訪問看護師の役割と仕事内容、1日のスケジュール

訪問看護師の役割と仕事内容、1日のスケジュール
写真:shutterstock

近年増えつつある訪問看護ステーションですが、「訪問看護に興味はあるけれど、実態がつかめなくて踏み切れない」など、訪問看護師は難しそう、というイメージだけで転職の候補から敬遠される方もいます。

私は8年務めた大学病院を退職後、初めて訪問看護の世界へ飛び込みました。もちろん最初は戸惑うことも多かったのですが、今では毎日やりがいを感じながら楽しく、訪問看護師として仕事をすることができています。

【執筆した看護師のプロフィール】

看護師
看護師資格確認済み
  • 年齢/エリア:40歳/神奈川県
  • 保有資格:看護師、ACLSプロバイダー
  • 経歴:大学病院、総合病院、訪問看護
  • 経験がある診療科:ICU、CCU(冠疾患治療室)
看護専門学校卒業後、大学病院の集中治療室(ICU・CCU)で8年間勤務。出産・育児休暇を経て復職後、在宅看護に携わりたいと考え転職。現在は友人が立ち上げた訪問看護ステーションで勤務中。

訪問看護師の経験がない方にもその役割や仕事内容が分かるように説明していきます。

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1.看護師の役割

看護師の役割

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訪問看護師の役割の中で病院と大きく異なるのは、

  • 本人の病気だけでなく人生や生活を支えていくこと
  • 本人だけでなくその介護者(家族)の健康を維持すること

が挙げられます。

 

(1)人生や生活を支える

人生や生活を支える

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在宅療養では、病気を治して元の生活に戻るというよりも「病気をコントロールしながら生活をより良くする」「悪化を予防する」等をして、その後の人生を充実させることが看護師の役割です。

そのため、病院であれば病気のコントロールのために食事制限や運動の指示がある場合でも、在宅では本人の意思や生活リズムを重視することもあります。

どこまで容認して、どこから守ってもらうべきか本人や家族と一緒に考えて助言することや、病状の早期発見・早期対応をすることが看護師に求められます。

 

(2)介護者である家族の看護をする

介護者である家族の看護をする

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訪問看護師は、患者の家族が倒れたら本人の世話をする人がいなくなってしまうため、家族の健康に注意を払うという役割もあります。

現在は、ショートステイや頻回な介護サービスなど、家族の介護負担軽減のためのシステムがありますが、それでも24時間365日休みなく一緒にいるのは家族です。

在宅療養は、家族の思いと介護力があってこそ成り立つと言っても過言ではありません。

看護師が患者の家に訪問したときに、本人だけでなく家族の睡眠やストレス状況も観察して問題があれば、ケアマネジャーなどに相談することも大切です。

 

2.看護師の仕事内容

看護師の仕事内容

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具体的に訪問看護師は事業所(訪問看護ステーション)や訪問先で、どのような仕事を行うのか説明していきます。

 

(1)利用者の自宅で看護サービスを提供

訪問看護師は医師の指示もしくはケアマネジャーのプランに沿って、利用者の自宅で以下のような看護サービスを提供します。

医師の指示の元実施する場合 ・IVH
・胃ろう
・経管栄養
・ストマ
・酸素投与
・創・褥瘡処置
・吸引
・点滴
・終末期ケアなど
要支援・要介護者に実施する場合 ・服薬管理
・移動・移乗介助
・入浴介助
・血糖測定
・インスリン注射
・排便支援
・認知症ケア

 

(2)サービス担当者会議への参加

利用者を支える地域のケアマネジャーや在宅医、ケアプラザ担当者、介護サービス会社などと、患者に必要なサービスについて会議することもあります。

 

(3)自費分の料金請求と徴収

自費分の料金請求と徴収

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月々のサービス提供に関わる保険分(レセプト請求)の請求は主に管理者が行いますが、自費分の料金請求と徴収は訪問時に行うことがあります。

なお、支払いの滞納関しては、管理者が対応します。

 

(4)経理や総務のサポート

経理や総務のサポート

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事業所として事務員が雇用されている場合、看護師は看護のことだけに集中できます。しかし事務員がいない事業所(訪問看護ステーション)の場合は経理や総務の仕事も管理者が全て行わなければならず、従業員である看護師がそのサポートすることもあります。

 

(5)その他

上記で紹介した仕事以外にも、以下のような仕事も日々行っています。

  • 利用者の生活状況・家族の介護力などの情報収集
  • 利用者の看護計画立案・評価
  •  看護実施後の報告書作成・各関連部署への報告

訪問看護師は病院での経験が沢山活かせることが、よく分かるのではないでしょうか。

 

3.スケジュール<1日>(事例)

スケジュール<1日>(事例)

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「訪問看護師って難しそう」「1人で訪問するなんて責任が重い」などのイメージをもっている人が多いのではないでしょうか。

訪問看護師の1日のタイムスケジュールは以下の通りです。

9:00~ 出社して訪問介護の準備を行う
9:30~ 訪問時間に合わせてそれぞれ出発
10:00~ 1件目:訪問
11:20~ 2件目:訪問
12:30~ お昼休憩
13:30~ 3件目:訪問
15:00~ 4件目:訪問
16:20~ 帰社:訪問看護ステーションに戻ってからの仕事
1日の訪問件数は、事業所(訪問看護ステーション)によって異なります。事務作業を分業していることで、1人の看護師が1日連続で7〜8件訪問する事業所もあれば、受け持ち制を導入していて1日4件程度しか訪問しない事業所もあります。

