ギラン・バレー症候群とは、多数の細菌やウィルスが原因となって起こる自己免疫性疾患で、神経内科でなければあまり見ることのない疾患です。
主に、カンピロバクタージェジュニが原因とされていますが、サイトメガロウィルスやEBウィルス、マイコプラズマやワクチン接種なども発症の原因とされています。
ヒト末梢神経のガングリオシドと病原体が似たような抗原構造をしているため、抗体が無関係な高原に反応してしまうことで発症するとされています。この作用駆除はギラン・バレー症候群の60%で認められています。
ここでは、ギラン・バレー症候群についてどのような看護をしていけば良いのか、詳しく解説していきます。
ギラン・バレー症候群患者の症状
ギラン・バレー症候群の患者の症状には、以下の4つが挙げられます。
- 感冒様症状、下痢
- 歩行障害
- 手袋・靴下型感覚障害
- 自立神経障害
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
感冒様症状、下痢
前駆症状として約70%が、上気道感染による感冒様症状、下痢などの感染症状を発症します。
歩行障害
前駆症状から、数日~数週間後に両下肢の筋力低下におる歩行障害が見られます。
これは左右対称に、下肢から上肢へ向かって進行します。
また、両上肢に初発する例や顔面麻痺、複視、嚥下障害で発症する例もあります。
補足説明!
筋力低下は徐々に進行していくため、歩行不能や嚥下障害、喀痰核出障害、呼吸筋麻痺による呼吸困難が出現します。
手袋・靴下型感覚障害
ギラン・バレー症候群の患者の症状の1つとして、感覚障害も出現します。その症状の主体は手袋・靴下型感覚障害と言います。
手袋・靴下型感覚障害は、手や足の末梢に特に強い感覚障害をきたすようになり、深部反射も全般性に消失・減弱していきます。
自立神経障害
ギラン・バレー症候群の患者の症状として、起立性低血圧、血圧の変動、頻脈、不整脈などの自立神経障害も挙げられます。
また、自律神経障害を発症し、まれに膀胱直腸障害や乳頭浮腫を認めることもあります。
ギラン・バレー症候群患者に対し看護師が注意すべき症状
ギラン・バレー症候群の患者に対して、看護師が注意すべき症状は、感冒症状や四肢麻痺などがあります。
その中でも、筋力低下によって嚥下障害による誤嚥性肺炎や転倒転落を起こすことがあるなどの、2次的な症状に注意しなければなりません。
それぞれの症状について詳しく見てみましょう。
感冒症状
感冒症状は、ギラン・バレー症候群の初発症状となります。発症は、ウィルス感染によるものであるため罹患する年齢も様々です。
そのため、若い人では風邪であろうと自己判断したことによって症状が悪化してから来院する人が多くいます。
感冒症状や筋力低下がみられる患者に対しては、ギラン・バレー症候群を疑って問診を勧めましょう。
四肢麻痺や筋力低下
四肢麻痺や筋力低下は、上行性と言い下肢から上肢にかけて発症していきます。そのため、患者が今どの状態にあるかを判断して看護をしていくことが必要です。
筋力低下が進むと、嚥下障害による誤嚥性肺炎や転倒転落を起こすこともあります。
特に転倒転落は、起立性低血圧の症状が発症した場合にも起こりやすく、起立性低血圧や血圧の変動は生命にも影響を及ぼす可能性が十分にあります。
補足説明!
筋力低下が進めば寝たきりとなってしまい、廃用症候群となる可能性もあります。
ギラン・バレー症候群の治療方法
ギラン・バレー症候群の治療は、薬物療法が主流です。薬物療法と並行してリハビリテーションを行い、関節拘縮等を予防します。
以下に、ギラン・バレー症候群の治療としての薬物療法の詳しい説明をしていきます。
薬物療法
薬物療法では、免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法、副腎ステロイドを使用します。ギラン・バレー症候群は、その発症分類によって回復速度が大きく異なります。
呼吸筋麻痺や不整脈、血圧の変動などは直接死因に結びつくことがあるため、臨床分類を行ったうえで治療法を決めていきます。
そのため、モニタリングを行って全身管理をし、呼吸障害に関しては人工呼吸器を装着して管理をしていきます。
ポイント!
