MFICUは、ハイリスクがある(重篤な医療的状態にある)妊娠とその胎児に対して高度な医療ケアを提供する集中治療室です。
またMFICUは、「Maternal Fetal Intensive Care Unit」の頭文字を取った略称で、Maternalは母親(母体)、Fetalは胎児を意味し、「母体・胎児集中治療室」と略されます。
私は現在、総合周産期母子医療センターのMFICU(9床)で助産師として3年間勤務し、患者の日常生活援助及び療養の補助を行いながら、後輩指導にも従事しています。
昨今、女性の社会進出や不妊治療の進歩により高齢初産婦・多胎妊娠の増加や近年精神疾患を合併している妊婦が増加し、MFICUに入院するハイリスク妊婦を取り巻く環境は複雑化しています。
私の経験から、MFICU(母体・胎児集中治療室)で働く助産師の仕事内容や働いて感じたことを説明していきます。
- エリア:大阪府在住
- 保有資格:看護師、助産師
- 施設経験:市民病院、総合病院、個人病院、クリニック(助産院)
- 専門分野:産科、婦人科、内科
私は、助産師として働きだし15年以上になりました。勤務場所は、総合病院、クリニックです。また、夜勤バイトでも、個人病院や産科クリニックなど、複数の職場でダブルワークを経験してきました。40代が目の前に迫ってきた今、私の経験が誰かの役に立つのかもと思い立ち、ライターをはじめてみようと思いました。記事を書くのは初心者ですが、読んだ方が、「また明日も頑張ろう」と気持ちを後押しできるような記事が書けるよう、頑張ります。
MFICUで働く助産師の仕事内容

私が勤務していたMFICU(母体・胎児集中治療室)は9床の施設で、隣にNICU(新生児集中治療室)とGCU(継続保育室)が併設されていました。
MFICUには、主に切迫流早産、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、胎児機能不全、胎児発育遅延などの妊婦(患者)が入院していました。
MFICUで働く医療スタッフは、産婦人科医、助産師、看護師だけでなく、小児科医師や医療ソーシャルワーカーとも連携しながら働いていました。
また、MFICUには、24時間体制で医師が常駐し(夜間は当直医2名)、助産師は3床に対して1名が配置されていました。
以下では、私の経験をもとにMFICUで働く助産師の仕事内容詳細について説明していきます。
ハイリスク妊婦の全身管理

MFICUでは、できるだけ妊娠期間を継続できるよう、医師の指示のもと助産師は、ハイリスク妊婦の全身管理を行います。
助産師が行うMFICUに入院中の患者に対する全身管理における主な項目を以下の通りです。
- バイタルサインの測定
- 切迫兆候の有無(子宮収縮・出血の有無)
- ドップラーの聴取
- NSTによる評価
- 子宮収縮抑制剤持続点滴の管理
- 前期破水患者に対する抗生剤の投与
- 内服薬(鉄剤・抗生剤・昇圧剤・便秘薬など)の管理
- 妊娠糖尿病患者に対する血糖コントロール
- 入院中の妊婦健診
- 超音波検査の介助
- 状況によって切迫早産患者に対してリンデロンの投与
これらの項目をもとに全身管理を行いながら、助産師は異常の早期発見に努め、患者のサポートを行います。
また、これらの管理は患者の健康状態と胎児の成長に影響を及ぼす可能性がある要因を早期に発見し、適切な対応を取るために行われます。助産師は技術と専門知識を駆使して、妊娠中の患者のケアに従事し、母体と胎児の安全を確保します。
患者の精神面のケア

妊娠がわかった時、多くの妊婦は小さな命に期待と喜びを膨らませ、日々お腹の中で成長していく我が子に会える日を心待ちにして幸せな時間を過ごします。
しかし、そんな時に突然の子宮収縮、出血、破水などで予期せぬ入院を強いられることがあり、崖から突き落とされたような思いで入院生活を送る患者は少なくありません。
時には、患者自身に置かれた状況が受け入れられず、妊娠の継続を拒む方もいます。
そのような患者に対して、MFICUに勤務する助産師は、少しでも前向きに治療に臨み、長期入院を乗り越えられるよう精神面のサポートをすることも大切な仕事です。
入院患者の家族への説明

妊婦(患者)の予期せぬ入院は、患者本人だけでなく、その家族にも大きな不安を与えます。
そのため、MFICUで働く助産師は、患者の家族にもしっかりと状況を理解してもらうことが重要な仕事です。
患者が安心して入院生活を送れるように、医師や助産師が家族への十分な説明と同意を行うことが不可欠です。
助産師の体験事例
MFICUに入院中の患者で、特に上の子供がいる場合は、子供のお世話や精神面のフォローに助産師としてよく頭を悩ませることがありました。
身近にサポートする家族がいない場合など、夫の仕事の調整や預け先の確保なども行ってもらう必要があり、とても大変でした。
分娩に向けたバースプランの作成

