特別養護老人ホームで働く看護師の仕事内容、3人の体験談

特別養護老人ホームで働く看護師の仕事内容、3人の体験談

特別養護老人ホームは、略して「特養」と呼ばれ、「指定介護老人福祉施設」とも言います。

自宅での生活が困難な高齢者(利用者・入居者)が入居するための施設であり、地方公共団体や社会福祉法人などの団体が運営しています。

利用者は65歳以上、要介護3以上、入院・治療が必要ないことが入居条件として定められており、終身利用を行う施設のため、入居者への看取りケアも行っている施設もあります。

働いたことがない看護師の皆様に、少しでも伝わるように特別養護老人ホームで働いた経験がある、私を含め看護師3名の体験談から「仕事内容」や「やりがい」、「実際に働いて感じたこと」をお伝えいたします。

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1.看護師の仕事内容

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 神奈川県/29歳
  • 職務経験:総合病院、特別養護老人ホーム、クリニック、介護老人保健施設、デイサービス、健診センター、イベントナース、健康相談員
  • 診療科経験:脳外科、神経内科、内科、皮膚科、美容皮膚科、整形外科
3年間、総合病院での経験を経て転職。社会勉強として、様々な病院・施設で働いた経験があり、現在は派遣・パート看護師として活躍中。

私が勤務した特別養護老人ホームは規模が大きく、入居者は3フロアに分かれており、1フロアにつき看護師が2名在籍していました。

看護師の仕事内容

画像:shutterstock

看護師の1日のスケジュールは以下の通りです。

8時半・朝礼
9時・介護職員は朝のラウンドへ
・看護師は、昼・夜・翌朝分の薬のセット
9時半・看護師のラウンド
・入居者のバイタルチェック
10時・入浴介助
・皮膚の保湿や褥瘡の処置
・爪切り など
11時・昼分の経管栄養の準備と実施
11時半・血糖測定
・インスリン投与
・食前薬の投与
12時・食事介助
・食後薬配薬
12時半・休憩
13時半・記録まとめ等事務作業
14時・全体カンファレンスへの参加
15時・看護師のラウンド
・必要時バイタルチェック
16時半・経管栄養準備、順次実施
17時・記録記載
17時半・仕事終了

私が体験した特別養護老人ホームでの看護師の仕事内容を説明していきます。

 

(1)入居者(利用者)の健康管理

入居者(利用者)の健康管理

画像:shutterstock

特別養護老人ホームで働く看護師の仕事内容は、入居者の健康管理が一番の仕事になります。

介護スタッフなどから受ける入居者の報告に、状態と疾患を関連づけてアセスメントし、医療の介入が必要となるのかを、看護師は見極め判断します。

特別養護老人ホームでは、入居者100名に対して、医師が1名、看護師が3名とされておりますが、非常勤・常勤医師がずっといるわけではありません。

そのため、「救急搬送が必要かどうか」それとも「明日の診療時間を待って受診に出かける時間的余裕がまだあるか」、さらには救急搬送ではなくても「今から施設の車で受診へ向かうべきか」という判断が看護師に委ねられる場合が多いといえます。

 

看護師の体験談

病院は治療や疾病の回復を行う場ですが、特別養護老人ホームは、入居者の生活の場でした。

病院ほどではありませんが、介護度が高い、認知症があるなど、なんらかの理由で、自宅では生活できない方々が入居していました。

 

(2)医療処置

入居者の中には、医療処置を必要としている方も多くいます。

働く職場によっても異なります(施設によって定められている範囲が異なります)が、与薬管理や、バイタルサイン(血圧測定、体温測定)、経管栄養、痰の吸引、吸入、膀胱留置カテーテルの管理や交換、人工肛門の管理、インスリン注射、創傷処置、外用薬塗布などが、毎日の仕事内容になります。

例えば、人工呼吸器管理、人工透析ケア、経鼻経管栄養、終末期や末期がん入居者への看取りケアなどを行っている施設もあれば、医療処置のある方はなるべく受け入れないという特別養護老人ホームもあります。

 

