頭頸部外科で働く看護師の仕事内容と私の体験談

頭頸部外科で働く看護師の仕事内容と私の体験談

頭頸部外科と聞いてよくわからない看護師も多いのではないでしょうか。

私も頭頸部外科に配属されるまでは「どんな科で何をするのだろう?」と思っていました。配属されてわかったのは首から上の部分を見るので耳鼻咽喉科に近いのですが、「耳を診ない耳鼻咽喉科」という印象でした。

現に私が勤務した頭頸部外科に勤務している医師は「耳はあまり分からないから診ることができない」と言う方が多かったことも特徴的でした。

頭頸部外科で私が働いた経験を元に、仕事内容や働いて感じたことを説明していきます。

頭頸部外科で働く看護師の仕事内容

頭頸部外科で働く看護師の仕事内容

頭頸部外科では、

  • 頭頸部のがんに対して手術
  • 化学療法(動注を含む)
  • 放射線

以上、主に3種類の治療を行います。

そのため、頭頸部外科で働く看護師は治療に関する援助がたくさんありますが、手術後以外の患者は動ける患者が多く、日常生活援助は少ないです。

私が勤務した頭頸部外科で働く看護師の仕事内容の詳細を説明していきます。

 

(1)手術前管理

患者の手術に向けての準備は、看護師が行う仕事です。

上顎洞や上顎骨、下顎骨などのがんではその部分を切除することになるので手術後の傷も見える上、他の部位においても機能面で大きなハンディとなるため、手術前からそのことについても患者が具体的に理解でき、受容できるよう看護師が援助を行います。

頭頸部の手術を受ける患者は、ボディイメージの変容も大きくなり、機能の損失も重大なことが多く、精神的ダメージも大きくなります。

 

(2)抗がん剤投与の治療準備

抗がん剤や放射線治療では個人差もありますが、副作用が問題となるため、患者に事前に起こりうる副作用についてのことや対処、セルフケアについて看護師が説明します。

抗がん剤や放射線治療を行う患者のスケジュールを把握し、患者にも説明を行い、クリティカルパスのある治療に関してはクリティカルパスを使って進めていきます。

 

(3)手術後管理

手術は色々な術式がありますが、大きな手術では再建術と言って切除部分を大腿などから移植して代用する術式となることが多く、その場合は移植部分の血流が問題ないかの確認が非常に重要となります。

そのため、手術後に看護師は頻回な観察を要し、大切な仕事となります

抗がん剤治療では抗がん剤の確実投与を行い、投与中の観察を重点的に行いながら進め、創部や腫れなどが治癒していく目安などについても説明し、不安を増強させないような援助が必要でした。

また、頭頸部外科の特徴として、喉や舌などの口腔内に近い部分を触ることが多いため、数日は唾液の飲み込みを禁止されたりします。そうなると患者に必要になるのが吸引になります。

感染予防のため口腔内の清潔保持も看護師の重要なケアとなります。

 

外科的処置への介助

手術後に患者の創部ガーゼ交換は毎日あり、清潔操作や外科的処置時の介助技術は必要でした。

また、働く看護師は耳鼻科領域で使用する器械についても把握や取り扱いを覚える必要があり、ファイバーを使った診察も多い印象で、その取扱い、操作方法も覚える必要がありました。

 

(4)治療直後の看護(抗がん剤投与に関する管理)

患者への抗がん剤投与日には大きな副作用はないですが、その後、徐々に口内炎や食欲低下、嘔気などが出現します。

副作用に対する処置のため、点滴を施行することも多いです。

看護師は、その経過を説明し、理解してもらえるよう努める作業を行うことで以後のセルフケア指導へ繋げます

また、白血球の減少にも注意を払い、感染予防に努めることも重要な看護師の仕事でした。

 

頭頸部外科で働いて感じたこと

頭頸部外科で働いて感じたこと

頭頸部外科で看護師として働いて感じたことを説明していきます。

 

(1)ADLは自立している人が大半だった

頭頸部外科に入院する患者のほとんどは、治療ができる体力のある方で、頭頸部の治療のため、歩行ができる患者が多く、看護師として介助の必要が少ないことが特長的でした。

そのため、手術後は介助が必要なこともありますが、それも大した労力を要さず、腰痛などの負担は一切ありませんでした。

また、稀にターミナル期の患者を看護することがありました。

 

ナースコールは多い印象

吸引を必要とする患者が多く、ナースコールの対応が他の診療科よりも多い印象でした。

発声できない患者も多く、ナースコールがあれば要件が全くわからず、とりあえずはすぐ訪室し、もう一度ナースステーションに戻って必要なものを準備する、と言うことが多かったです。

 

(2)患者の伝えたいことを読み取る必要があった

頭頸部外科では、色々な理由で会話が困難な患者が多く、患者の伝えたいことを読み取る力が看護師には必要でした。

筆談が第一手段となるためボードは必需品ですが、書くことが面倒に感じている患者、手術後後は身体的にも辛く書く気力のない患者もいました。

喉頭切除術ではもちろんですが、ラリンゴの後は発声が禁止されたり、放射線治療などで痛みや嗄声が出現し声が出なかったり、舌の手術では上手く発声できなかったりと色々な理由で患者会話が困難でした。

 

セルフケア指導

患者へどのような形に説明すればわかりやすいのか、理解してもらうにはどうすればいいかを看護師として考えることが多かったです。

個人差があるので、実際に手技を実践してもらいながら、自己で実践できる方法を考えることが重要でした。

 

(3)手術前、手術後管理を学ぶことができた

頭頸部外科の患者は手術が頻繁にありましたが、経過も早く、回復などの段階にあわせた必要な看護と不必要な看護をアセスメントしながら看護を進めていくことができました。

そのため、手術前、手術後管理を看護師として学ぶことができ、専門の疾患の知識も増えました。

耳鼻科領域で使用する器具の使い方などの知識があるため、看護師として耳鼻科クリニック等へ転職する場合は経験上有利でした。

 

(4)看護計画の変更が多かった

頭頸部外科に入院する患者は手術後の回復が早く、看護計画も数日で変化していきます。

そのため、私たち看護師は看護計画に多くの時間も割かれる上、手術後は看護度も高く、処置にも時間や手間が多くかかりました。

私が勤務していた頭頸部外科では、(頭頸部の特殊性でもありますが)経管栄養を行っている患者が常時10名前後はいたため、経管栄養や内服の準備や片付けも多忙でした。

 

(5)再発で亡くなる患者が多い印象

私が勤務した頭頸部外科では、再発で亡くなる患者が多かったこと、手術で失う機能が大きいことやボディイメージの変容に苦しむ患者など自己で乗り越えるべき問題が多い患者に対して援助できることが限られていることがあり、看護師としてジレンマを感じました。

失った機能をリハビリで回復できることもありましたが、なかなか回復しない機能も多くあり、社会復帰に向けてどうすることが良いのか悩むことも多かったです。

また、治療を行ってきたが、完治できなくてこれ以上治療できない患者の受け皿がない現状を目の当たりにして憤りを覚えることもありました。

 

最後に

頭頸部外科は私自身も色々な意味で学ぶことも知ることも多く、実習に来た看護学生が希望して就職することもありました。

頭頸部がんと言う特殊ながんを患って来院する患者がいること、その治療でハンディを背負って日常生活に戻っていく人がいること、普通に過ごしていればあまり遭遇することがないけれど、その存在を知れたことは私にとって大きな意味のあることでした。

色々な人を看護している中で遭遇するアセスメントの場でも経験値が増えたことで幅も広がったと感じます。

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