一般的に予後は良好であるため、6か月ほどで完全に回復することが多いですが歩行障害が残る例もあります。呼吸筋が障害されていた場合では死亡することもあります。
ギラン・バレー症候群患者の看護計画
ギラン・バレー症候群が生命に及ぼす影響が最も高くなるのが、呼吸筋麻痺です。
- 呼吸筋麻痺が生じることで生命へのリスクがある
- 嚥下筋の麻痺により誤嚥性肺炎の可能性がある
- 全身の筋力低下や関節拘縮によりセルフケア障害が生じる可能性がある
- 筋力低下、歩行障害による転倒転落の可能性がある
- 思い通りに動けないことによる精神的苦痛がある
上記の問題から、ギラン・バレーの患者の看護計画についてご紹介します。
#1 呼吸筋麻痺が生じることで生命へのリスクがある
短期目標 | 異常の早期発見、呼吸筋麻痺による生命へのリスクを最小限にできる |
OP(観察項目) | ・VS(血圧、体温、脈、SPO2、呼吸回数、呼吸リズム) ・呼吸困難感の有無 ・無呼吸の有無と程度 ・胸郭の動き ・検査データ |
TP(ケア項目) | ・心電図モニターを装着し、医師の指示が出るまでモニタリングを行う ・緊急時に備えて人工呼吸器やエアウェイ、気管挿管グッズ等を準備する ・モニタリング中異常アラームが鳴ればすぐに訪室をする |
EP(教育・指導項目) | ・呼吸困難感が生じたらすぐに看護師を呼ぶよう説明する ・モニターは自己にて外さないように説明する |
#2 嚥下筋の麻痺により誤嚥性肺炎の可能性がある
短期目標 | 誤嚥性肺炎を起こさずに経過できる |
OP (観察項目) | ・VS(体温、血圧、SPO2、呼吸音、エア入り、左右差がないか) ・食形態、とろみの使用の有無 ・過去の誤嚥の有無と程度 ・咳嗽、喀痰の有無 ・自己喀痰の可否 ・VF(嚥下造影検査)施行の有無と結果 ・舌の動き ・発声、発語が明瞭か |
TP (ケア項目) | ・患者の食事状況に合わせて食形態を変更する。 (必要時は水分にとろみをつける) ・一口量を調整してもらう。 (ペースが速い、詰め込みすぎるという場合は介助をする) ・自己喀痰が不可である場合は適宜吸引を行う ・VF(嚥下造影検査)の結果に合わせて食形態を変更する ・STと連携し、病棟でもリハビリを行う |
EP (教育・指導項目) | ・自己でもリハビリを行うように説明する ・食事はゆっくりとよく噛んで摂取するよう説明する |
#3 全身の筋力低下や関節拘縮によりセルフケア障害が生じる可能性がある
短期目標 | 自分の身体の状況に合わせて無理なくセルフケアを行うことができる |
OP (観察項目) | ・筋力低下の有無と程度、範囲 ・知覚障害の有無と程度、範囲 ・麻痺の有無と程度、部位 ・関節拘縮の有無と部位 ・トイレ動作の可否 ・食事摂取動作の可否 ・歩行の可否と程度 ・リハビリ状況 ・治療内容(点滴の使用の有無、人工呼吸器使用の有無) |
TP (ケア項目) | ・排せつはトイレ動作が可能である限り介助をしてトイレへ誘導する。 (トイレ動作が不可能である場合はおむつを使用する。 排尿に必要な神経や筋肉が障害されている場合は 膀胱留置カテーテルの使用や導尿を行う) ・清潔動作はできない所の介助を行う。 (シャワーや入浴の場合には症状の程度に合わせ介助・見守りを行う) ・食事摂取は筋力や麻痺の有無に合わせて食器類を検討する ・移動時はリハビリの状況に合わせて歩行、車いす等の方法で行う ・リハビリスタッフと連携して病棟内でもリハビリを行う ・人工呼吸器を使用している、点滴を使用している場合は適宜介助を行う |
EP (教育・指導項目) | ・自己にて無理して行わずに看護師に介助を求めるよう説明する |
#4 筋力低下、歩行障害による転倒転落の可能性がある
短期目標 | 転倒転落をせずに入院生活を送ることができる |
