病棟看護師は、毎日時間が足りないほど動き回り、汗を流しながらケアや処置を行っています。そのため、残業も日常茶飯事です。
そのような忙しい中で、入院から退院、自宅に帰ってからのことを考えてプランを立てたり、カンファレンスをしたり、患者さんとその家族に寄り添いながら看護をしていきます。
そのため、慌しく仕事をしているときに、外来看護師が清々しい顔をしながら患者さんと世間話をしている姿を見かけると、つい「外来っていつも何しているんだろう?」と疑問に思うこともあるでしょう。
このページでは「外来看護師の重要な役割と特有の看護とは」について私の外来看護師の勤務経験を元にお伝えしていきます。
- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師
- 施設経験:総合病院(急性期)、こども病院 、療養型病院 、クリニック、デイサービス
- 専門分野:外来、小児科、脳神経外科、眼科、救急外来、歯科、退院調整室
高校卒業後、大学に進学したものの将来の方向性に悩み中途退学。その後、学生時代から勤めていたアルバイト先で看護師という仕事に魅力を感じ、社会人経験を経て看護師になりました。どんなときも患者さんを思った優しさのあるケアができる看護師になることを目指していきます。
外来看護の定義について

日本看護協会は外来での定義を以下のように位置付けています。
疾病を持ちながら地域で療養・社会生活を営む患者やその家族等に対し、安全で・安心・信頼される診療が行われるように、また、生活が円滑に送れるように調整を図りながら看護職が診療の補助や療養上の世話を提供することをいう。
看護外来での看護は、外来看護の中に位置づける。(日本看護協会より引用)
外来の看護師は、患者さんの名前を呼んで診察室に案内することや、診察の介助や点滴などの処置というような簡単でその場だけの流れ作業のような業務ばかりで羨ましく思うこともあります。
しかし、外来には外来特有の看護が求められており、ただ流れ作業をしているわけではありません。
外来特有の看護とは?

疾病を持ちながら地域で療養・社会生活を営む患者やその家族等に対し、生活が円滑に送れるように、個々の患者やその家族等に応じた特定の専門領域においての診療の補助や療養上の世話を提供する場の外来をいう。看護外来では一定の時間と場を確保し、生活に伴う症状の改善や自己管理の支援等を医師や他種職と連携して看護職が主導して行う。
(日本看護協会より引用)
以上のように、「生活に伴う症状の改善や自己管理の支援等を医師や他種職と連携して看護職が主導して行う」という看護を進めています。
ほとんどの新人看護師は、さまざまな経験を積むために、まずは病棟勤務という病院が多いと思いますが、病院内の異動があれば外来勤務になることもあります。
しかし、外来は年齢層が高いことやパート勤務が多いこと、また仕事内容からも「外来にも看護ってあるんですか?」と聞いてくる病棟看護師もいるほど、あまりいい印象を持ってもらえません。
実際に、病棟業務と外来業務では業務内容がだいぶ違います。
特に、「外来業務は看護師じゃなくてもいいのでは?」と思うような内容もあります。
しかし、外来にも外来特有の大切な看護はあります。
私の外来勤務での経験を元に、外来看護における役割や特有の看護について説明していきます。
世間話を利用して患者のニーズを引きだす

外来の看護師は患者さんとの世間話は、ただペラペラと意味もなくしゃべっているわけではありません。
患者さんの今の生活状況や困っていることをさりげなく聞き、看護や支援の必要性をアセスメントしています。
病棟勤務の看護師では、入院時のアナムネや退院指導などでストレートに質問する機会がありますが、外来に受診しに来ている患者さんにとって、その方法は適切ではない場合があります。
外来患者とのコミュニケーションにはコツがある

外来患者と比較した場合、入院する患者さんは、病気の悪化や手術、怪我による治療のために医師、看護師を頼るため、治療に必要な情報は快く提供してくれることが多いです。
しかし、外来で症状が落ち着いており、元気な患者にあれやこれやと質問してしまう、と気分を害してしまうことがあります。
そのため、病棟勤務の看護師とは違ったコミュニケーションのコツが必要です。
ストレートな質問をするだけでは適切な支援ができない
外来患者さんに対し、薬は飲めているかと聞くと「私がちゃんと飲んでないって言いたいの?」と返されてしまうことがあります。
これでは、外来治療をするための信頼関係を築くことができません。
世間話を通して少し遠回りして情報を聞き出し、もしも忘れがちで薬が飲めていないとアセスメントした場合は、服薬指導をしたり、家族の協力を得たり、内服を忘れないような対策を一緒に考えていきます。
何気ない会話の中身に大切な情報源が潜んでいる
入院中は常に看護師の目があるため、患者さんの異常をすぐに発見できることや、できていることやできていないことをアセスメントしやすいです。
しかし、退院してからは外来に受診したときにしか自宅での様子を聞くことができません。
そのため、患者さんとの何気ない会話が何よりも大切な情報源です。
診察前の問診で的確なアセスメントを行う

外来には定期受診に来た患者さんもいれば、体調が悪くて受診する患者さんもいます。
そのため、初診や久しぶりに受診する患者さんには、スムーズな診察がおこなえるようにあらかじめ外来看護師が問診をおこないます。
その後、患者さんが記入した問診表をもとに看護師が今の体調や気になることを聞き、体温、血圧測定などをおこないます。
その問診やバイタルサインから緊急性を瞬時に判断して診察の優先度を決めます。特に、予約外で受診した患者さんの場合は、長時間待ってもらう必要があるため看護師のアセスメントが重要になります。
不適切なアセスメントでは急変に対応できない