(3)介護スタッフとの連携

介護スタッフとの連携

画像:shutterstock

特別養護老人ホームでは一般的に入居者の食事、排泄、入浴等の日常生活の細部に渡る世話をするのは、基本的に介護スタッフです。(こちらも施設によって異なります。)

そのため、介護スタッフと入居者の状態についてのコミュニケーションは看護師の大切な仕事です。

 

看護師の体験談

実際に働いて感じたことは、日々のちょっとした入居者の変化に気付く鍵になるのは介護スタッフの人たちの観察による部分もとても大きいということです。

入居者が「どのような状態になったら報告をしてほしいのか」など、日頃からのコミュニケーションや人間関係作りが、入居者の急変を察知するポイントとなり、教育的なことを行うことも必要でした。

また、働いている期間が長い介護スタッフの場合、医療の知識のあるスタッフも在籍していますし、逆にほとんど医療の知識は無い介護スタッフもいました。

 

(4)医師との連携

私が勤務していた特別養護老人ホームの医師は、嘱託医(非常勤)で、週に1度来所する程度でした。(入居者の状態が変わった時、急変時などは電話連絡をとり、指示を仰ぎながら、必要時は診にきてくれました。)

そのため、入居者の急変時や状態変化がある場合に、どのタイミングでどのように医師に報告するか、報告を受けての速やかな処置が看護の仕事になります。

医師が来所した際に、入居者の日々の状態報告から、処置や投薬内容の相談を行ったりもします。今は、入居者への看取りケアを行う施設も多く、入居者や家族の希望に沿うよう、医師や介護職と連携をとります。

 

(5)オンコール対応

オンコール対応

画像:shutterstock

特別養護老人ホームは、夜勤帯に看護師は常駐しておらず、オンコール体制をとっている施設もあります

そのため、オンコール対応は看護師の仕事の一つとなります。

 

私の体験談

私が勤務していた特別養護老人ホームでは、オンコールは看護師が持ち回りで行っていました。

オンコールは、入浴中であろうと夜中であろうと電話が来たら応対しなければならず、その日は完全に拘束となり、施設から半径何メートルの外出禁止、飲酒禁止など厳しいルールが設けられていました。

家で仕事をするから楽ではないかと思われがちですが、私の施設は電話の頻度が多い特別養護老人ホームだったため、家にいても休まらない状態でした。

オンコール手当ても別途(10,000円)貰うことが出来ましたが、その呼び出しに出動するかどうかで金額にも差が出る施設でした。

 

2.病院から特養へ転職した看護師の体験談

【執筆した看護師のプロフィール】

山村真子 看護師
山村 真子 看護師資格確認済み
  • 東京都/32歳
  • 病棟経験:大学病院、総合病院
  • その他施設:デイサービス、ツアーナース、イベントナース、特別養護老人ホーム、訪問入浴、外来(整形外科)、健診センター、有料老人ホーム
  • 診療科経験:脳神経科、循環器科、内分泌科、一般内科、血液内科、腎臓内科、老年精神科(療養型)
看護短大にて看護師資格を取得後、大学病院に1年、総合病院に7年勤務し、その後様々な分野を経験。現在は看護師ライターとして活躍中。

当時、家族が病気になり、介護が必要になりました。

私が働いていた病院の病棟は、非常に忙しく、残業や連続夜勤が当たり前の状況であり、病院の仕事と介護を両立することが出来ないと感じ転職を決意しました。

病院から特別養護老人ホームへ転職した際に感じたことを体験談と共にご紹介します。

 

(1)介護スタッフ中心の職場に驚いた

介護スタッフ中心の職場に驚いた

画像:shutterstock

特別養護老人ホームでは、看護師よりも介護職の方が圧倒的に多く、介護スタッフが中心の職場という印象を受けました。

そのため、私が働いていた特別養護老人ホームでは「看護師はあくまで介護職の方の補助」という立ち位置で仕事を行っていました。

 