OP (観察項目) | ・筋力低下の有無と程度、範囲 ・知覚障害の有無と程度、範囲 ・麻痺の有無と程度、範囲 ・過去の転倒歴 ・患者の性格(自己にて何でもやりたがる性格かどうか) ・点滴使用の有無 ・睡眠薬の使用状況 |
TP (ケア項目) | ・歩行ができる場合は介助歩行をする。 (歩行が不可の場合は車いすを使用する等状況に合わせた移動手段を行う) ・夜間は歩行ができる患者でも転倒リスクが高い場合は車いすを使用する ・ベッドストッパーや患者のパジャマのズボンの裾など環境を整える ・リハビリスタッフと連携してリハビリを病室でも実施する |
EP (教育・指導項目) | ・無理して自己にてやろうとせず適宜看護師を呼ぶよう説明する ・日中歩行良好であっても夜間は車いすを使用する可能性があると説明する |
#5 思い通りに動けないことによる精神的苦痛がある
短期目標 | 精神的苦痛を表出することができる |
OP (観察項目) | ・自身の病状の理解の有無 ・患者の表情 ・患者の言動 ・夜間睡眠状況 ・家族、友人関係 ・患者の性格 ・入院前後での患者の変化 |
TP (ケア項目) | ・適宜訪室し、患者の思いや訴えを聴取する ・患者から相談があれば適宜対応する その際には個室を用意するなどして話しやすい環境を作る ・話の内容から他職種の連携が必要な場合には適宜連携をする (心理カウンセラーやメディカルソーシャルワーカーなど) ・必要時には精神安定薬などの処方を医師に相談する ・患者から受けた相談内容は記録に残しスタッフ間で共有する (プライバシーや患者から秘密保持の扱いに注意する) |
EP (教育・指導項目) | ・悩んでいることがあれば看護師がいつでも相談になることを説明する (金銭的な相談など医療的な相談以外の相談もできることを説明する) |
ギラン・バレー症候群患者の看護の注意点
ギラン・バレー症候群の患者を看護する上での注意点として、以下の3点が挙げられます。
- リハビリや治療への意欲を持ってもらうこと
- 重症例では突然死に至る場合があること
- 原疾患以外の疾患に罹患しないようにすること
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
リハビリや治療への意欲を持ってもらうこと
患者は、自身の現状が一生続くのかと悲観的になる可能性があります。
ギラン・バレー症候群が、一生続くわけではないことを説明しリハビリや治療への意欲を出してもらうということが看護をしていくうえでの注意点です。
ポイント!
重症の場合や、リハビリをしていても10~20%の確率で後遺症を残す可能性があるものの、多くの場合完治する可能性があります。
重症例では突然死に至る場合があること
重症の場合では、生命へのリスクが非常に高い疾患となり、呼吸筋が麻痺した場合は突然死に至る場合もあります。
そのため、看護師も症状に合わせて適宜食形態や移動の方法を検討したり、症状の観察は適宜行ったりすることが必要です。
原疾患以外の疾患に罹患しないようにすること
呼吸筋麻痺以外にも、転倒や誤嚥性肺炎といった二次的な症状が起こりやすい疾患となるため、原疾患以外の疾患に罹患しないといった注意が必要です。
まとめ
神経系の疾患は、難治である・完治が望めないと考える人が多いですが、このギラン・バレー症候群は完治が望める疾患です。
そのため、患者の状況に合わせた看護を適宜行い、後遺症を残さないようにしていくことで病気になる前と同じ生活を送ることができます。
異常の早期発見をすること、その状態に合わせて看護を展開することが患者の早期完治に繋がるきっかけとなります。
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