看護協会が運営するナースセンターを看護師が転職で利用する場合、どのようなメリット・デメリットが存在するのでしょうか。
看護師の方が多く利用している、ハローワークや看護師転職サイト(転職エージェント)と比較しながら説明していきます。
ナースセンターについて

画像:shutterstock
ナースセンターとは、「公益財団法人 日本看護協会」が運営しているナースバンク事業の1つであり、1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づき設置されました。
そのため、厚生労働省から指定を受け、各都道府県の看護協会が運営している事業です。
主に、看護師の人材確保を目的に職業紹介をしているため、「看護師の転職支援」「ブランク明けの看護師の復職支援」「復職研修」などもナースセンターで行っています。
看護師転職などの相談も可能
ナースセンターでは、転職に伴う不安や疑問などを相談することも可能です。
また、看護師専門のハローワークと言われているぐらいで、とても信頼感があり規模が大きいため、転職したいと考えている看護師の利用者は多いと言えます。
これらのサービスは税金を利用しながら運営されており、看護師(または准看護師)資格を持っている方であれば全て無料で利用することができます。
ナースセンターは全国の都道府県にある

画像:shutterstock
ナースセンターは、全ての都道府県で看護協会が運営しています。
(「全国のナースセンター一覧はこちら」から。)
利用するためには、基本的には自分が働きたい都道府県で登録することになります。
その場合は、まずは新潟県のナースセンターへ連絡してみましょう。
看護師求人を検索できる「eナースセンター」もある

画像参照:eナースセンター公式サイトより
ナースセンターの場所が自宅から遠く、行くことができない場合でも、インターネットで求人情報の検索ができる「eナースセンター」というサービスを使って情報収集をすることができます。
看護師として転職をしたいという時にはこちらへ登録をすることで、求人情報を閲覧したり、気に入った職場が見つかれば応募したりすることができます。
登録の有効期限は半年となり、半年が経過して転職が決まっていない場合には、更新することで引き続きサービスを利用できます。
さらに、「eナースセンター」は今まで看護師求人検索機能は使い勝手が良くなかったのですが、2016年5月以降にリニューアルされ、利用しやすくなりました。
看護師が利用するメリット

画像:shutterstock
ハローワークや看護師転職サイトと比較して看護師がナースセンターを利用するメリットを挙げています。
看護師資格を持つ相談員が在籍している
ナースセンターで看護師から転職相談を受ける相談員は、看護師資格保有者も在籍しています。(すべてのナースセンター相談員が看護師資格を保有しているわけではありません。)
そのため、ハローワークや看護師転職サイトと比較し、働く看護師の気持ちが伝わりやすい、条件面なども理解してくれやすいというメリットがあります。
復職する場合の研修などが豊富

画像:shutterstock
各都道府県のナースセンターにより異なりますが、ナースセンターでは看護師の復職支援研修を行っています。(訪問看護・産科病棟・外来・その他一般看護で分けられているところが多いです。)
東京都を例に、復職支援研修内容のご紹介をいたします。また、参加費については無料の場合がほとんどです。(病院実習時に支払いが必要な場合もある。)
| 1日コース | 【対象】再就職を考えている看護師 【内容詳細】 ・講義のみ ・最新の医療 ・看護の動向 ・医療安全 ・感染管理等 |
| 5日間コース | 【対象】再就業に向けて少しずつ準備したい看護師 【内容詳細】 ・実技演習がメイン ・1日目コースの講義+演習+病棟実習+交流会・再就業相談会 <演習内容> ・採血、輸液・静脈注射、筋肉・皮下・皮内注射、体位変換と移乗 ・薬の知識の講義、看護観察についてのビデオ視聴 <病棟実習内容> ・病棟オリエンテーション ・援助の実践(環境整備、バイタルサイン測定、体位変換、移乗・移送、清潔・食事の援助、排泄介助) ・カンファレンスへの参加 |
| 7日間コース | 【対象】すぐにでも再就職を考えている看護師 【内容詳細】 ・病棟実習がメイン ・5日間コース 臨床実習の2日間延長 |
日本看護協会主催の復職支援研修を受講するメリットは、事業母体が都道府県であり、看護協会が実施しているため、研修内容はしっかりと練られているということです。
- 無料(交通費は実費)で受けることができる
- 研修中の傷害・賠償責任保険加入無料などのサポート
- 知識・技術ともに、看護協会で示すものがベースとなっているため安心
- 研修を受けた病院に就職する必要がないため、行ってみたい病院を選ぶことができる
以上のことも、日本看護協会主催の復職支援研修の魅力です。
利用する看護師は安心して利用できる
厚生労働省から指定を受けているナースセンターにおいては、個人情報の点での心配はなく、看護師として安心して利用することができると言えるでしょう。
また、看護協会が運営しているから利用する看護師も多いと言えます。
地方の看護師求人が比較的豊富