以下で詳しく説明していきます。

 

09:00:出社して訪問介護の準備を行う

訪問看護師は、訪問先の患者を訪ねる前に、まず、職場である事業所(訪問看護ステーション)に出社します。

  • ユニフォームに着替える(基本貸出が多い)
  • 留守番電話のチェック
  • 臨時訪問などの対応確認(再スケジュール設定)

など、出社しておこないます。

病院勤務より、情報収集にかける時間が少なくて済むので、前残業の時間はほとんどありません。

急なキャンセル、体調不良による臨時訪問の依頼、ケアマネジャーからの連絡等が入っているため、留守番電話などのチェックは欠かせません。

訪問するための準備物

  • 訪問バック(物品の補充や点検)
  • 洗髪グッズ

など、訪問看護に必要なものを持ち車に乗り込みます。

自転車のところも自動車のところもあるため、事業所(訪問看護ステーション)を決める場合には確認してください。(都心部などは自転車のところが多いです。)

 

10:00:男性70歳のお宅に訪問

【脳梗塞/70代男性/主治医の指示を仰ぎながら処置を行う】
訪問(70歳男性)
訪問先の70歳男性は、脳梗塞を患っており、「要介護5」で生活全般に介助を要します。男性の奥様は一緒にケアをしたいという意向を示していたので、私(看護師)と共にケアを行います。バイタルサインの測定をしながら、奥様に生活状況の確認をし、清拭、更衣をしながら、臀部の状態も含め全身の観察を行います。臀部に表皮剥離があったため主治医に電話連絡をし、指示を仰ぎました。

 

11:20:男性80歳のお宅に訪問

【肺気腫/80代男性/状態を観察しケアを実施する】

訪問(80代男性)

「便秘でお腹が痛いため、息も苦しく感じる」とのことで、処置を行うと症状が改善しました。

全身の皮膚の乾燥がみられたので、清拭や足浴をしながら、スキンケアを実施しました。

痛みも緩和し、呼吸の苦しさも改善したとのことでした。

 

13:30:女性90代のお宅に訪問

【腰椎圧迫骨折後/90代女性/排泄のケア等】

訪問(90代女性)

このお宅には、ケアマネジャー、訪問診療、訪問歯科、訪問リハビリ、ヘルパー、ディサービス、訪問入浴、福祉用具専門員等多くのサービスが入っており、日中、独居のため、排泄のケアを済ませ、介助で離床し昼食を食べるセッティングをしました。

入れ替わりでヘルパーさんが入り食事の提供、片づけ等をしてくれました。私は、他職種の方が情報共有できるようにノートを作り、日々の状態を記載していきました。

また、認知症があり、排泄状況の把握が難しいため、排泄チェック表を作成し、排泄に関わったスタッフが記載することで、評価やケアに役立てます。

 

15:00:女性60代のお宅に訪問

【パーキンソン病/60代女性/服薬チェック】
訪問(60代女性)薬の種類が多く自己管理が難しいため、お薬カレンダーを使用し、看護師が薬をセットし、服薬できているかチェックしました。飲み忘れが増えているため、本人に話を聞きながら原因を考え、薬の袋が透明で見えにくく、見落としてしまい飲み忘れていることが分かりました。見えやすい工夫を検討し、本人と相談しながら、新しい方法で薬をセットして終了しました。

 

16:20:事業所に戻る

訪問が終わると、事業所(訪問看護ステーション)に戻り、訪問看護師は以下のような仕事を行います。

  • 1日の仕事の反省
  • 訪問バッグに物品を補充
  • 他のスタッフとの情報共有
  • 患者のカルテ管理
  • 訪問記録(パソコンに入力)
  • 担当者の書類作成
  • 事務作業等
  • ミーティング(1日の報告)

などです。

情報共有は社内だけでなく、ケアマネジャーをはじめ、他のサービス担当者や通院先の病院とも連絡を取り合い様々な調整をします。(退院カンファレンスに呼ばれ入院先の病院に伺うこともあります。)

訪問看護ステーションによっても異なりますが、残業はほとんどないところが多いです。

 

4.最後に

訪問看護師は、異常や緊急性については、先輩や上司に報告・連絡・相談することはもちろんですが「いつもと違う」という観察力は正常が何かを知っていないと養われないため、一般的な看護技術と正常の状態を理解できている2〜3年の臨床経験は最低限必要です。

現場において大切なのは患者・家族との信頼関係をどう築くかです。

そのため自信を持って堂々と話し、患者・家族の訴えを傾聴でき丁寧で確実な看護技術が提供できれば、信頼して貰える雰囲気を作ることができるため、ベテラン看護師でなければ務まらないということは決してありません。

訪問看護師として働くことで、病院とはまた違う看護師のやりがいを感じることができるはずです。

これから、ますます地域医療が重要視される時代のため、訪問看護師に興味のある方は、是非転職の候補の1つとして参考にして下さい。

また、転職で、訪問看護ステーションを選択する場合には「看護師転職で働きやすい訪問看護ステーションの選び方」を参考にしてください。

   
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更新:2019年8月20日
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