有料老人ホーム看護師の役割と仕事内容、働いた体験

老人ホームやデイケアなどの施設
画像:shutterstock

私が複数の(介護付き)有料老人ホームで働いた経験を元に、看護師の役割や仕事内容を分かりやすく解説していきます。

また、有料老人ホームを運営する企業や、看護師が働く雇用形態により、仕事内容は多少異なる場合が多いため、注意しましょう。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 愛知県/29歳
  • 職務経験:大学病院、有料老人ホーム、デイサービス、訪問看護
  • 診療科経験:混合病棟
大学病院で4年間勤務後、結婚のため退職。出産も経験し3児の母。他施設の非常勤看護師の経験を経て、現在は有料老人ホームで正社員として活躍中。
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1.「介護付き」有料老人ホームについて

「介護付き」有料老人ホームについて

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有料老人ホームには、大きく3つの種類があり、

  1. 介護付き有料老人ホーム(介護が必要な高齢者が入居)
  2. 住宅型有料老人ホーム(介護が必要な高齢者と不要な高齢者が両方入居)
  3. 健康型有料老人ホーム(介護が不要な高齢者が入居)

となり、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」などで、看護師や准看護師が多く働いています。

「介護付き有料老人ホーム」には、施設の職員が介護サービスを提供する場合と、介護サービスを委託している施設があります。(看護師として働く場合は、運営母体や仕事先を確認すると良いでしょう。一般的な仕事内容や役割はさほど変わりません。)詳しくは「厚生労働省:有料老人ホームの種類」を確認してください。

また、介護付き有料老人ホームで働く看護師が多い理由としては、運営に看護師の配置基準が決められているため、運営者は看護師を雇用する必要があるためです。

そのため、看護師の視点から考えると「有料老人ホーム=介護付き有料老人ホーム」となり、以下、「有料老人ホーム」として説明していきます。

 

在籍しているスタッフについて

施設の職員が介護サービスを提供する場合、有料老人ホームに在籍するスタッフは以下の通りです。

  • 管理者スタッフ/サービス責任者
  • 生活相談員
  • 介護スタッフ:介護士など
  • 機能訓練指導員
  • 計画作成担当者:介護支援専門員/ケアマネジャー
  • 看護スタッフ:看護師

看護師の人数の割合は少なく、介護士などの介護スタッフがメインで働いている職場となります。

 

2.看護師の役割

看護師の役割

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有料老人ホームで働く看護師は、利用者が健康で安全に生活できるように援助する役割を担っています。

働く看護師の役割を細かく分けて説明していきます。

 

(1)医療行為

点滴

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有料老人ホームの介護士では、医療行為を行うことができないため、医療行為を行うことが看護師の役割といえます。

医療行為としては、点滴や注射、痰の吸引や創部処置、正しい薬が投薬されているのか確認や管理などになります。

また、急変時の対応を行うことや救急搬送の判断も看護師の大切な役割です。

 

(2)ケアのリスクマネジメント

有料老人ホームでは、基本的にケアは介護士が行いますが、利用者が予定されているケア(入浴や清拭など)を施行して良い状態か判断するのは看護師の役割です。

また、適切で安全なケアの方法をケアマネジャーや介護士に提案することも行います。

 

(3)外部の他職種や医療機関と連携

外部の他職種や医療機関と連携

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施設によって多少異なりますが、有料老人ホームでは、協力病院を定める必要があり、看護師は医師と連携を取ります。

そのため、医師へ利用者の健康状態を報告し、必要であれば指示受けや処方を依頼することも看護師の役割です。

 

(4)健康相談や指導

利用者は高齢者のため健康不安を抱えていることが多く、不調や気になることがあれば、看護師が相談や時には指導を行います。

専門職である看護師に聞いてもらえただけで安心する利用者は多いといえます。

また、病状が悪化した場合や終末期となった際は、施設長や医師と一緒に今後の方向性を利用者や家族と相談することも看護師の役割です。

 

