熱傷患者の看護(症状・評価方法・注意する期間・看護計画)について

このページでは、熱傷患者についての説明や、看護の注意点、看護計画について説明してきます。

また、主な熱傷の原因としては以下の通りです。

  1. 火事や爆発によるもの
  2. 化学薬品によるもの
  3. 油や熱湯によるもの
  4. 電気(雷撃傷)によるもの

など、様々なものがあります。熱傷は広範囲に及ぶほど生命に係わる重篤な状態になっています。

そのため、看護師にとっては、熱傷患者の初期対応が極めて重要になっていきます。それでは、詳しく説明していきます。

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熱傷患者の症状

熱傷患者の症状

熱傷患者の症状については、熱傷の深度によって変化します。

以下は症状と治療期間を熱傷の深度によってまとめています。

1度(表皮熱傷)・血管拡張、充血、発赤、浮腫、紅斑、疼痛、熱感など
・治療期間は数日
2度(浅達製表皮熱傷)・血管の浸透性口唇、血漿の血管外への滲出、水疱、発赤、摩擦、強い疼痛、灼熱感、知覚鈍麻など
・治療期間は1~2週間
2度(深達製表皮熱傷)・浅達製表皮熱傷と同様
・治療期間後4~5週間
3度(全層熱傷)・血管、神経の破壊。蒼白、炭化、無痛、知覚消失など
・治療期間は1カ月以上

これらの症状が、受傷した部位で起こります。これらの症状は皮膚の症状のみでそれ以外でも身体の中で様々変化が起こります。

そのため、患者の症状は特に注意して診ていかなければなりません。

熱傷の評価方法

熱傷の評価方法

熱傷の看護では、身体の中で起こる変化について早期対応をしないと行けません。そのためには、熱傷の程度がどのくらいなのか評価していく必要があります。

熱傷の評価方法は以下の通りです。

9の分類・5の分類

熱傷の重症度を判定するために、深さだけではなく、面積も重要になります。

熱傷面積を素早く判定するために成人では9の分類、小児では5の分類を用います。

9の分類頭部、左右上肢を9%、体幹前後面、両下肢前後面を18%、陰部を1%として推定
5の分類・乳児→頭部、体幹前面・後面を20%、四肢はそれぞれ10%と推定
・幼児→頭部を15%、左右上肢それぞれ10%、体幹前面を20%・後面、両下肢を15%と推定

※1度の熱傷の場合はこの分類で評価せず、2度・3度の熱傷の場合のみ使用します。

アルツの基準

【重度熱傷】熱傷専門の施設での入院が必要

  • 2度熱傷で体表面積30%以上のもの
  • 3度熱傷で体表面積10%以上のもの

顔面・手足の3度熱傷、軌道熱傷や軟部組織の熱傷、電撃傷、科学熱傷など。

【中等度熱傷】一般病院での入院が必要

  • 2度熱傷で体表面積15~30%以上のもの
  • 3度熱傷で体表面積10%未満のもの(顔面・手足は除く)

【軽度熱傷】外来通院でよいもの

  • 2度熱傷で体表面積15%未満のもの
  • 3度熱傷で体表面積2%未満のもの

熱傷指数(burn index=BI)

2度熱傷面積(%)×1/2+3度熱傷面積(%)

※BI:10~15以上で重症

熱傷予後指数(prognostic burn index=PI)

  • Burn Index+年齢
  • 70以下:予後良好
  • 100以上:予後不良

これらを使って重症度や予後などを評価していきます。

熱傷患者で看護師が注意する期間

熱傷患者で看護師が注意する期間

重度熱傷の患者について特に看護師が注意しなければならない症状としては、受傷後から、

  • 48時間以内(ショック期)
  • 48~72時間(ショック離脱期)
  • refilling現象終了~創閉鎖まで(感染期)

となります。

以下で詳しく説明していきます。

受傷後48時間以内(ショック期)

全身性の炎症反応(SIRS)に進行していきます。血管透過性亢進するため創部から大量の浸出液が出てきます。

血管外の水分貯留および浮腫は受傷後24~48時間まで続きます。

ポイント!

