シップナースとは、クルージングなどの船に添乗し、船旅の期間中に体調や悪くなった人の対応及び、怪我をした際の応急処置などを行うことが主な仕事内容となる看護師を言います。
もちろん、船の上に手術室や手術ができる設備が完備されている訳ではないため、病院勤務の看護師のように、術後の患者の容態管理や看護を行うことはありません。
クルージングが人気となっている昨今では、シップナースの求人も増えおり、旅行が好きな看護師にとっては魅力的な職場でしょう。
シップナースになるために必要なことや、平均年収、働く上で考えられるメリット・デメリットなどを、看護師目線でお伝えしてきます。
- エリア:神奈川県在住
- 保有資格:看護師
- 施設経験:総合病院、特別養護老人ホーム、クリニック、介護老人保健施設、デイサービス、健診センター、イベントナース、健康相談員
- 専門分野:脳外科、神経内科、内科、皮膚科、美容皮膚科、整形外科
食べること、スポーツ観戦が好きな看護師。社会勉強と称していろいろなところで働いた経験を綴っています。派遣看護師の経験もあり、派遣では回復期の病棟業務、デイサービス、検診センターで仕事の経験があります。
シップナースになるためには?

看護師がシップナースになるためには、船会社の正社員募集に応募することや、クルーズ会社と契約(委託契約や契約社員)を行い、看護師として採用されることで、働くことが可能です。
一般的に、シップナースに必要な経験・資格として、3年以上の看護経験や、救急医療の経験・資格が必要な場合、医療英語や日常会話レベルの英語力が必要になる場合があります。
看護師がシップナースになるために、必要なことを3つ以下で詳しく説明していきます。
応募するために必要な資格や経験

実際にシップナースを募集しているクルーズ会社の事例から、応募するために必要な資格や経験を確認していきましょう。
必要な資格や経験は、シップナースを募集している会社によって異なります。一般的にシップナースへの応募に必要なことを紹介します。
(以下は、一つの会社の募集要項を参照しています。)
| 必要な資格 | ・看護師免許 |
|---|---|
| 看護師としての経験 | ・3年以上の看護師実務経験のある方 ・1年以上の救急医療経験のある方(ER/救急科/ICU/心臓病科の経験者歓迎) |
| 必要なスキル | ・英語で医療業務が行える方 |
| 必要な研修 | ・勤務開始までにACLSプロバイダーコースを取得できる方 |
| 乗船する期間や契約 | ・2契約(約4ヶ月×2)以上ご勤務いただける方 ・ご応募後、約3ヶ月以内にご乗船できる方 |
英語力に関しての注意点
看護師としての実務経験は必須で、一番のハードルは「英語で医療業務が行える方」という部分です。
看護師として英語が出来るけど、仕事に生かせていないと感じている方に関しては魅力的です。
中には、日本人旅行者のみを乗せた客船もあり、運営会社によっては、英語で医療業務が行えることが必要ない場合もあります。ただし、日常会話の英語や、医療英語ができることで、シップナースの採用に有利にはたらくことは間違いありません。
シップナースとして働くための雇用先

シップナースになるためには、以下のような方法があります。
- (a)船会社の正社員になる
- (b)クルーズ会社と直接委託契約する
上記の2つがシップナースになるための代表的な方法です。(基本的には企業で働く企業看護師ということになります。)
それでは、詳しく説明していきます。
(a)船会社の正社員になる方法
船会社が活用する船には、客船と貨物船とがありますが、シップナースはどちらにも乗船することができます。
貨物船の場合、長期間の渡航が圧倒的に多く、数ヶ月~半年程度は、船の上で乗員の健康管理を行うことが仕事内容となります。
そのため、客船だけの乗船を考えている看護師の方は注意が必要です。
(b)クルーズ会社と直接委託契約する方法
客船のみに乗船したい看護師の場合、クルーズ会社と直接委託契約する方法もあります。
これは、クルーズ会社が運営する船旅に添乗するというもので、一般的には乗船期間は半年から2、3日のものもあります。
クルーズ会社と契約しているシップナースの場合、それぞれ自分で期間を選んで働くことができます。
また、直接委託契約のため働き方は契約社員という雇用形態が多いですし、必ずしも毎日仕事があるわけではないことは理解しておいた方が良いでしょう。時間的にフレキシブルであることと、経済的な基盤も必要となります。
シップナースの求人を探す

