看護師になるとまず、教育の一環として目標を立てるよう指導されます。看護師が立てる個人目標とは、大きく分けて2つあります。1つ目は、「病院全体を考えた個人目標」で、2つ目は「看護師個人を考えた目標」です。
- 個人が目標を持って看護を行うことで、病院全体で患者によりよい看護を提供できるため
- 看護師個人が上を目指すことにより、病院全体のレベルアップが期待できるため
- 目標を持たせることで、目標を達成する喜びや、やりがいを感じてもらうため
- 目標を明確にすることにより、看護師個人の人事考課で上司が評価しやすくするため
看護師はこの2つの個人目標を掲げます。看護師の目標は、他者にもわかりやすく評価されやすいように具体的でかつ、個人のレベルにあった内容である必要があります。
私の経験を元に、それぞれの看護師歴や役職・役割に合わせて、個人目標の立て方と具体例をこのページでご紹介していきます。
新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、キャリアアドバイザーとして看護師の転職支援を始め、多くの転職者のサポートを担当中。
- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師
- 施設経験:総合病院(急性期)、こども病院 、療養型病院 、クリニック、デイサービス
- 専門分野:外来、小児科、脳神経外科、眼科、救急外来、歯科、退院調整室
高校卒業後、大学に進学したものの将来の方向性に悩み中途退学。その後、学生時代から勤めていたアルバイト先で看護師という仕事に魅力を感じ、社会人経験を経て看護師になりました。どんなときも患者さんを思った優しさのあるケアができる看護師になることを目指していきます。
看護歴別、個人目標の立て方と具体例

看護歴1年目~5年目までの個人目標の立て方のポイントと具体例について解説していきます。
新人看護師1年目
看護師の個人目標具体例
- 先輩看護師の指導を受け日勤業務が自立できる
- 患者の状態を把握するために必要な情報収集ができる
- 1日の業務を、安全に事故を防ぎながら時間内に終えることができる
- 採血、清拭、入浴介助、移乗、おむつ交換、トイレ介助などの基本的な看護技術ができるようになる
- 病院の組織や各部署の役割、場所などを理解し、説明できる
立て方のポイント
新人看護師は、ひとつひとつの目標をより細かく、具体的に設定しましょう。新人看護師の場合、あらゆることが初めてで、それは先輩看護師も承知のことです。
そのため、理想的な看護師像だけで目標を高く設定しても、そこに到達するのはとても難しいです。したがって効果的な目標とは程遠いものになってしまいます。まずは、看護師として独り立ちできるものを増やすことを意識して目標を立てましょう。
看護師2年目
看護師の個人目標具体例
- 1年目に学んだことを活かし、患者の個別性の看護ができるようになる
- 常に声だし、指差し確認をしながら安全、確実な看護技術をおこなう
- 委員会に参加し他部署、他職種との連携を図る
- 夜勤業務で自立ができる
- 自分のことだけでなく周囲に目を向け患者、先輩、後輩への心配りができる
立て方のポイント
2年目の看護師は、新人看護師時代(1年目)に学んだことを確実に身に付け、事故なく安全におこなえるような目標を意識しましょう。まだ一人前の看護師とは言えませんが、後輩ができるため、少なからず2年目の看護師への指導は手薄になります。
先輩の手を離れることは不安に感じるでしょうが、
- 後輩の見本になれるような行動をすること
- 学んできた看護、技術、知識を安全、確実に実施すること
以上のことを意識して目標を立てましょう。
看護師3年目
看護師の個人目標具体例
- エビデンスを意識した看護ができる
- 指導の下、日勤リーダーとしてチーム全体に目を向け、的確な判断と指示ができるようになる
- 新人看護師のプリセプターとして後輩に客観的なアドバイスができる
- 興味のある分野の研修に参加し、スキルアップを目指した看護研究に取り組める看護実践を通して得てきた自分の看護観を明確にする
立て方のポイント
3年目の看護師は、看護師として自立するために3年間学んだことの集大成とし、「今後どのような看護師を目指すのか」明確になる目標を意識しましょう。
3年目の看護師は通常の看護業務にも慣れてくる頃で、新たにエルダーや委員会、リーダー業務など、さまざまな業務が加わります。そのため、2年目までの目標にも述べてきたように、通常の看護業務を安全、確実に実施することはもちろん、新たなスキルアップのための挑戦をする時期でもあります。
看護師4年目
看護師の個人目標具体例
- 日勤、夜勤共にチームリーダーとして自立できる
- 新人指導、学生指導などでは、個人を客観的にアセスメントし個人に合った効果的な関わりができる
- 看護教育に積極的に関わることができる
- チーム、他職種間での情報共有を徹底することで、よい関係性を築き円滑な対人関係ができる
- 患者の状況を早期にアセスメントし、退院に向けた計画立案が素早く立てられる
- 興味のある分野の学びを深め、日ごろの看護実践に活かすことができる
立て方のポイント
4年目の看護師は、自分のことに加えて後輩を育てていくために、見本となりつつ、後輩一人一人に合わせ自分自身がどう関わるのかを具体的にした目標を意識するようにしましょう。4年目になると、自分の目指す看護のために転職する看護師も多くいます。
しかし、新しい職場でも入職時から同じ職場でも、一人前の看護師として後輩を指導していく立場であることは変わりません。