ポイント
この時期に十分な輸液を行わないと、循環血液減少性ショックや臓器機能不全を引き起こしてしまいます。

48~72時間(ショック離脱期)

炎症反応(SIRS)や血管透過性亢進はこの時期に消退し、間質に漏出していた体液がリンパ系を通って循環系に戻るrefilling現象が起こります。

このため、循環血液量が増えることで中心静脈圧はやや高値になったり、心拍出量の増加や不整脈、脈圧の拡大、尿量増加などが起こります。

これらによって、うっ血性心不全や肺水腫などを引き起こしてしまいます。

refilling現象終了~創閉鎖まで(感染期)

熱傷により壊死組織が存在する場合や、宿主防御機能低下により、細菌などが創部や粘膜から体内に侵入しやすい状態になっており、全身性炎症反応症候群(SIRS)から敗血症になりやすい。

敗血症になったしまったときに注意しなければならない症状として、二次性肺炎や急性呼吸促拍症候群(ARDS)、肝障害、麻痺性イレウス、血小板減少、凝固能低下などです。

その他に蛋白異化が進むため、筋肉量や脂肪量が減少し、栄養状態の悪化をきたしやすく、できるだけ栄養摂取量を増やすようにしていく必要があります。

注意が必要な患者の症状について

看護師が特に注意して観察していく項目は以下の通りです。

  • バイタルサイン
  • inoutバランス
  • 創部の状態(滲出液の有無・量)
  • 感染の兆候の有無
  • 疼痛の有無・程度
  • 栄養状態(食事・水分接種量など)

などが観察項目となります。以下、患者の注意すべき症状となります。

気道熱傷が疑われる場合

自覚症状として、咽頭部違和感、嗄声、呼吸困難などがあります。

その他、他覚的症状として、口腔・鼻腔の煤(すす)や煤(すす)交じりの痰、喘鳴、聴診による異常音、血中酸素濃度の低下などが見られます。

気管挿管の対象となるため、より状態観察が必要になります。

※特に注意して観察していく症状

  • 呼吸状態(呼吸苦の有無、嗄声、喘鳴など)
  • 血中酸素濃度

化学熱傷の場合

大量に被爆した場合、吸収された化学物質による中毒症状として、肝機能障害や腎機能障害、電解質異常などが見られる場合があります。

補足説明!

補足事項
化学物質を吸引することによって気道組織を損傷し、急性呼吸器不全になり呼吸状態が悪化することもあります。

※特に注意して観察していく症状

  • バイタルサイン
  • 創部の状態
  • 疼痛の有無・程度
  • 呼吸状態(呼吸苦など)

熱傷患者の看護計画

熱傷患者の看護計画

看護計画を立案していきましょう。次の5つのものをメインに考えていきます。

#1皮膚機能障害

看護目標・皮膚の保護や新たな損傷の予防方法を理解し、創の治癒を進めることができる
・治療段階に応じた処置を行うことで創部の血流を維持することができる
OP
(観察項目)
・創部の状態(皮膚の色、滲出液の有無・量など)
・感染兆候の有無
・処置内容(実施回数・方法、軟膏の種類など)
・ガーゼのずれや包帯のずれ、圧迫痛の有無
TP
(ケア項目)
・創部の摩擦を生じやすい部分を保護する
・創部の機械的刺激を避ける(血圧測定、衣服の摩擦など)
・滲出液が出現している場合は適切なドレッシング材を選択・使用する
・ガーゼや包帯のずれが生じないように固定方法を工夫する
EP
(教育項目)
・ガーゼや包帯のずれやきつさを感じたときはすぐに伝えるよう説明する
・疼痛、掻痒感などあるようであれば相談するように伝える
・痂皮(かさぶた)は無理にはがさないように説明する

#2体液漏出に伴う循環血液量の減少

看護目標・適切な輸液投与を行い、循環血液量を維持しショックを起こさない
OP
(観察項目)
・バイタルサイン
・創部の状態(滲出液の有無・量など)
・ショックの兆候の有無(血圧低下・脈圧狭小、頻脈、末梢冷感、顔面蒼白)
・排尿状況(時間尿量、性状、濃度、比重)
・inoutバランス
・体重
・感染兆候の有無
・浮腫の有無・程度
TP
(ケア項目)
・医師の指示のもと、適切な輸液を早期に投与していく
・状態の変化があった際はすみやかに医師に報告をする
EP
(教育項目)
・飲水可能であれば水分摂取をするよう説明する