シップナースだけではなく、企業看護師求人全般に言えることですが、求人は非常に出にくいと言えるでしょう。
そのため、
- 自分でこまめに求人をチェックしておく(探す)
- 看護師転職サイトなどに複数登録し、担当者に伝えておく
などの対策が必要です。
看護師転職サイトに関しては、以下の「当サイトおすすめの看護師転職サイト3選!」を参照してください。
また、ツアーナース(旅行添乗)でも、シップナースの求人を募集している可能性があるため、合わせて探しておきましょう。
日本のクルーズ船の会社の公式ホームページで求人を探す
日本企業が運営しているクルーズ船会社の公式ホームページで求人を探し、直接応募する方法もあります。
主に、有名な日本のクルーズ船と会社は以下の通りです。
| 商船三井客船 | 所有客船:にっぽん丸(小型船) 乗客数:最大449名 総重量:22,472トン → 公式採用ページ |
|---|---|
| 郵船クルーズ | 所有客船:飛鳥Ⅱ(中型船) 乗客数:約490名 総重量:50,444トン → 公式採用ページ |
| せとうちクルーズ | 所有客船:ガンツウ(小型船) 乗客数:38名(乗組員46名) 総重量:3,013トン → 公式採用ページ |
その他、日本のクルーズ会社も確認しておきましょう。
また、日本において、外国船で有名な客船は、「MSCベリッシマ」「ダイヤモンド・プリンセス」「クイーン・エリザベス」などになります。採用を行っている場合もありますが、新卒採用がほとんどのため、注意しましょう。
こまめに求人をチェックしておこう
客船の場合、1週間程度の短期クルージングから、1年程度の長期クルージング等もあります。シップナースは、医師や他の医療スタッフと共に、乗客や乗員の健康管理を行うことになります。
しかし、船会社の正社員で働くシップナースのバ場合、看護師としての仕事以外にも、管理職のような職務を任されることもあります。
船会社からの求人は、定期的に行われているわけではなく、欠員等で求人募集が出るため、タイミングを逃さず細目に求人をチェックし、探すことが大切です。
シップナースの平均年収や給料

シップナースの給料は、看護師として病院勤務などをしている方と比べると年収はかなり高めになっていることが多いようです。
日本国内には大手クルーズ会社や船舶企業が複数あり、乗船しているシップナースの平均年収は800万円超となっています。
月々の給料にすると約50万円/月ぐらいと言えます。(当サイト調べ。)
ただし、シップナース勤務は、勤務する会社によって異なりますが、24時間体制(1日10時間~12時間となりシフト制が多い)となる場合が多いです。
契約社員のシップナースの収入は不安定

船会社やクルーズ会社等で正社員として働いた場合、上記のように高い年収を受け取ることが可能ですが、クルーズ会社の契約社員として船旅に添乗する際には、必ずしも高給料が貰うことができるわけではありません。
契約社員の場合、仕事の期間が決められており、乗船していない時には収入が減ることも、考えなければいけません。
シップナースとして働く上で考えられるメリット

シップナースとして働く上で、考えられるメリットは、一般の病院勤務の看護師と比較すると、待遇面がかなり良いという点が挙げられます。
シップナースの仕事内容は、基本的には乗客や乗員の健康管理及び、怪我をした時には応急処置などとなり、病院勤務の看護師のように、常にストレス一杯でピリピリした環境で働かなければいけないというわけではありません。
しかし、船の上ということで勤務は24時間体制(1日10時間~12時間となりシフト制が多い)となり、仕事が終わったからと言って自宅に帰れるわけではありません。ただし、その分、働く看護師の給料や待遇面がかなり良くなっています。
他にも、病院勤務の看護師と比較した場合、シップナースには以下のようなメリットが挙げられます。
綺麗な海に癒されながら仕事をすることができる

シップナースの仕事環境は決して過酷ではなく、患者がいない時には、医務室等の椅子に座って待機しており、綺麗な海を眺めることもできます。
また、シップナースの仕事はシフト制であることが多く、仕事以外の時間帯は、自分の時間として活動することが可能です。
そのため、シップナースは綺麗な海に癒されながら仕事を行えることが最大のメリットでしょう。
ただし、勤務するスタッフの人数にもよりますが、クルーズ船の乗客が200名を超えてくると、乗客からの連絡や体調不良の相談等が増え、シップナースとしての仕事が大変になる場合もあり、注意が必要です。
看護師として幅広い知識が身に付く
クルーズ船によって異なりますが、基本的には看護師が1名、医師1名で対応する場合が多く、船酔いなどの軽度の症状の対応から、患者の状態に合わせて様々な症例に対応しなければなりません。
そのため、シップナースは、看護師として幅広い症例に触れることが可能で、知識を身に付けられることがメリットです。
また、クルーズ船は、乗船期間が長いため、重度の症状を訴える患者にも、出くわす場合があり、看護師としては救急対応の知識が必要不可欠です。
船の上でも夜間に患者さんの体調が悪くなれば起きて対応することはありますが、毎晩というわけではありません。基本的に、船の上で手術を行ったりするわけではありませんが、医師が休んでいる際など、シップナースに緊急時の判断を求められる場面もあるでしょう。
長期の休みが取れる場合がある