患者と共に分娩に向けたバースプラン(自分らしく満足する出産を迎えるために、妊婦の出産に対する考え方や希望・要望を述べたもの)の作成を行うことも助産師の仕事の1つです。
MFICUに入院する患者は、遅かれ早かれいつかは分娩する時期が訪れます。
バースプランを作成していく時期は、患者の状況によって異なるため、一般的にMFICUで働く助産師は、医師や看護スタッフともカンファレンスをしながら決定していきます。
助産師の体験事例
MFICUに入院している患者は、1日でも長く妊娠を継続したいと望んでいる方が多く、なかなか自分が分娩することをイメージできている人は少ない印象でした。
予期せぬ状況下であっても、今回の妊娠・出産が少しでも主体的に望めるように、時期を見極めながら分娩に向けたバースプランを作成していくことは助産師としてとても重要な仕事でした。
患者への個別教室の開催

患者に対して必要に応じた妊娠・出産・育児の個別教室の開催を行うこともMFICUで働く助産師の仕事の1つです。
MFICUに入院している患者は、入院期間が長期化することも多く、母親学級に参加することができないこともあります。
(母親学級:医師や助産師から、妊婦に必要な妊娠・出産・育児に関する知識や情報を学ぶことや、沐浴や赤ちゃんの抱っこなどの体験ができる場のこと。)
MFICUに勤務する助産師は、個別で母親学級を開催し、妊娠・出産・育児に関する不安が少しでも軽減できるようサポートしていきます。
助産師の体験事例
実際に切迫早産などでMFICUに入院していた患者が、出産した後に「入院していて母親学級に参加できなかったのでいろんなことが不安です」と訴える人も少なくありませんでした。
そのため、私が勤務していたMFICUでは、希望する患者や助産師が必要と判断する患者に対しては、個別で母親学級を開催していました。
他部署のスタッフとの情報共有

MFICUで助産師として働く場合、小児科やNICU・GCUの看護スタッフや小児科医との連携は必要不可欠です。
MFICUに入院中の患者に対して、緊急時にすぐに対応できるよう、タイムリーな情報をお互いに共有しておくことはとても重要な助産師の仕事です。
患者とその家族が安全に安心して分娩を望めるよう、他科のスタッフと密に連携をとることは大切です。
助産師の体験事例
私が勤務していたMFICUでは、出生直後に緊急処置が必要な胎児疾患を持つ児の分娩の場合は、事前に産科医師・助産師・小児科医師・NICU看護スタッフと分娩のシミュレーションを行っていました。
他部署のスタッフへの産前訪問の依頼

患者に応じてNICU・GCUの看護スタッフへの産前訪問の依頼を行うことも助産師の仕事の1つです。
MFICUに入院している患者の中には、子供がNICU・GCUに入院することが事前にわかっている場合もあります。
例えば、「20週台で破水をした場合」や「22〜34週台で重症域のHDPにより近日中にターミネーションを迎える場合」、「シビアなFGR(胎児発育不全)の場合」「胎児疾患がある場合」などは、ほぼ確実に子供はNICU・GCUに入院しなければなりません。
そのような患者に対して、NICU・GCUの看護スタッフから「どのような環境で治療が行われ、NICU・GCUではどんな日常生活を送っていくのか」、「母親が退院した後は、どのように面会をしていくのか」などを事前に説明してもらうよう、MFICUの助産師から各スタッフへ依頼します。
また、あらかじめNICU・GCUの看護スタッフと出産前から顔見知りになっておくことは、子供がNICU・GCUに入院した後の母親の安心につながります。
MFICUで助産師として働いて感じたこと

MFICU(母体・胎児集中治療室)で助産師として働いて感じたことを説明していきます。
助産師としてより高度なスキルが身につく

私は助産師として今後働いていく上で、MFICUの経験は必要不可欠だと感じました。
助産師として勤務する以上、どのような妊婦の方であれ、当初は正常分娩と診断された場合でも、想定外の事態は起こり得るためです。
私は、異常の早期発見ができる経験値と判断能力を求められるMFICUでの経験は、正常分娩を見ていく中でも役立つスキルだと感じます。
また、MFICUで得た状況の変化に応じて速やかな判断や決断力は、助産師として働いていく中でとても役立ちます。
常に緊張感がある仕事

MFICUでは、患者の変化や異変に気づかなければ取り返しがつかないこともあり、常に緊張感にさらされました。
さらに、助産師としてどんなに経験値を重ねたとしても緊張感がなくなることはありません。
また、入院中の患者の変化が目まぐるしく、緊急時対応が日常であるため、助産師として働き続ける中で精神的にしんどくなる場合もありました。
私は、MFICUで働くスタッフとともにお互いに支え合うことで、毎日を乗り越えながら助産師としてのスキルアップを目指しています。
妊婦の管理を学ぶことができる

