できない看護師というレッテルを貼られて仕事を続けるには、精神的な負担が伴います。
できない看護師になってしまうまでには、同期や近い世代の看護師と比べられて、「できない」とレッテルを貼られたり、自分のコミュニケーション能力が足らず、誤解を招いたりなどといった様々な原因があるでしょう。
私も、これまでの看護師経験の中でそういった「できない看護師」を沢山見てきました。
ここでは、様々な職場で色んなタイプの看護師と働いてきた私が、できないと言われている看護師が、どうしたら「できる」看護師になるのか、その方法を経験からお伝えしていきます。
目次

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1.仕事ができない看護師の特徴

私の体験から仕事ができない看護師の特徴をご紹介していきます。
(1)患者の視点からみた場合
- 暗い顔をしている
- 質問に答えられない
- 頼んだことを忘れる
- ナースコールを押してもなかなか来ない
看護師の仕事が出来たとしても、「患者への態度」に問題があれば、それだけで「あの人は、できない看護師」と思われてしまうリスクがあります。
(2)一緒に働く看護師の視点からみた場合
- いつも呆然としている
- ワゴンの上が汚い、またはよく物を落とす
- 記録はいつも時間外
- 自分の仕事しかしない
- カンファレンスではいつも無言
- よく医師を怒らせる
- 一緒に夜勤をすると疲れる
- インシデントをよく起こす
- 自己学習ができない
- 同じことでいつも怒られる
- できていないところを注意しても返事だけ、心には響かない
- 新人の場合はなかなか夜勤に入れない
- 仕事を手伝おうと思っても、「いいです、大丈夫です」と仕事を抱え込む
- 教えてもらうことが当たり前だと思っている
新人看護師ができない看護師であることは、教育課程の中で仕方の無い部分があると思います。
しかし、それ以外の方ができない看護師の特徴に当てはまってしまうのは、少々考えものかもしれません。
2.仕事ができる看護師の特徴

仕事ができる看護師・できない看護師という基準は教科書やマニュアルに書いてあるわけではないので、定義は難しいです。
しかし、明らかに「この人、仕事ができるな」と思う看護師がいるのは事実です。私の体験から出来る看護師の特徴をご紹介します。
(1)患者の視点からみた場合
- 挨拶などがきっちりしていて接遇が良い
- 質問したことに的確な返答がある、または分からなければすぐに確認してくれる
- 言わなくても気づいてくれる
- 点滴などが時間通りに終わる
- 入院中のスケジュールなど説明が上手
- いつも笑顔
- テキパキと仕事が早い
患者は看護師の動きや対応から「できる看護師」として判断することが大半です。
そのため、看護師としての観察力や仕事の対応力などが重要と言えます。
(2)一緒に働く看護師の視点からみた場合
- ばたばた走っていない
- ワゴンの上がきれい
- 字がきれい
- 記録を書く時間が短いのに的確な記録
- 患者さんにやさしい
- 他のスタッフの仕事も手伝ってくれる
- カンファレンスなどで的確な発言がある
- 申し送りが上手
- みんなが文句を言う患者のことについても文句を言わない
- 医師とのコミュニケーションが上手
一緒に働く看護師視点から見た出来る看護師は、主にコミュニケーション能力が優れている看護師だと言えます。
人と人とが仕事をする上で、欠かせない能力だと言えます。
3.できる看護師になるために

