精神科看護師の役割と仕事内容、働いた体験談

精神科看護師の役割と仕事内容、働いた体験談
画像:shutterstock

精神科は他の診療科に比べて「特殊な診療科」といえ、仕事内容や役割を知らない方も多いのではないでしょうか。

私が精神科で働いた経験を元に、精神科病棟の種類と特徴、役割、仕事内容を説明していきます。

【執筆した看護師のプロフィール】

男性看護師
看護師資格確認済み
  • 大阪府/30歳/男性
  • 職務経験:精神科病院、デイサービス、有料老人ホーム
  • 診療科経験:精神科病棟、内科精神合併症病棟
精神科看護師として6年間勤務後、現在は精神科をメインに非常勤看護師として活躍中。

1.病棟の種類と特徴

病棟の種類と特徴

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精神科の患者層は幅広く、精神障害を発症した10代の患者、飲酒が原因でアルコール依存症を患った患者、介護困難な認知症患者まで年齢層は様々です。

「精神科」とひとくくりに言っても、病院によって様々な取り組みを行っており、大きく分けて「解放病棟」と「閉鎖病棟」が存在します。

※病院によっては存在しない病棟や、合わせて行う病棟があります。
開放病棟 【休息入院の患者を対象とした病棟】
・精神科の一般病棟
・抑鬱状態の患者
・統合失調症の患者など
閉鎖病棟 【閉鎖している病棟】
・外に出せない患者
・隔離が必要な患者など
(施錠され、患者は外に出られない)

また、その中で患者の症状に合わせて「急性期(救急)」「慢性期」「社会復帰」「依存症」「医療観察法」などの病棟が存在し、内容は以下の通りです。

急性期(救急) 【急性期患者】
・救急搬送された患者
「幻聴幻覚などに苦しんでいる」
「離脱症状が辛い」など
・警察が介入した患者など
(患者の一番辛い時期を看護師が支えます)
(基本的に閉鎖病棟となります)
慢性期 【慢性期患者】
・治療や退院を前提としない社会的入院をしている患者
・高齢者の患者
・身体ケアが必要な患者など
(高齢者も多く、身体ケアが必要になります)
社会復帰(病棟) 【社会復帰訓練を実施する病棟】
・作業療法が必要な患者
・外出訓練が必要な患者
・外泊訓練が必要な患者など
依存症(病棟) 【依存している患者の病棟】
・薬物依存症患者
・アルコール依存症患者など
医療観察法(病棟) 【決められたプログラムに沿ってケア】
・心神喪失の状態で重大な他害行為を行った患者
・心神耗弱の状態で重大な他害行為を行った患者など
(あまりない希少な病棟です)

以下で、一般的に精神科病棟で働く看護師の役割と仕事内容を解説していきます。

精神科系のクリニックに関しては「心療内科クリニックでの看護師の仕事内容と体験談」を確認してください。

 

2.看護師の役割

精神科看護師の役割

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一般的な精神科で働く看護師の役割について説明していきます。

 

(1)記録

精神科看護師の役割として最も重要度が高いのが(看護記録とは別の)「記録」です。

精神保健福祉法(病院の患者への過剰行為を防ぐための法律)という精神科特有の法律が存在するため、精神科はその他の診療科に比べて、一人の患者に対し書類が膨大にあります。

また、患者の精神症状というのは数値化することが出来ないため、看護記録も膨大となり、長文になってしまうのが現状です。

 

(2)身の周りの援助

精神科患者のセルフケア能力は比較的高いため、自分のことは自分でおこなえます。

しかし治療上、隔離拘束を行っている患者は別となり、精神科で働く看護師は血栓症予防や、拘束患者のセルフケアに時間を費やします

そのため、患者の身の回りの援助は精神科で働く看護師の役割といえます。

補足説明

精神科で働く女性看護師は、「男性看護師にできない事(女性患者への関わり)」を行う役割があり、精神疾患の女性患者は男性看護師の援助を嫌がることが多いため、女性看護師の手が必要になる場合が多いです。

 

(3)社会復帰支援

社会復帰支援

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精神科に入院する患者は、閉塞的な環境下で、社会的に疎外されます。

そのため、「患者の社会復帰をどのように捉え、どのように支援していくのか」が、看護師としての重要な役割となります。

患者の社会復帰は、精神科の看護師として本当に難しい問題となり、様々な職種と連携しながら常に考えていかなければなりません。

 

(4)安全の確保

患者とその周囲の安全を守ることが、看護師の大切な役割です。

中には自傷・他傷行為をする患者もおり、看護師は患者の安全確保に気を配らなければなりません。

安全確保のため、精神科では薬が置いてあるナースセンターも施錠することがあります。

 

3.看護師の仕事内容

精神科看護師の仕事内容

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精神科で働く看護師の仕事内容で重要なことは、患者への規則正しい生活とコミュニケーション、内服薬の管理などです。

(患者が急性期か慢性期かによってケアのポイントや観察項目は異なります。)

 