#3呼吸障害

看護目標・気道の開通性を維持し、換気の改善により血液ガス分析値が正常範囲内に維持できる
・無気肺や肺炎、肺水腫などの合併症を起こさない
・呼吸困難や呼吸の違和感が軽減される
OP
(観察項目)
・呼吸状態
(呼吸音、エア入り、回数、血中酸素飽和度値)
・喀痰の量と性状
・チアノーゼの有無
・嗄声の有無
・口腔内や咽頭部の状態
(発赤、腫脹、疼痛など)
・検査データ
(胸部レントゲン、血液ガス)
・患者の訴え、行動、精神状態
TP
(ケア項目)
・呼吸困難や血中酸素飽和度低下、疼痛悪化時はすみやかに医師に報告する
・呼吸状態を観察しながら患側を上にした体位ドレナージを実施する
・酸素吸入の実施
・必要に応じて喀痰吸引を実施する
(気切部からの気管内吸引の場合は清潔操作に努める)
・医師の指示の元、薬剤の確実な投与を行う
(去痰剤、気管支拡張剤、抗生剤、ステロイドなど)
・安楽な体位を取る
(セミファーラー位)
EP
(教育項目)
・できるだけ自己排痰を流すよう指導する
・腹式呼吸など呼吸方法を指導する
・各処置実施については、必要性を説明する

#4疼痛

看護目標・疼痛の程度を患者自身伝えることができる
・疼痛を緩和することができる
・疼痛コントロールができる
OP
(観察項目)
・疼痛の状態
(部位、程度、性質、時間など)
・患者の表情や訴え
TP
(ケア項目)
・医師の指示のもと、適切な鎮痛剤の使用を行う
・疼痛が生じる治療の前に、あらかじめどのような種類の痛みが生じるか情報を取っておく
・温罨法や冷罨法、タッチングなど実施する
・疼痛時は患者のそばに寄り添う
・疼痛に対する患者の忍耐を褒め、励ます
EP
(教育項目)
・疼痛時は我慢しないように説明する
・どのような時に痛みが増強するのか患者自身で観察・理解し、伝えられるように指導する
・どのような方法で疼痛緩和できるのかについて患者自身で観察・理解し、伝えられるように指導する
・鎮痛剤の効果や効果時間などを説明し、患者自身でも観察・理解できるように指導する

#5ボディーイメージの変化による不安

看護目標・身体の変化を受け入れることができる
・傷の状態を理解し、肯定的な発言をすることができる
・将来に対する心構えができ、闘病意欲を持つことができる
OP
(観察項目)
・患者の表情、訴え、行動
・創部や瘢痕の理解の程度
・家族、周囲の理解度
TP
(ケア項目)
 ・肯定的な態度を持ち、患者に係わり続ける
・熱傷を負ったことへの気持ちに傾聴する
・創部や瘢痕に対する見方を提案する
・気分転換をはかる
・面会者の対応
・身なりを整えたり、環境整備を促す
EP
(教育項目)
・スキンケアの方法や、服装などの工夫、外出時の注意点について指導する
・必要に応じて患者の会や形成外科の紹介を行う
・患者と家族に今後の治癒の流れについて説明する

熱傷患者の看護の注意点について

重度熱傷患者については、受傷初期に起こるショックを予防するためにモニタリングの管理や輸液管理による循環管理が重要です。

医師の指示のもと、必要に応じた量の輸液の準備を行いますので、量によっては大量の輸液が必要になる場合もあり、時間との勝負になることもあります。

補足説明!

補足事項
広範囲の熱傷の場合、易感染状態であり、感染がおこることで敗血症になり重篤な状態になってしまいます。場合によっては生命を左右することにもなりますので、いかに感染予防に努められるかが重要になってきます。

滅菌操作はもちろんですが、面会者などを最小限にしたりするなど、家族の理解も必要になってきます。

まとめ

今回は熱傷患者の看護について説明しました。熱傷は広範囲になればなるほど重篤生命の危機に陥ります。

初期対応の重要性はもちろん、対応や治療がうまくいったとしても、外形容姿の変化に対する精神的苦痛や社会復帰への不安など、治療後の対応も必要です。

熱傷患者に寄り添う看護をしていけるよう係わっていきましょう。

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