3年目看護師の目標でもお伝えしたように、4年目は自分の目指す看護師像をこれからどのように実現していくのかを明確にする時期でもあります。それら自分の意思や意見が他者にも伝わるような目標を立てましょう。
看護師5年目
看護師の個人目標具体例
- 起きた問題を他職種の協力を得ながら迅速に対処できる
- 目標とする看護師像のために、資格取得や専門技術の習得ができる
- アソシエートナースとしてプリセプターが安心して相談できる対人関係、環境づくりができる
- 患者の状態を素早く把握し、迅速なアセスメントと対応ができる
- 興味のある分野に関する看護実践を振り返り、研究発表ができる
立て方のポイント
5年目の看護師は、次年度以降、キャリアアップする準備段階として今できることを明確化すること、またチームを引っ張っていくための目標を意識しましょう。
看護師の5年目までは、基本的に個人が成長するためにどう行動するのかが大切ですが、5年目以降は病院全体の向上を考えた個人目標を立てることが求められます。自身のスキルアップや後輩看護師の指導の仕方により、病院全体に与える影響を良い面、悪い面の両方を見据えた目標を立てましょう。
役職・役割別、個人目標の立て方と具体例

看護師の役職、役割別に個人目標の立て方のポイントと具体例を説明していきます。
中堅看護師の場合
看護師の個人目標具体例
- チーム全体の進行状況を常に把握し、その場に応じた指導をおこなうことができる
- 後輩看護師の目標を把握し、目標達成に向けた支援をおこなうことができる
- 患者の状態やニーズと各看護師の能力を把握し、業務の割り振りや危機管理などをおこない、日勤管理代行を担うことができる
- 看護師、看護学生の教育場面においてリーダーシップをとり、効果的な教育に貢献できる
- 認定看護師としてスキルアップするために、研修に参加し資格取得できる
立て方のポイント
中堅看護師は、培ってきた対人スキルや看護師としてのスキルを最大限活かし、
- より現実的なスキルアップをする
- 後輩の育成を中心となって担っていく
以上のことのための目標を意識しましょう。
また、中堅看護師となると、周囲からさまざまな期待がかかります。その期待が重みになることもありますが、重みをプラスに変えられるのが目標です。自分に期待されていることを察して、どうしたら実現できるのかを具体化して目標とすることで、自分自身の成長、スキルアップにつながります。
後輩育成に関しては、病院全体に目を配り、直接的または間接的に看護師一人ひとりの成長を促せる中堅看護師になれるような目標を立てましょう。
主任看護師の場合
看護師の個人目標具体例
- 管理の立場として、看護師個人を評価し成長につながるフィードバックができる
- 日勤、夜勤共にすべての業務において他の看護師のモデルとなれる模範行動ができる
- エビデンスに基づく実践的な知識をもとに、病院内でのリーダーシップをとることができる
- インシデントレポートを速やかに把握、分析し、再発防止対策や迅速な対処法などを主体的に実践、指導できる
- 部署内の調整役としての意識を持ち、看護師の意見を的確に判断し指示や指導、行動につなぐことができる
立て方のポイント
主任看護師は、管理職として部署、病院全体に目を向けて統括していくための目標を意識しましょう。
主任看護師は、例えば後輩の抱える悩みや問題点を一緒に解決し、必要があれば上司である師長に話を持っていくこともあります。その一方で師長の悩みを聞いたり、業務のサポートを行ったりもします。
そのため、主任看護師には、どの立場の看護師からも話しやすく相談しやすいコミュニケーション能力が求められ、多方面からの意見を統括し部署全体、そして病院全体をうまく運営していくことが大切です。
このような役割を担うために、自分自身がどう行動したらよいのかを中心に考えて目標を立てましょう。
外来看護師の場合
看護師の個人目標具体例
- 短時間で患者の情報を収集でき、アセスメントすることができる
- 各種検査に関する知識を持ち、患者の不安に寄り添った説明、指導ができる
- 患者の状態を瞬時に判断し、診察、治療の優先順位をつけることができる
- 入院まで準備、連絡、手続きを30分以内に完結できる
- 外来患者に対して、安心できる関わりができるようコミュニケーション能力を身に付ける
立て方のポイント
外来看護師は、毎日いろんな患者が来院する中で、どの患者にも平等に関わりつつ的確なアセスメント、判断、行動ができるような目標を意識しましょう。外来の業務は病棟とは違う点が多く、身体の看護よりもコミュニケーションが主体になります。
普段から何気ないコミュニケーションをする中で、患者の抱える問題や不安、また症状を見抜く力が求められます。
また、外来看護師は、病棟や検査科との連携を速やかにおこなうことも必要です。そのため、患者に安心してもらえるようコミュニケーションを取ること、業務としては連携を速やかに行うための目標を立てましょう。
まとめ
経験年数や役割により目標はさまざまですが、目標に迷ったときには病院全体や部署の目標を意識してみましょう。
なぜなら病院全体や部署の目標を達成するためには、個人がそこに向けて何を目指していくのかという目標が大切だからです。
また、経験年数を重ねるうちに自分自身の目標だけでなく、病棟ごと、部署ごと、そして病院全体を見据えた成長が求められるようになります。
自分自身に期待されていることを察し、さらに自分自身の能力を客観的にアセスメントして、何をどうしたら期待されている姿に近づけるのかを意識して目標を立ててみましょう。
新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、キャリアアドバイザーとして看護師の転職支援を始め、多くの転職者のサポートを担当中。
