慢性硬膜下血腫の看護(症状・原因・看護計画・注意点)について

慢性硬膜下血腫は脳神経外科においてはメジャーな疾患です。特に、壮年期から老年期の男性に多くみられる疾患です。

また慢性硬膜下血腫は正しく診断され、適切な治療が行われることによって完治する予後の良い疾患でもあります。

当ページでは慢性硬膜下血腫の患者の看護について詳しく説明します。

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慢性硬膜下血腫の患者の症状について

慢性硬膜下血腫の患者の症状について

慢性硬膜下血腫とは、その名の通り、硬膜の下に血腫ができる疾患です。頭部外傷後の発症が最も多くなります。慢性硬膜下血腫の症状は患者のタイプにより異なります。

まずは、代表的な例で確認していきます。

患者のタイプ症状
若年の患者・頭痛、嘔吐などの頭蓋内圧更新症状
・片麻痺
・失語症などの局所症状
 高齢の患者・意欲低下や記銘力低下
・見当識障害などの認知症症状
・失禁
・片麻痺
 血腫が一側性の患者・頭痛
・片麻痺
・言語障害
・認知症症状
 血腫が両側性の患者・頭痛
・嘔吐
・意識レベル低下などの頭蓋内圧亢進症状

慢性硬膜下血腫の患者のタイプにより、このように症状は異なります。

慢性硬膜下血腫はCTやMRIで判別できる疾患

慢性硬膜下血腫の検査を行わないと脳梗塞や認知症との診断を受けることもあります。慢性硬膜下血腫はCTやMRIなどで判別できる疾患なので、心配があれば慢性硬膜下血腫の検査を行うようにしましょう。

高齢者の認知症が急に出現した場合は注意

高齢者が、急に認知症症状が出現して検査を行ったら実は慢性硬膜下血腫であったということもあります。高齢者などに脳の萎縮が認められる場合には、急激な頭蓋内圧亢進症状が出現することは稀です。

慢性硬膜下血腫の原因について

慢性硬膜下血腫の原因について

慢性硬膜下血腫は、明らかな原因が定かではないケースも見られます。理由は、血腫が貯留し症状が現れるまでに3週間から3か月という期間を要するためです。

慢性硬膜下血腫の主な原因

慢性硬膜下血腫の主な原因は3つに分類できます。

主な原因原因となる要因
頭部外傷事故や転倒、打撲などで頭を強く打った場合にじわじわと出血し、ゆっくりと時間をかけて血腫となる
 脳の萎縮脳が委縮していると頭蓋骨と脳の間に空間ができてしまうため血腫ができやすくなる
 抗凝固剤の内服既往に脳梗塞や心疾患などがあり抗凝固剤を内服している場合、易出血傾向となり血腫ができやすくなる

その他に以下のようなことも、慢性硬膜下血腫の原因といわれています。

  • 水頭症による短絡手術の術後
  • アルコールの多飲
  • 透析
  • 癌の硬膜転移

慢性硬膜下血腫患者で看護師が注意する症状

慢性硬膜下血腫患者で看護師が注意する症状

慢性硬膜下血腫は外科的な処置が必要になることが多いのですが、通常であれば血腫が除去されれば症状も消失します。

ただし手術後に手術前と同じような身体症状が出現した場合には再発の可能性があります。注意しましょう。

医師への報告が必要な症状について

慢性硬膜下血腫は手術後の再発率が10%前後と高いです。再手術が必要なケースもあります。そのため、下記のような症状がみられた場合は、すぐに医師への報告が必要です。

  • 急激な意識状態の悪化
  • 頭蓋内圧亢進症状の出現
  • 片麻痺の出現

これらの症状は、脳内での異常を示すものです。

慢性硬膜下血腫の看護計画とポイント

慢性硬膜下血腫の看護計画とポイント

慢性硬膜下血腫の患者に血腫の貯留が認められ、身体症状が出現している場合には外科的処置が必要です。局所麻酔化にて穿頭血腫洗浄ドレナージ術を行います。

ここでは、慢性硬膜下血腫患者の「入院~手術前」「手術後」「ドレーン抜去後~退院」の看護計画を説明します。

慢性硬膜下血腫患者の入院~手術前の看護計画

最初に慢性硬膜下血腫患者の入院~手術前までの看護計画です。ポイントとしては、慢性硬膜下血腫の片麻痺などが出現している患者の場合はADL介助も必要という点です。

看護目標・頭蓋内圧亢進、脳ヘルニアの症状、異常の早期発見、対処ができる
・状態が悪化することなく手術に臨める
OP
(観察項目)
・頭蓋内圧亢進症状の有無
(意識状態、アイサイン、頭痛の有無、吐気・嘔吐の有無、クッシング現象)
・けいれん発作の有無
・麻痺の有無・程度、言語障害の有無や程度
・バイタルサイン
・検査結果(CTもしくはMRI、血液)
・往歴、内服薬
・理解力の程度(精神症状、認知障害)
・病識の有無
TP
(ケア項目)
・セルフケア援助
・安静の保持
・術前説明の実施
・ベッド周囲の環境整備
EP
(教育・指導項目)
・ 患者、家族へ病状説明
・不安や疑問などがある場合には看護師に話すよう説明する
・処置の前には声掛けを行う