シップナースは、クルーズ乗船後に長期の休みを取れることがメリットです。
クルーズ船を運営している会社によって異なりますが、2ヶ月~3ヶ月のクルージングに、シップナースとして乗船する場合、その後は20日間や30日間の長期休暇を取得出来る場合があります。
長期休暇後に、また新しいクルージングにシップナースとして乗船するため、気持ちを切り替えて、仕事を行うことが可能です。
しかし、クルーズに乗船している間は拘束時間が長いため、メリットにもデメリットにも感じる方もいるでしょう。
シップナースとして働くデメリットとは

以下で、シップナースの一般的なデメリットを説明していきます。
帰港するまで家に帰れない

シップナースの最大のデメリットは、一度航海に出ると、帰港するまで自宅に帰れないということでしょう。
クルージング会社と契約し、短期間の船旅に乗船するシップナースの場合、一度に家を空ける期間が数日間だけということも可能ですが、船会社の社員などで貨物船に乗る場合には、航海に出ると3ヶ月から半年近く家に帰れないということも珍しくありません。
また、1人暮らしをしている人も、長期間、家を空けている間のことは心配ですが、家庭を持っている人にとっては、家庭と仕事の両立が難しいことも、シップナースの大きなデメリットでしょう。
薬の管理や雑務も看護師の仕事となる
シップナースは、体調不良を訴える患者の対応の他に、薬の管理やその他の雑務など看護師業務以外の仕事行う場合が多く、デメリットに感じる方もいるでしょう。
クルーズ船によりますが、看護師が2名、医師が1名などの体制で仕事を行う場合が多いです。(看護師2名は、シフト制で交代勤務。)
そのため、必然的に薬の管理などは、医務室に勤務している看護師の仕事です。医師が1人で行っている小さなクリニックで働くイメージに近いでしょう。
また、場合によっては、その他の雑務なども仕事内容に入ります。
仕事中の気分転換が難しい可能性がある
仕事が終了した場合でも、行動範囲が制限されてしまうことが、シップナースのデメリットです。
船の上では毎日同じ人たちと顔を合わせ、「ショッピングモールに行きたいな」と思っても帰港するまではできません。
仕事の気晴らしに、出かけることが好きな人にとっては、船の上でしか行動できない事は、精神的なストレスが溜まってしまうかもしれません。
看護師は1人のため責任が重い
シップナースは、船の上の医務室に勤務しますが、そこに勤務しているのは医師とシップナースのみです。
船の大きさや、渡航期間によって医師やシップナースの数は異なりますが、場合によってはシップナースが船の上に自分1人ということもあります。
そうすると、看護師1人に与えられる責任が重大となり、その場の状況に応じて自分で判断しなければいけません。
そのため、看護師としての経験や知識、ある程度の技術力を持っていることが、シップナースとして働くためには必要不可欠な要素なのです。
患者の対応が24時間となる
看護師の勤務は交代制のため、一般的には8時間程度の勤務となりますが、乗客からの連絡や呼び出しがあった場合には、24時間体制で対応しなければなりません。
また、基本的に、医師は1名のみの場合が多く、医師が休んでいる場合は、医務室等にて1人で勤務する場合もあります。
まとめ
シップナースは、旅好きの看護師にとって非常に魅力的な職業なのではないでしょうか。

しかし、いくら興味があった場合でも、いきなり正社員として働くのは、当然壁が高いと言わざるをえません。
そのため、シップナースの仕事に興味のある看護師は、まずは派遣のシップナースから始めてみる、またはツアーナースなどの経験を積むと良いでしょう。
いずれにしても、シップナースとして働くことで、自分の看護師人生において貴重な経験となることは間違いありません。
新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、キャリアアドバイザーとして看護師の転職支援を始め、多くの転職者のサポートを担当中。
