看護大学の助手は、看護師としての経験を活かせる職場ではありますが、最初は全く違う業務に戸惑うこともあります。
看護大学で看護学生を指導する助手について、私が勤務している看護大学を元に、仕事内容や働いて感じたことをご紹介していきます。
目次

助手の仕事内容

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私が勤務した看護大学・看護学部の助手の主な仕事は、病院や公共施設での臨地自習(学生が実際に病院や診療所、福祉施設へ行って実践的な臨床を学習する授業)指導です。
大学での職位は上から順番に高い役職で、
- 教授
- 准教授
- 講師
- 助教
- 助手
となります。助手は一番下の職位となり、職位によって指導できる内容が変わりました。
私が行った助手の仕事内容を体験から説明していきます。
看護学生の後方支援

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助手は臨地自習で実際に看護を行う看護学生の後方支援をします。
私が勤務した看護大学の助手は、1年間のうち、20週間ぐらいを病院で過ごしており、勤務時間は、臨床で勤務しているのと変わりはありません。
また、指導者(講師以上の職位)から看護の方針を確認し、看護方針を学生にかみ砕いて分かりやすく解説することも助手の仕事の1つでした。
看護師の体験談
私が勤務した看護大学・看護学部の助手が指導できる内容としては、
- アセスメントの方法を指導すること
- 看護計画の立案を指導すること
などであり、講義や学生の担当は基本的にありませんでした。
また、看護学生の指導に対しては、私の勤務している看護大学では、
- 指導内容はカリキュラムで定められている
- 教授や准教授によって指導内容のマニュアルが用意されている
などの規定やマニュアルが用意されていました。
看護専門学校や看護短期大学など、講師などの経験がない限りは、助手や助教として採用され仕事を任されます。(専門領域の「教授・准教授・講師」などには助手がおり、助手・助教が主に講義を行う場合があります。)
研究の補助

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看護大学の助手の仕事には研究が業務として課せられています。
大学に所属しているからには、教育の他に研究に携わる必要がありますが、研究と言っても最初は職位が上の研究を補助することが仕事になります。
看護師の体験談
私の体験ですが、助手でも研究方法は自然と身についてきますし、自分の研究したいテーマもその中で見つけることができるようになります。
もちろん、自分の研究テーマを最初から持っていても問題はなく、自由に研究を出来るところが、大学助手という立場です。
文献での学習や学会・勉強会への参加

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看護大学の助手が研究活動をするにあたり、文献で学習をしたり、研修や勉強会に参加したり、学生の教育に関わるため最新の技術や情報を取りいれる必要があります。
そのため、自分自身の知識量が増やしながら、研修や勉強会に参加しスキルアップすることも仕事のうちです。
看護師の体験談
看護大学の助手は年に2~3回、出張(つまり業務時間)として学会に参加し、研究発表をすることや他の研究者と意見交換を行う機会がありました。
学会参加も仕事の一環であり、自分に必要な学会に出張扱いで出ることが可能でした。
さらに、大学には図書館があり、文献を探したり文献を取り寄せたりすることが簡単にでき、最新の情報を簡単に手に入れることが可能でした。
仕事をする中でも文献をじっくり読んだり、研修や勉強会、学会に参加したりすることで、確実に自分自身の看護師としてのスキルアップにつながることも私にとっては大きな喜びでした。
その他雑務

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病院に臨地自習指導を行っていない期間の仕事内容は、実習施設とのやり取りや書類作成作業、講義(授業)の補助になります。
例えば、
- 講義の出欠を取る
- プリントを講義までに準備する
- 講義前にプリントを配付する
などの雑務となります。
助手の仕事は主に職位が上の方の補助的な内容になります。
また、看護大学の助手も病院勤務と同様に各種委員会がありますが、看護大学によっては委員会がない場合もあります。
看護師の体験談
書類作成や講義用プリントの印刷など、期限内に終わらせなくてはならない仕事ですが、期限さえ守られていればよいので、自分で時間をうまくコーディネートして働くことができました。
働いて感じたこと

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現在も看護大学の助手として勤務していますが、働いて感じたことを説明していきます。
指導することに責任が生じる
看護学生を指導するということには責任が生じ、間違った情報を教えてはいけないというプレッシャーを感じる場面は多いです。
しかし、時間に追われる病院勤務と異なり、上司や同僚とゆっくり話す時間がありますので、悩んでいることや分からないことを相談することもできました。
看護師の体験談
看護学生が看護の本質に自分で気づけるような指導方法を考えることに苦労する場面もありました。
看護技術の基本は教えてもらうことで取得できますが、看護の本質は自分で考えて、気づくものです。
最初から看護学生へ看護観を伝えたり、答えを与えたりすることは簡単ですが、それでは本当の意味での理解につながりません。
伝えきれない内容がある時に歯がゆさを感じることもありました。
実習施設の病院と看護学生の調整が難しい
実習施設では、当然ですが、通常の看護業務を行いながら看護学生の指導にあたってくれますが、患者が優先のため、看護学生の指導が手薄になってしまうこともあります。
そこをうまく取り計らって、調整をするのが助手の役割ですが、うまくいかないこともありました。
残業がほとんどない
看護大学の助手がサポートする学生の実習は日勤帯に行われるため、夜勤はありませんし、助手も学生の実習終了時刻と同様の時間に退勤となります。(実習時間はカリキュラムによって厳密に定められているため、残業がありません。)
また、大学内で勤務している間も報告を行うため30分ほど退勤が遅れますが、基本的には残業はありませんでした。
最後に
自分が看護学生の時に指導してくれた助手(看護師)の助言が、今の看護師としての価値観として影響を受けているという看護師は多いのではないでしょうか。
看護学生にとって、臨地自習で指導する助手の存在は大きなものです。
すでに病院で勤務している看護師で数年の経験年数があれば、病棟の業務を行いながら学生指導をした経験がある人は多いはずです。
その時の経験を活かせば良い指導が行えます。
看護大学の助手は、看護師を育成することが仕事の一環ではありますが、看護師という魅力ある仕事を看護学生に伝えていくことも助手の仕事です。
是非、看護大学の助手という仕事に少しでも興味を持ってみてください。
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