血腫貯留による認知症症状がある高齢患者への看護ポイント

患者が高齢者の場合、血腫貯留による認知症症状が出現していることが多く、入院や検査も必要性を理解できないこともあります。

看護師は患者が画像検査や血液検査などを受けられ、安全に手術を迎えられるような介入を行います。

慢性硬膜下血腫の手術後の看護計画

慢性硬膜下血腫の手術後の看護計画です。看護ポイントとしては、ドレーントラブルが発生しないようドレーン管理を徹底することです。

看護目標・術後出血を起こすことなく経過できる
・ドレーントラブルなく経過できる
・感染徴候がない
OP
(観察項目)
・意識レベル
・バイタルサイン
・アイサイン
・頭痛・吐気・嘔吐の有無
・けいれん発作の有無
・頚部硬直の有無
・麻痺の有無
・創部の状態(ガーゼ汚染の有無)
・ドレーン排液の量・性状
・髄液の漏れの有無
TP
(ケア項目)
・ドレーンの正しい扱い(ギャッジアップ、移送時は必ずクランプを行う)
・創部の清潔保持
・環境整備
・ADL介助
・安静保持困難時、医師の指示のもと薬剤使用
EP
(教育・指導項目)
・安静の必要性について説明を行う
・創部に触れないよう指導する

ドレーンから流出する血液の量や性状の観察が必要

ドレナージ中は頭部挙上ができないので、食事などでベッドアップをする際にはドレーンのクランプが必要です。看護師はドレーンから流出する血液の量や性状を観察します。

手術後は通常1日~2日、硬膜下ドレーンが挿入されます。

慢性硬膜下血腫のドレーン抜去後~退院患者の看護計画

慢性硬膜下血腫患者のドレーン抜去後~退院までの看護計画です。看護のポイントはドレーン抜去です。

看護目標再出血を起こさず退院できる
OP
(観察項目)
・意識状態
・バイタルサイン
・麻痺の有無
・精神障害・認知障害の有無
・検査結果
TP
(ケア項目)
・必要時はADL介助を行う
・転倒・転落などの危険防止
EP
(教育・指導項目)
・抜糸が終了するまでは創部に触れないよう指導する
・家族を含め、退院指導を行う

ドレーンの抜去は、手術後のCTなどで血腫が除去されているか確認してから行います。ドレーン抜去後は少しずつベッドアップを行い患者の状態を確認しながら離床を進めていきます。

ポイント!

ポイント

創部の抜糸は術後7日前後となります。手術後の経過が良好な場合には1週間程度で退院可能となります。

慢性硬膜下血腫の看護の注意点

慢性硬膜下血腫の看護の注意点

慢性硬膜下血腫の看護の注意点は、手術後の創感染や後出血の観察にあります。具体的にどのような観察項目に注意が必要か説明します。

観察項目観察理由
術後感染術後の感染として硬膜下膿瘍や髄膜炎などを合併する恐れがあるため
【対応策】
・看護師は患者が頭部を触らないような工夫、注意をする
後出血手術後は後出血の恐れがあるため
【対応策】
・バイタルサイン、アイサインの観察、意識レベルの低下の有無を確認する
・頭蓋内圧亢進症状の有無の確認をする
・麻痺の程度などの観察を行う

血腫が除去されれば身体症状は改善されますが、まれに起こる緊急性気脳症などにも注意が必要なので、しっかりと観察を続けましょう。

患者の安静保持と転倒・転落予防に注意する

ドレナージ中は臥床安静が必要です。特に患者は手術直後(血腫除去後)から身体症状が改善するため、麻痺などが軽減し動きだす傾向にあります。

ドレーントラブル防止や転倒・転落予防のためにもドレーンが抜去されるまではICUなどで管理されることが多くなります。

患者家族への指導の注意点

慢性硬膜下血腫は手術後の再発率もやが高めな疾患であるため、家族への指導も重要です。

  • 退院後にも定期的に通院する必要があること
  • 術前と同じような身体症状が出現したら早めに受診する必要があること

上記のような項目を、必要性を理解してもらうように心がけながら、わかりやすく説明をする必要があります。

まとめ

慢性硬膜下血腫はけっして珍しい疾患ではありません。ただし発症までに時間がかかるため、転倒したことや頭部打撲などの受傷時のことを忘れてしまっていたりします。

高齢者の場合は認知症や脳梗塞などとの診断がなされる場合があるため、適切な医療機関での検査が大切です。

脳外科ではなくても、入院している患者が夜間転倒して頭部打撲をしたという経緯がある場合、数週間後に片麻痺の出現や認知症症状が進行したときは慢性硬膜下血腫を疑うことも必要です。

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