上記の特徴を見て、仕事ができない看護師だと思った人は、今日から早速、以下の方法を試して仕事ができる看護師になるよう、励んでみてはどうでしょうか。
(1)ミスは素直に認めて改善する
先輩看護師や上司から度々ミスを指摘されて、ふてくされてしまったような経験はありませんか。
私の経験上、仕事ができない看護師は、往々にしてこのような傾向にあります。
ミスをしても素直に認め改善しようと努力が見られる看護師は「できない」レッテルを貼られることは少ないです。
一方で、先輩看護師にミスの指摘を受けても返事が曖昧だったり、同じようなミスをしたり、または同じミスをしたと判断されるような状況になったりすると、同期に比べて「できない」というレッテルを貼られることがあります。
今一度、自分が先輩看護師からミスを指摘された時の対応に「まずさ」がなかったか、振り返ってみましょう。
(2)目標とする先輩看護師を見つける
「できない看護師」が「できる看護師」になるためには、「この人みたいな看護師になりたい!」と目標とするできる先輩看護師を見つけることも大切です。
どこで働いていたとしても、1人や2人くらいは尊敬できる先輩看護師や、仕事ができてカッコよく見える先輩看護師がいるでしょう。
そういう先輩看護師がどのようなスケジュールで動き、何に気をつけて仕事をしているかよく観察することです。
また、休憩中にでも、「できる先輩看護師」とじっくり話して、その「人となり」をよく知ることで、「できない看護師」の自分に欠けていない「何か」が見えてくることもあります。
(3)看護師として何を求められているのか考えてみる
「できない看護師」は、そのチームの中で自分ができることは何か、自分は何をしなければならないか、看護師として何を求められているか、などといったことまで考えきれておらず、周りが求めることと自分がしようと思うことにズレが生じていることが多いです。
医療はチームであり、看護師だけで働いているわけではなく医師をはじめ、看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、栄養士などさまざまなコメディカルがチームを組んで仕事をします。
「できる看護師」になるためには、自分以外のスタッフがどのように動いていて、「今は何をしているか」「誰かの手助けを必要としていないか」ということを常に考えるようにしてください。
(4)言い訳しない
「できない看護師」のレッテルを貼られている方は、以下のフレーズが口癖になっていませんか。
- 「でも~」
- 「だって~」
- 「どうせ~」
ふとした会話の中でも、自分自身の心の中でも、常に「言い訳」をしていないか、考えてみてください。
こうして、「言い訳」をするのは、看護師としての成長を止めてしまい、いつまでたっても「できる看護師」にはなりません。
他人への言い訳も、自分への言い訳も辞めることで、たとえミスをしても、きちんとそれを糧にして「できる看護師」に成長していけるはずです。
(5)複数のタスクの優先順位を決めて動く
性格的なこともありますが、複数のタスクを同時にこなすことができない人は、急性期病院など忙しい病院で働くと「できない看護師」のレッテルを貼られることが多くあります。
そのため、複数のタスクをこなすことに苦手意識のある看護師の方は、複数のタスクの優先順位を決め、常に行動計画を頭の中で立案・修正を行って行動するよう意識し続けていきましょう。
(6)接遇を勉強する
「できる看護師」は、患者への「接遇」も素晴らしいものがあります。
残念ながら看護師は、一般企業で働く人たちのように、「接遇」を学ぶ機会には恵まれていないため、自分で接遇に関するマナー本などを買って自己学習していくようにしましょう。
また、『信頼される看護師の美しい「身だしなみ」「言葉づかい」とは?』の記事も参考になりますので、チェックしてみてください。
(7)患者からの「頼まれ事」を後回しにしない
「できない看護師」は、患者からの「頼まれ事」を後回しにして(しまいには、頼まれたことを忘れることも・・・)、患者から信頼されなくなることがあります。
例えば、「氷枕を交換してほしい」「体の位置を変えてほしい」など、たとえ「急を要する」ことではなくても、可能な限り後回しにせず、その場で対応するようにしてください。
ただし、何でもかんでも自分1人でやろうとしないことも大切です。
「できない看護師」は、勝手に1人で抱え込んで、結果的に周囲の看護師に迷惑をかけていることも往々にあります。
そのため、自分1人で出来ないと判断した時は、それがたとえ「先輩看護師」であっても、勇気を出して頼るようにしてください。
(8)要点をまとめてから報告・相談する
申し送りが下手であったり、よく医師から怒られていたりする「できない看護師」は、要点をまとめずにダラダラ話す傾向にあります。
これは、意識し続ければ、必ず改善することですので、思い当たる節のある看護師は、
- 要点をまとめてから話し出す
- 報告は「結論」からする
ということを、すぐに実践するようにしてください。
(9)足音を立てずに颯爽と歩く
急変があるわけでもないのに、廊下をパタパタと走るのは、「できない看護師」の特徴です。
足音を立てずに颯爽と歩くことで、看護師としての印象が大きく変わってきますので、気を付けてみてください。
(10)オンとオフを切り替える
「できる看護師」は、仕事モードの「オン」とプライベートモードの「オフ」を、驚くほどしっかりと切り替えます。
これは経験を重ねると分かることなのですが、オンとオフを切り替えることは、看護師の仕事を長く健康的に続けていく上でとても大切なことです。
4.最後に

仕事ができない看護師というレッテルを貼られるのはとても辛いことです。
だからと言って、やる気を無くしたり、投げやりになったり、何を注意されても耳を傾けようとしないとどんどん悪い方向に向かっていきます。
もし、できない看護師というレッテルを貼られたことに気づけたのであれば、そこから脱却する第1歩が踏み出せるということです。
ただ、残念ながら、就職してからの初期教育萎縮し、その後の人間関係がうまく築けなくなったり、向いていない職場で働いてしまったりしたがために、できない看護師になってしまう場合もあります。
そういう時は、同じことを繰り返さないと心に決めて、前向きな転職を考えるのも、長い看護師人生の中ではプラスになるかもしれません。
現在の勤務先で、自分に向いていない職場で働いているために、必要以上に仕事のパフォーマンスが低くなり、「できない看護師」となっている場合もあるからです。
例えば、性格的にゆったりのんびりしているのであれば急性期の大型病院には向かないですし、コミュニケーションが苦手であるならば病棟は向きません。
あまり器用なタイプではない看護師が、このような「向いていない職場」で働いてしまうと、「できない看護師」になるのは当然の結果かもしれません。
もし、「できない看護師」のレッテルを貼られている方が、一から出直すために転職したいと考えているのならば、自分の性格を冷静に見極めてみてください。
それから、転職先を探すのでも、決して遅くはないはずです。
「一度働いてみて、自分のこういうところを指摘されたが、それは自分の持ち味として、役に立つ場所で働いてみたい」と前向きに伝えることが必要です。
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