献血ルームで働く看護師の役割と仕事内容、働いた体験談

献血ルームで働く看護師の役割と仕事内容、働いた体験談
画像:shutterstock

献血事業は、日本赤十字社のみが行っているため、日本赤十字社の下で働くのが原則となります。

血液内科や手術室・ICU、癌患者が多い病棟の看護師は携わることも多い血液製剤ですが、血液製剤は人工では作れないため、献血で血液を集めていることは皆さんもご存知だと思います。

その血液製剤を作るためにも、献血ルームで働く看護師は重要な役割を担います。

病院で得るものとは違いますが、「人の生死に寄り添う」仕事ではなく、「人が生きるためのものを作る」という仕事は献血ルームでしかできない、得難い経験だと思います。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 年齢/エリア:34歳/神奈川県
  • 資格:看護師、保健師、養護教諭2種
  • 経歴:大学病院、献血ルーム、保育園、企業保健師
  • 経験がある診療科:産婦人科、乳腺外科、呼吸器内科・外科
大学病院にて勤務後、結婚を機に献血ルームや保育園看護師、企業保健師を経験。現在は子育てに奮闘中。

私が献血ルームで働いた体験談を元に、役割や仕事内容、私が働いて感じたことを説明していきます。

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1.看護師の役割

看護師の役割

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献血ルームでの看護師の役割は、

  • 「商品を作っているという意識を常に持つ」
  • 「安全な技術(採血)と快適な環境の提供」
  • 「献血の啓蒙」

この3つに尽きると感じます。

これらの3つを正しく行うことで、血液製剤の安定供給につながり、献血ルームの看護師としての役割が果たせるのだと思います。

以下で詳しく説明します。

 

(1)商品を作っているという意識を常に持つ

血液製剤の製造過程において最初の工程が採血です。

血液センターへ入職してから丁寧に指導される部分なのですが、皮膚の破片や表在菌の除去にとても神経を使います。

看護師として「血液」という商品を取り扱っているのだという意識は常に持つ必要があり、役割といえます。

 

(2)安全な技術(採血)と快適な環境の提供

安全な技術(採血)と快適な環境の提供

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採血時にしばしば起こるのは血管迷走神経反射・クエン酸反応(『成分献血』時に使用するクエン酸の溶液。クエン酸と体内のカルシウムが結びつき、一時的にカルシウム不足が起こり、唇や指などに痺れが出る現象)です。

献血者は、体格・服装・血液データ・献血前の過ごし方がそれぞれ違います。

そのため看護師は、採血前・採血中に環境を整えておくだけで採血時のトラブルを未然に防ぎ、献血者は安全で快適な献血の体験をサポートする役割があります。

 

(3)献血の啓蒙

献血の所要時間は、「全血献血」は15分程度と短いのですが、「成分献血」は1時間程度かかります(更に時間がかかることもあります)。

その時間を使用して、看護師は献血者の様子も見ながら血液はどのようにして役に立つのかの説明をしたり、「成分献血」と「全血献血」の違いや年間にできる回数などの説明をしたり、事前に行った簡易の血液データを元に健康指導などをしたりすることもあります。

献血の種類に関しては「日本赤十字社:献血の種類」を確認してください。

献血は如何に必要であるかを上手く献血者に説明し、リピーターに繋げるのが腕の見せ所でもあり役割です。

血液製剤の使用期限はとても短く、血漿製剤・血小板製剤の使用期限は4日、赤血球製剤・全血製剤の使用期限は21日です(但し血漿分画剤は2年と長めです)。そのため、血液製剤は日々一定数の需要があり、且つ使用期限も短い為、リピーターの獲得は不可欠なのです。

 

2.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

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献血ルームでの看護師の仕事内容は主として採血となり、献血は、下記の流れに沿って進みます。