病棟では、患者さんが気になることや体調の変化があれば、すぐに看護師を呼ぶことができます。受け持ちの看護師を含め、チームの看護師はある程度患者さんの情報を把握しているため、素早い対処ができます。
しかし、外来の患者さんは順番が来るまで待たなくてはならず、患者さんの状態や長い待ち時間の間に急変してしまうこともあります。
このとき、最初に介入した看護師がすぐに対応できず、全く患者さんの情報がないまま救急処置をしなければならないようなことも日常的におこります。
緊急性が高いと判断した場合はすぐに受診できるように采配
最初に介入したときのアセスメントによっては、あらかじめ他の看護師に患者さんの情報を伝えておき、意識して様子をみてもらうよう依頼していました。
また、症状が落ち着いている患者さんよりも先に診察を受けられるよう対応し、万が一急変してもすぐに処置ができるよう、看護師の目の届く処置室などで待機してもらうという配慮をしていました。
限られた情報しかない中での素早いアセスメント力が、患者さんの安全と安心につながります。
患者と医者の間に立ち治療を円滑に進めていく

患者さんが治療をしていくときに、欠かせないのが医療者との信頼関係です。これは、病棟でも外来でも同じことがいえますが、患者さんは入院中よりも外来治療の方が医療者との信頼関係を築きにくいです。
その理由は、医師や看護師と関わる時間です。ほとんどの診療科では、30分の枠で3~4人くらいの患者さんの診察をしています。
そのため、1人の患者さんに関わる時間は5分程度です。その5分という短い時間の中で患者さんが納得し、安心して自宅療養を続けていけるよう、看護師は配慮していかなくてはなりません。
外来患者が医者に言いづらい本音を代弁する

たった5分の間に、医師による診察や問診、検査結果、今の状態、薬のことなど盛りだくさんの内容がおこなわれます。そのため、わからないことがあっても質問できないことや、自宅で不安なことがあっても聞きそびれてしまう患者さんがたくさんいます。
その患者さんが言わんとすることを感じとり、医師に質問する機会を設けたり、患者さんが説明を理解できるよう噛み砕いて伝えたりします。あらかじめ患者さんが聞きたいことを把握しておいて、医師に伝えておくというように、患者さんが医師の治療を安心して受けられるよう間に入り、患者さんの代弁者になることが看護師の重要な役割です。
短い診察時間の中で患者が安心できるよう最大限に配慮していく
病棟であれば、医師に聞けなかった内容をあとから患者さんに質問されても、医師と連絡を取って解決することができます。
しかし、外来の患者さんにとっては、その5分の間に解決しておかなければ、自宅に帰ってからもずっと気になったまま過ごすことになってしまいます。
患者さんが自宅で生活しながら感じた疑問や困っていること、不安に感じていることを外来に来たときに解決させて、スッキリとしてまた自宅に戻れるように、取り計らうことが大切です。
丁寧に検査の説明を行い患者の不安を取り払う

体の不調の原因が何なのかを診断するために必要な検査はたくさんあります。その検査の結果によっては、入院や手術が必要になることや、痛みや苦痛を伴う検査もあり患者さんは、不安でいっぱいになっています。
だからこそ、患者さんに対する詳しい説明をします。その際には患者さんから「こんなことも?」というような質問を受けることがあります。
検査に関する詳しい知識を知っておくこと

検査の多くは、外来でおこなう場合が多く、名前は知っているけれどどのような方法、手順で検査しているのかわからないという病棟看護師も少なくありません。
しかし、患者さんからの質問に答えられなかったら、不安でいっぱいの患者さんは悪い方へ考えを巡らせてしまいます。
そのため、説明をおこなう外来看護師は、その検査に関する詳しい知識と患者さんが疑問に感じやすいことを把握しておくことが求められます。
タッチングや声掛けをしてリラックスを促す
検査中にも患者さんが安心してリラックス状態のまま検査を受けられるよう、タッチングや声かけを行います。
また、適切、的確に、そして患者さんへの負担が少なくなるようにスムーズな検査介助を行うことも大切な役割です。
まとめ
【参考文献】
・外来看護パーフェクトガイド/看護の科学社
・外来の専門性の発揮に向けた課題/日本看護協会
病棟と外来では看護師の仕事内容に違うところがたくさんありますが、病院で患者さんと関わる以上そこには必ず看護があります。
毎日ケアのために走り回る病棟看護師だからこそ、丁寧で素早いケアができ、その患者さんに必要な看護計画をすぐに立案することができます。
1日に何十人もの患者さんと毎日関わる外来看護師だからこそ、素早いアセスメント力を持ち、患者さんの思いを汲み取ったり、来院したときよりも不安を減らしてもらったりすることで、外来治療を継続できるよう支援することができるのです。
病棟には病棟看護師としての役割、外来には外来看護師としての役割がきちんとあります。
そのため、病棟であっても、外来であっても目の前の患者さんに対して精一杯の看護をおこなうことに変わりはないです。それぞれの役割や今自分に求められていることを考え、仕事に取り組んでいきたいですね。
新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、キャリアアドバイザーとして看護師の転職支援を始め、多くの転職者のサポートを担当中。