画像:shutterstock
主要都市部を除く、一部地方の看護師求人はハローワークや看護師転職サイトよりも豊富である場合があります。
そのため、看護師転職サイトなどに依頼しても、求人の提案数が少なかったという方には、大きなメリットと言えます。
看護師転職サイトやハローワークにない求人もある
例えば、ナースセンターでは厚生労働省管轄の検疫所での検疫官(看護師)などの求人募集を行っているケースなどがあります。
このように、看護師転職サイトやハローワークに出回らない求人情報も手に入れることができることがメリットでもあります。
雇用側に求人掲載費用がかからない
ナースセンターに掲載される病院・施設はハローワーク同様、雇用者側(病院・施等)は掲載に費用(広告料)がかかりません。
そのため、利用する看護師は「内定(合格)しやすい可能性が高い」というメリットが考えられます。
看護師が利用するデメリット

画像:shutterstock
ハローワークや看護師転職サイトと比較した場合、ナースセンターを利用することでどのようなデメリットがあるのでしょうか。
詳しく説明していきます。
転職支援の内容が少ない
まず一番にデメリットに挙げられることが、転職に際して条件交渉や自身の長所のアピール等を代行してくれることが少ないということです。
看護師転職サイトの場合には、面接日の設定はもちろん、面接の同行、給与や休日などの条件交渉や現在の職場の円満退職までを代行あるいはサポートしている会社もあります。
しかし、ナースセンターの場合、面接日の設定以外は全て自力で行う必要がありデメリットに感じる方も多いです。
ナースセンターの転職支援の流れ
以下は、eナースセンターを利用した転職活動の流れになります。

(画像参照元:eナースセンター初めて利用される方へ)
履歴書や職務経歴書、面接のサポートが無いことが分かります。
院内情報を確認できない

画像:shutterstock
看護師転職サイトは、病院の見学や院内情報は担当コンサルタントが設定・把握をおこなっています。
しかし、ナースセンターのデメリットですが、雇用条件などの条件面の把握は可能ですが、リアルな院内情報を教えてくれることはありません。
例えば、働く看護師の年代、離職率、職場の雰囲気、病院・施設見学などです。
転職する職場を吟味したい看護師にとっては大きなデメリットとなりえます。
看護師求人数が少ない
メリットで説明した一部の地域に看護師求人は多いですが、全体的に見て看護師求人は看護師転職サイトやハローワークと比較すると少ないと言えるでしょう。
看護師求人が少ない場合、看護師として選択肢が狭くなるため、デメリットになりえます。
最後に

画像:shutterstock
看護師としてナースセンターを利用することはメリットが多い反面、デメリットも解消しておきたいポイントです。
そのため、可能であればハローワークや看護師転職サイトなどを併用しながら転職活動することをお勧めします。
- ハローワークについて
「ハローワークを看護師が利用する4つのメリット・デメリット」でナースセンターと同じように解説しています。こちらも確認してください。
- 看護師転職サイトについて
「看護師転職サイトランキング」で、利用した看護師のリアルな口コミを掲載しています。看護師転職サイトは、良い担当者、良い会社を選ぶことが転職成功のポイントになるため、看護師に評判が良い転職会社を2~3社を登録し利用しましょう。
看護師求人を探す方法は様々な方法があります。沢山の求人や働く条件を確認し情報収集することで、ベストな看護師転職を行ってください。


コメント