  1. 受付
  2. 問診票の記入
    (現在内服している薬。食事を摂取したか否かなど体調の状態の確認)
  3. 医師の問診
  4. 血液検査
  5. 採血の実施

以上の流れの中で看護師は、「4)血液検査」と「5)採血の二手」に分かれて担当します。

献血ルームで働く看護師は、「採血のためのキットの組み立て→採血→終了」の繰り返しとなり、単純作業が好きな方にはとても向いていると感じます。また、献血ルームは採血をする業務がメインのため、採血が得意な方は歓迎されます。

 

(1)血液検査

血液検査

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血液検査は、検診担当者が行います。

検診担当者の看護師は、

  • 献血をする血管の選定
  • 血液データを確認するための採血
  • 血液データが基準値に収まっているかの確認
  • 血液に「乳び」(血清などの検体が乳白色を呈していることを示す所見)の確認
    (「乳び」があると、成分献血の機械が赤血球と血漿の見分けが付かないことがあるため)

などの確認などを行うことが仕事内容になります。

 

(2)採血の実施

採血は、「全血献血」「成分献血」に振り分けられた献血者を席に案内し、採血を行います。

イベント会場などで見かける献血車は、血液をそのまま採取する「全血献血」のみを行っていますが、献血ルームでは主に「成分献血」という、血液の中に含まれる血漿と血小板のみを採取し、赤血球は抗凝固剤(クエン酸とクエン酸ナトリウム)を混ぜて体に戻すという献血を行っています。(ただし、必要時は全血献血も行います。)

 

(3)記録

看護師 記録

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担当をした献血者が血管迷走神経反射を起こした際や、内出血などの穿刺時のトラブルの際に書く記録物も看護師の仕事です。

また、月に1度採血技術の見直しのための記録物などもあり、新入社員の場合丁寧に教えて貰えます。(私は慣れるまでに少し時間がかかりました。)

 

(4)その他の仕事内容

その他の仕事内容として、献血ルーム内の資材の出し入れや清掃、機械のチェックなどがあります。

病院とは違う業務が多いと感じるかもしれませんが、クリニック(診療所)の看護師の仕事内容と比較すると然程変わりませんでした。

血液製剤は4日しか日持ちしない種類もあり、毎日血液製剤を必要としている患者がいます。そのため献血ルームには年末・年始の数日以外の休みはありません。

献血ルームで働く看護師は、シフト制でお互いの必要な休みは譲り合いながら勤務をしています。

 

 

3.勤務していた際の給料

勤務していた際の給料

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正社員だと、公務員の給料体系と同じである為、年齢を重ねて(経験を重ねて)いくにつれて給料も上がっていきます

そのため、20代の若い方は、パート看護師よりも月給は下がりますが、賞与を入れると年収は高くなります。

基本給 (1)正社員:看護師としての勤務経験を加算して決定
(2)パート:1,700円~
勤務時間 ・血液センター:8時50分~17時20分
・献血ルーム:9時40分~18時10分
休日 ・土曜日・日曜日
・国民の祝日・創立記念日(5月1日)
・年末年始の6日間 (12月29日より翌年1月3日まで)
有給休暇 ・採用6ヵ月後 10日
・採用1年6ヵ月後 11日
社会保障 健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険・厚生年金基金
正規職員の登用 あり
・常勤嘱託職員として経験後、正規職員への登用試験制度あり
・合格率:概ね95%以上

詳しくは「日本赤十字社のホームページ」を確認しましょう。

 

【体験】パートで働いた私の給料

私の体験談ですが、パート(月に20日前後の勤務)だと時給は平均的な金額ですが、献血ルームで働いた場合、給料は月25~26万は常に超えていました

時給は、1,700円からスタートし、土・日祝の勤務だと時給で200円は上乗せされていました。

また、寸志程度ですが、年に2回は賞与も出ました。

 

4.私が働いて感じたこと

私が働いて感じたこと

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献血ルームで働いたときは、採血をする血管の選定や穿刺技術が飛躍的に向上しました。

