脳神経外科は、脳出血、脳膿瘍、脳梗塞、頭部外傷等の脳血管疾患の急性期患者を診療・手術を行う診療科です。
看護師の中には、「そもそも脳神経外科病棟は、どのような病棟」「働く看護師はどのような業務をするのか」と思っている方もいると思います。
私は約400床の地域の中核的な急性期病院で、脳神経外科病棟(40床)でリーダー看護師として4年間の勤務経験があります。リーダー業務の他には新人看護師指導や委員会の担当、看護研究なども担当していました。
私が勤務していた脳神経外科病棟では、高齢の患者も多く、意識レベルの低下や脳障害等により言葉による会話が難しい場合もありました。
以下では、私の経験をもとに脳神経外科病棟で働く看護師の仕事内容や働いて感じたことを説明していきます。
- エリア:京都府在住
- 保有資格:看護師
- 施設経験:大学病院(混合病棟)、総合病院
- 専門分野:脳神経外科、呼吸器内科、腎臓内科、放射線治療科、皮膚科、麻酔科、血液内科、内分泌内科
地方の大学病院(脳神経外科、呼吸器内科、腎臓内科、放射線治療科、皮膚科、麻酔科、血液内科、内分泌内科)で約6年勤務し、その間妊娠・出産も経験し出産後も子どもを保育園に預けながら中核病院で正社員として働いていました。その後京都に移り住み現在は子育てしながら訪問入浴・デイサービス・健診など派遣看護師として働いています。
脳神経外科病棟で働く看護師の仕事内容

私が勤務していた脳神経外科病棟では、ICU・HCU等の集中治療室を経て入院している患者や、検査や手術のために入院している方が多い印象でした。
また、術後の患者は意識障害がある方や、うまく言葉にできない方もおり、術前術後の急性期から回復期までの患者が入院していました。
脳神経外科病棟では、患者の検査介助や術前・術後の看護、ドレーンの管理、フィジカルアセスメント、意識レベルの評価など脳神経外科特有の看護師の仕事内容でした。
以下では、私の経験をもとに脳神経外科病棟で働く看護師の仕事内容の詳細を説明していきます。
患者の検査介助や術前の看護
脳神経外科病棟に入院する患者は、CTスキャンやMRI検査、脳血管撮影等の検査を行う場合があり、看護師は検査の説明や介助も仕事の1つです。
そして、脳神経外科特有の検査として患者への「ルンバール(腰椎穿刺)の検査」もあります。
このルンバールの検査を行う場合の介助は、患者を押さえる役割と清潔操作で機材を医師へ渡す介助の役割があり、脳神経外科病棟の看護師が行います。(脳脊髄液の圧の確認、髄液の正常や量の観察、場合によっては血糖値の測定も看護師が行います。)
また、術前の患者に対しては、手術に対する不安への看護ケア、手術部位の剃毛、手術出し等も看護業務です。
看護師の体験事例
私が勤務していた脳神経外科病棟では、術直後の患者は一旦、ICUやHCU等の集中治療室で数日の観察を行っていました。
集中治療室での観察を終え、医師が一般病床を移しても問題ないか判断した患者のみ、脳神経外科病棟に戻ってきました。
術後患者の管理(ドレーンの管理)
脳神経外科病棟に勤務する看護師は、術後患者の管理は重要な仕事の1つです。
脳神経外科の手術では疾患に対する術式がほぼ決まっており、他の疾患と比べて術後の侵襲の程度や範囲・経過は患者の年齢などによって大きく違います。
そのため、脳神経外科病棟で働く看護師は術後患者の急性期の経過やドレーンの管理が大切です。
具体的には、ドレーン挿入部の皮膚の観察や排液の量や色、性状の観察と記録等を看護師が行います。
看護師の体験事例
脳神経外科病棟で術後戻ってくる患者は、急な状態変化を起こす可能性も高かったです。
そのため、看護師として患者のIN/OUTバランスの管理や、慎重に観観察することを継続する必要がありました。
また、術後や転棟により、せん妄状態を引き起こす患者も少なくはありませんでした。
患者へのフィジカルアセスメント
脳神経外科病棟の看護師は、入院患者の状態や徴候から情報を取り、必要に応じてフィジカルアセスメント(視診・触診・聴診・打診等)を行うことも仕事の1つです。
脳神経外科では患者の意識状態の観察が大変重要です。
また、意識状態の観察の他に患者の呼吸のパターンや瞳孔径・対光反射、麻痺の程度等を看護師が観察し、情報を得ていきます。
さらに、看護師が実際に患者に触れ、MMT(徒手筋力テスト)の測定や痺れの有無、感覚障害の有無等を観察します。
看護師の体験事例
脳神経外科病棟では、特に患者へのフィジカルアセスメントから得られる情報は実際に多いです。
さらに、脳神経外科病棟に入院している患者の変化は、目にみえるところに現れる事があります。
そのため、脳神経外科病棟で働く看護師として、患者に対して丁寧なフィジカルアセスメントを私は心がけていました。
患者の意識レベルの評価
脳神経外科病棟で働く看護師は、他の診療科と同じように担当患者のバイタルサイン計測を行います。
患者に対する観察項目は疾患によって変わってきます。
患者の体温・脈拍・血圧・酸素飽和度の他に、以下が脳神経外科病棟特有の看護師の監察項目です。
- 意識レベル
- 瞳孔径・対光反射
- 眼球運動や言語障害の有無
- 関節毎のMMTの測定
- 麻痺の有無や程度
また、患者の脳の障害を受けている部位により、出現する神経症状は違うため、何の疾患でどの場所の障害かを確認して観察していく事が看護師としては大切です。
さらに、患者の状態によってはモニター心電図を使用している方もいます。
看護師の体験事例:JCS(ジャパン・コーマ・スケール)
私が勤務していた脳神経外科病棟では、患者の意識レベルの評価についてはJCS(ジャパン・コーマ・スケール)の意識レベル分類で行っていました。
JCSは患者の覚醒の程度によって分類されたもので、呼びかけや痛みなどの刺激に対する覚醒の程度によって評価するスケールです。
