に関しては、新しい機械が導入されるたびに勉強会で学ばなければならず、いつも勉強に追われる日々で自信を持って管理できるようになるのに時間がかかりました。
呼吸器内科病棟で私が感じた看護師のやりがい

呼吸器内科病棟では、つらいこともありましたが、つらい中にも「やりがい」を持って看護師として仕事ができたことも事実です。
私が感じた呼吸器内科病棟での看護師のやりがいについて、以下で紹介していきます。
専門的な知識と介助スキルが向上し、やりがいを感じた

私は、勤務していた病院が3次救急指定の病院だったこともあり、かなりの急性期病棟である呼吸器内科でした。
その呼吸器内科病棟では、患者への挿管・抜管・人工呼吸器の装着や離脱はかなり頻繁に行っていましたが、その緊迫した医療現場では、看護師として専門的な知識と介助方法を知らなければ仕事についていけませんでした。
そのため、自身で勉強し看護師として実践できた時は喜びを感じ、自分の成長にやりがいを感じました。
また、勤務していた呼吸器内科病棟では労災が絡む事が多く、その点での知識が増えました。例えば「労災で賄われる治療法」や「薬の種類はなんなのか」等について詳しく知れることは、その後の看護師での仕事にも役立ちました。
スキルを高め合うことが出来る仲間に出会えたこと

私が勤務した呼吸器内科病棟では、患者の急変時にスピード感を持ち、医師や他の看護師たちと救命に関わっていました。
その際に、本当に全スタッフが「患者を助けたい!」という強い信念をもって動いていました。
そのため、現場は「ひとつのチーム」となります。
これも私が看護師として働いているうえで、やりがいと喜びを感じられるものでもあり、スキルを高め合うことが出来る仲間に出会えたのは、私の財産だと感じます。
患者指導を通して患者との関係性がより良いものとなる

呼吸器内科病棟の看護師の仕事である、患者へ退院指導や生活習慣指導などから、患者、その家族が次第に信頼をしてくれました。
呼吸器内科病棟は、高齢患者の多い診療科だと思われていますが、若い患者も多く、退院後の目標を一緒に持って取り組めるのは楽しいひと時でした。
私の場合、普段から患者との会話量も増え、世間話や冗談なども言い合えるようになりました。
入院生活を送る患者の身の上話を聞く機会もあり、想像もつかないような過去があることや、ギャップに驚いたり、おなかを抱えて笑ったりと忙しい呼吸器内科病棟でも楽しんで患者と関われました。
担当以外の日にも、名前で声をかけてもらえるような雰囲気は働いていて楽しいですし、看護師としてやりがいを感じました。
症状の改善が目に見えて実感できる時もある

看護師として患者への働きかけの成果が出やすいのも呼吸器内科の特徴だと感じます。
呼吸器疾患は、一時的に酸素投与の必要性から医療機器を身につける期間もあります。
しかし、治療を通して少しずつ活動範囲を広げたり、短時間の酸素投与を中止できる時間が設けられたりと、客観的に患者の症状の改善を実感しやすい診療科でもあります。
私は、看護師として患者の症状が改善されたときに、やりがいを感じました。
また、呼吸器の疾患は、生活習慣が原因となっているものも多く、看護師として指導し生活習慣が改善することで病状が改善することも多くありました。
希望の診療科への求人探しは看護師転職サイトを活用しよう

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まとめ
呼吸器内科病棟で働く看護師の仕事内容ややりがいについて、紹介してきました。
看護師として、呼吸器の看護スキルを極めたいと考える方は、なるべく高度な治療を行っている、規模が大きな病院や大学病院への転職を検討することをおすすめします。
また、今回は呼吸器内科病棟にしぼって紹介しましたが、呼吸器内科はクリニックも沢山あり、夜勤ができない看護師方は、クリニックを希望してチャレンジしても良いでしょう。
なお、呼吸器内科クリニックの場合は、病棟で扱われる疾患の他にも睡眠時無呼吸症候群を扱うところも多く、呼吸器内科クリニックごとで特徴が異なます。
上記でおすすめした、看護師転職サイト等を活用し、下調べを行うことが大切です。
呼吸器内科は忙しい病棟であり、大変さもありますが、看護師としての学びが多く、これからの社会で需要が増え続ける領域です。
興味がある看護師の方は一度経験してみてください。
私は、この記事を執筆している中で、もう一度、育児が落ち着いたら、呼吸器内科病棟の現場に戻りたくなりました。
新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、キャリアアドバイザーとして看護師の転職支援を始め、多くの転職者のサポートを担当中。