(5)感染予防対策

感染マニュアルが整っている場合でも、看護師がスタッフに感染予防の指導を行うことがあります

具体的な施設での隔離指示や隔離方法は施設内での取決められている場合が多いですが、感染管理の指導や助言といった役割を看護師が担うこともあります。

 

3.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

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有料老人ホームでの仕事内容は、看護師にしかできない医療的なことが多くなり、スケジュールは以下のようになります。

8:30~ (正職員)朝礼参加
(非常勤・パート・派遣)朝礼実施している際、朝の経管栄養の片付け
9:00~ ・看護師同士のミニミーティング実施
・各フロア職員との申し送りを行う
・服薬準備、処置など実施
・吸引、昼の経管栄養の準備・実施
12:00~ ・服薬介助、食事介助
・看護記録記入
・昼の経管栄養の片付け
13:00~ ・休憩
14:00~ ・服薬準備、処置など実施
・往診の対応など
・吸引・夕の経過栄養の準備・実施
17:00~17:30 ・夜勤者への申し送り
・看護記録記入
・医務室の整理整頓、翌日の準備など
・退勤
【以下夜勤の仕事】
16:30~ ・日勤看護師との申し送り
・夕の経管栄養の片付け
・夕食の準備
・服薬介助
・IVH利用者の点滴交換
・排泄介助、就寝介助などの対応
20:00~ ・就寝薬の準備、服薬介助
・就寝、フロアラウンド
・医務室待機(ナースコール時に対応)
0:00~2:00 ・休憩
2:00~4:00 ・医務室待機(ナースコール時に対応)
4:00~ ・翌朝の服薬準備
・インシュリン実施者の準備
・採血実施の準備など
6:00~ ・起床介助
・服薬介助
・血糖測定
・採血実施
・吸引
・朝の経管栄養準備
・服薬介助
・食事介助
8:30~9:30 ・経管栄養の片付け
・看護師同士のミニミーティング
・日勤の看護師へ申し送り
・退勤

夜勤看護師は施設によって異なりますが、基本的に看護師1人で利用者の対応をする場合が多いといえます。

また、病院で行う「おむつ交換」や「トイレ誘導」「利用者を車いすへの移乗」「移送など」はほとんど介護士の仕事となる場合が多いため、看護師が行うことは少ない施設が多いといえます。(施設によって異なります。)

メインで行っていた仕事内容の詳細を説明していきます。

 

(1)内服薬や外用薬などの投与

有料老人ホームにおける利用者への薬の投与は、「看護師しかできない」「看護師として行わなければならない」仕事となります。

看護師は薬のボックスから薬を出すだけでなく、有料老人ホームの個々の利用者に応じて飲みやすい形体にすることや、ゼリーなど内服のための補助飲料などを準備したりすることも看護師の仕事となります。

利用者も病院ではないという認識が強いことから、服薬拒否や、薬を吐き出してしまうこともあり、確実に飲ませる工夫も必要です。

薬の量が多いためスピードが求められる

内服薬だけではなく、点眼や皮膚疾患に対する薬、インスリン注射なども看護師の仕事となります。

特に点眼や皮膚の疾患に対する薬は病院とは比べ物にならないほど多いため、確実に投与できるようスピードも求められます。

 

(2)入浴前・具合の悪い利用者の検温

入浴前・具合の悪い利用者の検温

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有料老人ホームの利用者は、病院のように毎日何回も検温をするわけではありません。

  • 入浴が重なっている
  • 具合の悪い利用者がいる

以上の場合には、看護師の仕事内容に検温が必要となる場合が多いです。

 

(3)経管栄養と食事介助

経管栄養と食事介助

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看護師は利用者の食事前に血糖チェック、インシュリン注射の実施、食前薬の内服を行います。