1日に献血者が数十人〜数百人(勤務先のルームによって献血者の数も違います)となり、看護師として担当するのは1日10名、多くて20名程になります。

以下で、私が働いて感じたメリット・デメリットをお伝えしていきます。

 

(1)私が感じた”やりがい”

献血ルームは直接的に一人一人の善意を感じられるという唯一の場所です。

病院では、「また来たよ、お世話になります」という言葉を聞きたくないのが看護師の本音だと思います。しかし、献血ルームでの「また来たよ、今日もよろしく」の言葉は本当に前向きな気持ちにさせてもらえます。

きっかけは献血をすることによって貰える粗品だったり、震災時の献血の呼びかけだったり、単に時間が余ったからだったりと理由は様々ですが、私たち看護師の声掛けによってリピーターとなってもらえる時は喜びも一入です。

 

(2)採血技術を学ぶことが出来た

採血時の起こりうるトラブルへの対処方法、

  • 血管迷走神経反射
  • クエン酸反応
  • 血管神経損傷
  • 動脈穿刺
  • 内出血

なども学ぶことができました。

採血技術は、病棟やクリニックに改めて勤務した際にも役立ちました。

 

(3)献血に使用する針は基本17ゲージ

献血に使用する針は基本17ゲージ

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献血に使用する針は、基本的に全て17ゲージです。

そのため、どんなに採血やルート取りの経験があったとしても、血管が細い人にあたってしまうと一気に難易度が上がってしまいます。

回数をこなしていけば、自然と上達するものではありますが、最初のうちは私も苦労しました。

 

(4)採血に慣れるまでは毎回緊張が伴う

仕事内容は基本的に採血になり、高いスキルが必要になります。そのため、慣れれば問題ありませんでしたが、最初のうちは毎回緊張しました。

また、採用時の面接でも採血技術を問われました。

 

(5)研修制度や福利厚生も充実していた

献血ルームは「日本赤十字社」という大きな組織が運営母体ですので、研修制度もきちんと整っており、また福利厚生もしっかりしています。

業務内容自体に向き不向きはありますが、合っている人にとっては安心して長く働き続けられる現場です。

 

(6)正社員になりやすい

正社員になるためには、同じ系列の赤十字病院からの異動ではない限り、全員パート(非常勤)看護師からのスタートになります。

正社員になりたいと希望する者は、1年間パート社員を経験した後、1年後に試験を受けます(面接だけか、面接と作文かは各都道府県で異なります)。

私の経験ですが、正社員の希望者は、ほぼ全員正社員で雇用されていました。

 

(7)希望の勤務先を選べない

私の場合、自宅から比較的近い献血ルームを選んでもらえましたが、私が希望していた献血ルームには配属されませんでした。

献血ルームで働く正社員は更に勤務地の希望が通らないそうです。

 

(8)家庭と両立しやすい環境

家庭と両立しやすい環境

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献血ルームはもちろん最後の献血者が帰るまでは終わりませんが、残業になることはほとんどありませんし、当たり前ですが夜間は献血ルームも閉まっているため、夜勤も全くありません。

また、私が働いている献血ルームでは看護師の8割は子持ちの方で、学校の行事がある際などはシフトの考慮をしてもらえました。

そのため、私は家庭と仕事を両立しやすく、子育ての相談も気軽にでき、共通点があることでコミュニケーションも取りやすかったです。

 

5.最後に

最近は、芸能人などが病気で血液製剤を利用している関係で献血者に感謝を述べているニュースを見かけることがありますが、献血は仕組みが分らないと中々足を踏み入れにくい場所ではあります。

献血ルームでの看護師求人は主に、各都道府県の赤十字血液センターの公式ホームページで見つけることができます。

興味のある方は、まずお住まいの地域の血液センターのページをチェックしてみてください。


   
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更新:2019年8月20日
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