評価方法はⅠ群、Ⅱ群、Ⅲ群に分けられ、脳神経外科病棟に入院している大体の患者はJCSⅠ-1よりも下になります。
そのため、看護師は患者に対して「今日は何月何日で、今どこにいるのか、名前や生年月日はいつか?」等を質問し、その回答によって評価します。
脳神経外科病棟で看護師が行う患者への意識レベルの評価はⅠ群であれば失礼と思われてもおかしくない内容なため、患者を傷つけないように何気ない会話の中に質問を混ぜ込むようにしていました。
患者へのリハビリ介助・排泄・入浴・食事の介助
脳神経外科病棟で働く看護師は、患者の排泄介助、入浴介助、食事介助も仕事の1つです。
他の病棟とは異なり、脳神経外科病棟に入院している患者は、食べること、寝ること、座ること、トイレに行くこと、文字を書くこと、洗面をすること、話すことなど日常生活のすべてがリハビリテーションとなります。
また、日々、患者ごとの病棟内でカンファレンスを行い、医師や地域連携室と連携を取りながら、退院に向けた指導を患者に行います。
脳神経外科病棟で看護師として働いて感じたこと

私が脳神経外科病棟の看護師として勤務して、感じたことを体験から説明していきます。
脳神経の専門領域の知識を学べた
私は脳神経外科病棟で看護師として勤務し、脳神経の専門領域の知識を学ぶことができました。
「脳神経」とは、脳だけでなく、障害の場所に応じて異なる部位を支配します。
そのため、診療科は脳神経外科であるにもかかわらず、循環器とも深く関連しており、患者の全身状態を注意深く観察する必要がありました。
また、例えば前頭葉では、病巣によって反対側の運動麻痺や運動性失語に加え、人格変化や記憶力低下といった症状が現れ、頭頂葉では知覚障害や失行・失認が、側頭葉では感覚性失語や聴力・記憶障害が、後頭葉では視覚の障害や失認が出現します。
教科書通りの症状が患者に現れることから、看護師として勤務していて非常に多くの学びがありました。
患者の急変が起こりやすく仕事には常に緊張感がある
脳神経外科病棟に入院している患者は、年齢に関係なく急変が発生しやすい傾向にあります。
また、患者によっては緊急手術が必要になるケースや、急変によって重篤化し人工呼吸器が必要になる場面も発生します。
そのため、脳神経外科病棟で働く看護師は、常に緊張感を持ちながら仕事に臨む必要がありました。
さらに、通常は元気な患者が突然急変することもあります。
例えば、ナースステーションから一番遠い病室で入院しているADL自立の患者を訪床した際に、痙攣発作が発生していることや、トイレからなかなか出てこないと思ったら排便性ショックで血圧が急激に低下し、患者が意識を喪失している状況に遭遇することもありました。
脳神経外科病棟の看護師として、パニックになってしまうと何も出来ないため、何が起きても対応できるよう緊張感を持つことは大切でした。
患者を察する能力が身につく
脳神経外科病棟に入院する患者の中には、脳の損傷や後遺症によって失語症を発症する方がいました。
そのような患者の場合、言葉が出にくいことや、思っていることをうまく言葉にできず伝えられないことがしばしばあります。
そのため、脳神経外科病棟の看護師としては、患者が伝えたいことを予測し、感じ取る能力が重要とされました。
言葉だけでなく、患者の非言語コミュニケーションや身体のサインにも注意を払い、最善の看護ケアを提供する努力が求められました。
私は脳神経外科病棟に看護師として勤務し、患者を察する能力に磨きがかかったと感じます。
急性期の病棟のため忙しい
脳神経外科病棟で看護師として働きましたが、他の病棟と比較して急性期の患者が入院しているため忙しかったです。
具体的には、日々の看護師の業務に患者の介助、看護援助も加わり、なかなか看護記録を書く時間が取れないことも多かったです。
さらに、脳疾患の起因には生活習慣病も深くかかわっており、患者は体格の大きい方も多い印象でした。
そのため、患者のADL(日常生活動作)の向上を支援するため、トイレへの誘導や車椅子への移乗を何度も行う必要がありました。
脳神経外科病棟の看護師としての仕事は非常に忙しく肉体的にも厳しいものではありますが、患者との信頼関係を築き、日々のケアで彼らの生活に貢献できることが、私にとってのやりがいでした。
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(脳神経外科専門の病院もありますが、全国的に見ても数は少ない状況です。)
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さらに、脳神経外科病棟の看護師求人も全国的に豊富です。そのため、脳神経外科へ転職を希望する看護師は併せて活用しておきたい転職サイトです。
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まとめ
脳神経外科病棟は、看護師として若いうちに勤務した方が良いといわれるほど、厳しい環境でもあります。
しかし、中途採用の看護師として転職しても、看護師としてスキルアップが可能な環境であり、急性期看護の基本から脳外科に関する医学的知識も深まります。
私は約4年間、脳神経外科病棟の看護師として勤務しましたが、その後SCU(脳卒中集中治療室)も経験しました。
脳神経外科病棟は、看護師として患者への観察力を高めたい看護師の方には、進歩する医療現場で働き続けたい方に是非おすすめしたい診療科です。
新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、キャリアアドバイザーとして看護師の転職支援を始め、多くの転職者のサポートを担当中。