MFICUで働く助産師としての経験は、妊婦の管理を学ぶことができるため、一層の助産師としてのスキルアップにつながると私は感じます。
実際にMFICUで勤務していると、「もっと若い週数が見られるようになりたい」「以前の病院は多胎妊娠を受け入れていなかったから、管理できるようになりたい」といったより高度な治療が必要な妊婦の管理を学びたいと、他の病院から中途採用で転職してくる助産師も多いです。
さらに、MFICUは母児の急変による緊急帝王切開も多く、他部門と連携して緊急時のシミュレーションを定期的に行うなど、スタッフトレーニングに力を入れています。
他職種や他部門とチームで高め合える

MFICUに助産師として勤務することで、他職種や他部門とチームで高め合うことができたと、私は感じています。
また、私が勤務しているMFICUでは、緊急時でも患者の緊張や不安に寄り添った看護ケアが実践できるよう、定期的に事例検討カンファレンスを行っています。
このように、他職種や他部門とチームで高め合える環境があるのもMFICUの強みだと私は思います。
助産師の求人が豊富な転職サイト

助産師専用の転職サイトは全国に数が少なく、求人情報も充実していません。
そのため、助産師として転職を考える場合は、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を必ず活用しておくことが重要です。
看護師転職サイトでは、助産師の求人も多く取り扱っており、上記で説明した分娩数や教育制度の詳細、給与・福利厚生の詳細なども担当者が把握していますので、聞きにくいことも担当者を通じて聞いてもらうことが可能です。
また、履歴書・職務経歴書のアドバイスから、面接の対策・同行対応、面談のアポイント設定や施設見学の設定なども代行してくれます。
以下では助産師の求人が豊富な看護師転職サイトをご紹介します。
助産師の求人はエリアによっては数が少ないケースがあるため、以下の2社を複数登録して、まずは希望条件に合った求人を探してもらうことに注力してください。
助産師の求人数No.1!レバウェル看護
レバウェル看護(旧 看護のお仕事)は、看護師転職サイトの中でも断トツで助産師求人が豊富で、周産期母子医療センターなどの求人が見つかりやすいです。
さらに、年間5,000回以上の病院・クリニックにインタビューを実施しているため、院内情報にも詳しく、利用する助産師にも人気があり、転職支援サービスも充実していますので、助産師の転職では必ず活用しておきましょう。
また、ハローワークの助産師求人もカバーしているので、転職をスムーズに進めることが可能です。
公式サイト:https://kango-oshigoto.jp/
助産師の非公開求人も豊富!ナース専科 転職
| 転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
|---|---|---|---|
| サイト名 | ナース専科 転職(旧 ナース人材バンク) |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社エス・エム・エス |
| 公開求人数 | 20万件以上 |
| 非公開求人 | 豊富(会員限定のレア求人あり) |
| 対応職種 | 正看護師、認定看護師、准看護師、助産師、保健師、管理職 |
| 対応 勤務形態 | 常勤、常勤(日勤のみ)、常勤(夜勤あり)、常勤(夜勤のみ)、非常勤 |
| 対応施設 | 病院、クリニック、訪問看護、企業、保育園、幼稚園、学校、その他 【介護施設】 居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問介護事業所、介護老人保健施設、軽費老人ホーム、デイケア事業所、小規模多機能、訪問入浴事業所、看護小規模多機能居宅介護、有料老人ホーム、デイサービス事業所、グループホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者専用住宅、ショートステイ事業所、訪問リハビリ事業所、介護医療院 |
| 対応 診療科目 | 美容、産婦人科、整形外科、眼科、外科、呼吸器科、循環器科、精神科/心療内科、小児科、皮膚科、形成外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、消化器科、内科、透析、その他 |
| 対応配属先 | 病棟、外来、オペ室、透析、その他 |
| 対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
| 特徴 | ・東証プライム上場企業 ・支店が多く地域密着&チーム制で転職をサポート ・職場のリアルな情報を共有することも可能 ・2025年オリコン顧客満足度®調査 看護師転職3年連続No.1 ・LINE対応 |
ナース専科 転職は、助産師の求人数も豊富でかつ、全体の40%が非公開求人(担当者から提案されるインターネット上に出ない助産師求人)です。
そのため、規模が大きな病院や周産期母子医療センター等の求人が見つかりやすいでしょう。
また、担当者は親切丁寧に求人の内容説明やアドバイスを行ってもらえるため、助産師にも人気です。
公式サイト:https://www.nursejinzaibank.com/
まとめ
わずかな処置の遅れが母子の命に係わるMFICUの現場では、状況の変化に応じて速やかな判断力と決断力が助産師として身につきます。
MFICUは、毎日が緊張感に満ちている環境のため、勤務は厳しい面もありますが、その分助産師として成長できる機会が多いでしょう。
これらの能力は、きっと助産師としてのスキルをより一層高めることができ、キャリアアップにつながると私は感じます。また、MFICUで培った経験は他の分野でも役立つことがあります。
興味がある助産師の方はぜひ一度MFICUの現場で働いてみてください。自らの成長にとっても貴重な経験が得られることでしょう。
新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、キャリアアドバイザーとして看護師の転職支援を始め、多くの転職者のサポートを担当中。