(2)介護士の間違いをすぐに正せない

介護士は医療のプロではなく、ベテランの介護士であっても医療的なエビデンスは知らず「今までの経験や見解」で物事を話し、ケアをしようとする介護士もいました。

そのため、「看護師として医療を学んできた人間から見たらおかしい」と思うことも多々ありました。

しかし、真っ向から否定すれば介護士とのトラブルの原因となる可能性もあり、「伝えること」「教えること」は楽ではありませんでした。

もちろん、医療的な知識をしっかりと求めている介護士も存在し、正しい知識を教え看護師から介護士へ正しい知識の共有がスムーズなこともありました。

私の印象ですが、若い介護士や中堅の介護士が知識を求める方が多かったです。

 

(3)仕事が楽だと思うことはなかった

仕事が楽だと思うことはなかった

画像:shutterstock

特別養護老人ホームには、病院とはまた違い、少人数の看護師で100名以上の「寝たきり」および「介護度の高い」入居者の健康管理を行わなければならない、という大変さでした。

また、

  • 利用者の体調悪化で看護師が病院まで付き添うこと
  • 緊急入院の場合はサマリーを作成・提出すること

などの仕事があり、病院勤務と同じように日によっては、数時間の残業になってしまうこともありました。

また、勤務している看護師も年配の方(50歳や60歳)が多く人間関係を円滑に進めていく必要があり、これも楽ではない大変な仕事だと感じました。

 

しかし、夜勤の勤務は病院と比較して楽でした

私が勤務していた、特別養護老人ホームはオンコール体制ではなく、夜勤の看護師が1名勤務していました。

緊急時の対応がないかぎり、3時間から4時間、仮眠を取ることもできました。また、夜勤はよほどのイレギュラーがない限り残業などもありませんでした。

 

(4)終身利用のため入居者は亡くなっていく

特別養護老人ホームの利用者は 基本的に終身利用のため、そのまま施設から病院に搬送され最期を迎えます。

私は、毎日看護をしていた人が亡くなっていくことが、精神的に辛いときもありました。

 

3.看護師のやりがい

看護師のやりがい

画像:shutterstock

私は特別養護老人ホームで看護師としての「やりがい」を見出せるまでに時間がかかりました

さらに、施設看護師は本当に看護業務しか行わないため、入居者の介護的側面にも関われる技術があるにも関わらず、生かせないことに歯がゆさを感じることも多くありました。

そのような、特別養護老人ホームで働いた看護師3名が感じた、やりがいについてご紹介します。

 

(1)入居者との信頼関係が築くことができた

特別養護老人ホームは、日常生活を送る高齢者の住まいとなる場所なので、時間に常に追われた業務ではなく、一日の流れがゆっくりしています。

そのため、じっくりと入居者に付き合う時間が持てるので、ひとり一人に向き合った看護や、信頼関係を築くことができたことが私のやりがいでした。

また、季節にあったイベント(正月はもちつき、夏は納涼祭)や企画を開催しているため、参加する楽しみもありました。

 

(2)入居者や家族と喜怒哀楽を共有できたこと

私は、入居者やその家族と喜怒哀楽を共有することで、やりがいを感じました。

特別養護老人ホームでは、年単位で入居している方が多かったため、私たちも家族のような存在でした。

私は、入居者さんと最期まで共に過ごしていきたいと思うようになり、一緒に見たり対応したりすることで、もっとこの人のために頑張ろうと仕事を行っていました。

 

(3)介護スタッフの良き相談相手となれたこと

特別養護老人ホームに限らず、介護施設では看護師と介護スタッフの人間関係や立ち位置などの問題があります。

しかし、私は介護スタッフと協力しながら入居者を看られたこと、良い相談相手となれたことは、病院では出来ない経験だったと感じますし、仕事のやりがいもありました。

上下関係なく、「入居者に対して最善なことを行おう」という一緒の想いで働けていたと感じます。

 

4.最後に

特別養護老人ホームの仕事は、病院での経験を積み、年齢を経てから働くところだという考え方もありますが、そうは言い切れないと考えています。

育児や、家事などに重点を置かなければならない時期には、病院勤務よりも働きやすい職場だと私は働いて感じます。

また、急性期の看護ではなく、じっくりと入居者と向き合い、長いスパンで看護の力を発揮することの方が向いている看護師もいると思います。

医療処置はほとんどありませんが、医師が常駐していない分、様々な仕事を看護師で探して作っていけますし、看護の力を存分に発揮できる場だと感じます。

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