(1)規則正しい生活リズムの確立

基本的に精神疾患がある患者は、規則正しい生活リズムを確立する必要があります。

そのため精神科で働く看護師は患者のADL介助がメインの仕事となります。

精神疾患の患者が、しっかりと食事を摂り、日中は活動し、夜間しっかり寝てもらう(休息をとる)ことを看護師がサポートします。

 

(2)コミュニケーション

コミュニケーション

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患者とのコミュニケーションは看護師の仕事の一つです。

普段の会話から、心のケアを行うことで、精神科の治療に役立つことが多くあります。

しかし、言葉の選び方や相手に与える影響を考えながら仕事をするので、コミュニケーション技術が必要になるといえます。

また、精神科は男性看護師が多く働いているイメージがありますが、実際はそうではありません。精神科に入院している患者は心の病のため、同性にしか理解できないこと、同性にしか言えないこともあるため、精神科では男性看護師、女性看護師ともにバランスよく配置されています。

 

(3)内服薬の管理

精神科に入院するほとんどの患者は、薬を内服している場合が多いといえます。

そのため、患者の薬を管理することも精神科看護師の大きな仕事の1つとなり、ミスは事故に繋がるため責任重大です。

精神科で内服準備を担当する看護師は作業中、「会話やその他の業務一切禁止」という病院も存在します。

 

(4)自傷他害リスク患者の対応

自傷他害リスク患者の対応

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精神科で働く看護師は、自傷他害リスクがある患者の場合に対して、対応しなければいけません。

特に精神科で働く男性看護師の仕事となる場合が一般的です。(女性看護師もCVPPP(患者に粗暴性があるときの対応)研修を受け対応する場合があります。)

そのため、男性看護師が重宝されますが、精神科病棟の種類によっては男性が少ない場合もあります。

 

4.私が働いて感じたこと

私が働いて感じたこと

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最後に、私が精神科で働いて感じたことを説明していきます。

 

(1)イメージより明るく穏やかな環境だった

精神科は社会復帰を目指す精神科病棟は活気がありましたし、閉鎖病棟でも患者の状態が落ち着いていれば、看護師も患者も穏やかな空気が流れていました。

そのため、慌ただしい一般病棟よりは、穏やかな環境の中で働くことができました。

 

(2)覚えることは多いが、基礎看護技術は必要ない

精神科は薬の数も多く、今まで知らなかった薬の名前と薬理作用を覚えなければなりませんでした。

また、長期服用による副作用なども正しく把握しておくことも大切なため、意外と覚えることが多かった印象です。

しかし、基礎看護技術も使うことは少なく、点滴の管理も人工呼吸器などの生命維持装置なども使用することは、ほとんどありませんでした。

 

(3)冷静に判断することは大切

精神科の場合、医療従事者の言動にとても敏感な患者が多いです。

そのため、仕事中はどんなときも「患者から自分はどう見られているのか」「患者にどのような影響を与えているのか」など、冷静に判断できることが必要だと感じました。

また、自分の言動に注意し、自分の感情で言動を変化させることなく一貫した対応を求められました。自分自身が患者を癒すことも、悪化させる可能性もあることを知りました。

 

(4)患者の対応で辛いこともある

精神科で働いていると、患者に暴言を吐かれたり、意地悪を言われたりすることも珍しくありませんでした。

初めは傷つくこともありますが、それよりも辛いこととして、精神疾患をもつ患者の家族は、患者が退院して家に帰ることを拒むこともあったことです。

そのような場合、患者の行き場所がなく、施設に入所したりすることもあります。

頑張って治療し、社会復帰まではできなくても家族の元から外来通院でも大丈夫なほど改善しても、帰る場所がないという事実は、看護師としても辛いです。

 

(5)残業は少なかった

私が精神科で働く中で、基本的に定時で帰れることが多く、前残業もありませんでした。

これは、精神疾患患者は基本的に急変することが少なく、状態も安定しているケースが多いためといえます。

また、夜勤は特に問題がなければ、平均して4時間ほど睡眠をとることが出来ました。

 

(6)私が感じた精神科でのやりがい

私が精神科の看護師として、一番やりがいに感じたことは、患者が元気に退院することでした。

精神科の場合、社会復帰を行うことは難しいですが、それでも立派に社会復帰をし、病棟に会いにきてくれる方もいます。

そういうときは本当に嬉しく、看護師として「やりがい」を感じます。

また、精神疾患を抱えた患者の家族も辛い思いをしていることが多いので、患者の家族にいい反応が見られた時も、やりがいを感じます。

 

最後に

精神を病んでいる人の中には、看護師に本当にひどい暴言を吐く患者も実在し、疾患だと分かっていても、看護師も人間なので傷つくこともあります。

しかし、精神科は「解明されていないこと」や「物差しで測れないこと」が多く、患者対応のほとんどが看護師の個人的感覚にゆだねられます。

そのため、精神科看護師のやりがいも沢山あり、一般病棟に比べて身体的な負担は軽くなることが多いといえます。

個人的には「私(看護師)にしかできないこと」「自己重要感」を得たい看護師にとってもお勧めの職場であると感じます。

興味のある方は是非、精神科の看護師を目指してみてはいかがでしょうか。


   
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