経管栄養も看護師が必ず行わなければならない仕事(処置)になります。

食事介助は、介護士が行ってくれる場合が多いですが、嚥下機能が低下している利用者など医療的な見守りが必要である利用者に対しては、看護師が食事介助を行います

施設によっては経管栄養を行う利用者の受け入れをしていないところもあるため、仕事内容に入らないところもあります。

 

(4)訪問診察での介助

訪問診察での介助

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有料老人ホームの多くは、決まった曜日や日時に訪問診察があり、看護師は外用薬や定時の内服薬の処方を依頼することや、診察介助を行います

処置の変更があった場合は、往診ノートに記録し看護師同士で情報共有します。

 

(5)急変時の対応

利用者の急変時の対応は、看護師が行います。

「状態を観察して救急車を呼び提携している病院へ搬送する」ことが仕事となります。

何か異常を見つけた際に観察を行い、どういった状態かを申し送りすることが必要になります。

 

4.働いて感じたこと

働いて感じたこと

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私が有料老人ホームで働いて感じたことを説明していきます。仕事内容にプラスして参考にしていただけたら幸いです。

 

(1)病棟に比べると比較的に仕事は楽

有料老人ホームでは、病棟の患者に比べると処置や記録が少なく、一日のスケジュールも日々大きく変わりありませんでした。

また、利用者の急変もほとんどないため、看護師としてのんびりと時間がながれ、比較的に仕事が楽であるといえます。

しかし、夜勤中、利用者にトラブルがあった場合などは、忙しいこともありました。

 

(2)利用者と向き合った看護ができる

利用者と向き合った看護ができる

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仕事が忙しくない分、利用者とゆっくりと関わる時間を取ることができました。

有料老人ホームでは、終の棲家となるため長く入居している利用者もいるため、長期間関わることができます。

そのため、利用者と信頼関係を深く築くことができることも、看護師としてやりがいと感じました。

 

(3)介護のサポートは体力的に厳しかった

私が勤務していた有料老人ホームでは、介護スタッフが不足している時期は、入浴介助や体位変換、移動などの重労働にも積極的に関わる必要がありました。

スタッフが新しく入職してからは楽になりましたが、介護のサポートを行うことは体力勝負であるとも感じました。

 

(4)医療的な判断はゆだねられる

もし、利用者に何かあった場合、緊急の判断や対応は看護師に問われ、責任が重かった印象があります。

夜勤中などは1人のため、初めて対応した際は、緊張しました。

 

(5)スタッフとの人間関係には注意が必要

スタッフとの人間関係には注意が必要

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実際に「あの看護師は威張っている」と言う介護士や、「介護士が言うことを聞かない」と言う看護師、それぞれの愚痴や衝突を体験したことがあります。

また、介護スタッフの出入りも激しい有料老人ホームもあり、人間関係は苦労しました。

看護師の人数より介護スタッフの人数の方が多いため、協力や理解が必要な職場だと感じます。

 

(6)在宅看護や老年看護の知識や技術が身に付いた

在宅看護と同様で医療物品が少ないため、看護師として限られた状態で最善のケアを行う工夫や知識、判断力が身に付きました。

また、病院では見ることのできない退院後のストーマケアや人工呼吸器などの在宅管理の看護を行うことができました。

 

5.最後に

有料老人ホームは看護師にとって、融通が利く働きやすい職場といえる一方、看護技術の低下やスキルアップが行いにくい点がデメリットだと感じます。

しかし、介護分野は利用者やスタッフとの関わりなど、医療的な知識技術だけではカバーしきれないことがたくさんあります。

また、臨床経験を積んだブランク明けの看護師などは、働きやすい職場ですが、長ければ長いほど、病棟に戻りにくくなります。

近年、ダブルワーク(アルバイト)などで有料老人ホームの夜勤や日勤を行う看護師も増えてきました。

初めて有料老人ホームに転職する場合は、職場や仕事内容のイメージを分かるために、転職ではなくアルバイトから始めてみてください。


   
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更新:2019年3月20日
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