2020年に開催される東京オリンピックには、たくさんの看護スタッフが必要とされることが予想されます。
看護師の方の中には、2020年東京オリンピックで仕事を行うことを希望している人もいるのではないでしょうか。世界でも注目度の高い国際大会で看護師としては働くためには、結論からお伝えすると大きく3つの方法があります。
| 難易度3 | ●医療スタッフ募集に応募する方法 |
| 難易度2 | ●指定されたオリンピック病院(または協力病院)に勤務(転職)する方法 |
| 難易度1 | ●一般のボランティアとして参加する方法 |
(難易度1と2の間には大きな開きがあります。)
以上、難易度別に分けましたが、どの方法も2020年に開催される東京オリンピックに看護師として参加することができます。
以下で詳しく説明してきます。
難易度1.一般のボランティアとして参加する方法

ボランティアで東京オリンピック参加する方法は、一般公募から募集し、募集人数は8万人になります。
応募締め切りは、2018年12月21日となります。
(申し込み公式サイトはこちらです。)
しかし、看護師資格を活かしてのボランティアではなく、一般のボランティアになります。
現時点で「東京2020大会に向けたボランティア戦略」が告知され、看護師もボランティアの内容に入っていますが、東京2020オリンピック公式サイトでは募集は行われていません。

分かっていることとしては、看護師の2020年オリンピックのボランティアは、
- 有給スタッフ:短期の募集
- 大会ボランティア:医療サポート(大会中)
などになることが予想されますが、一般のボランティアでは看護師として参加することは難しいといえます。
一般のボランティアだと活動分野が限られる
一般のボランティアの場合、活動分野は10つ(「指定なし」も1つの分野に入れた場合)あり、
- 指定なし
- 案内
- 競技
- 移動サポート
- アテンド
- 運営サポート
- ヘルスケア
- テクノロジー
- メディア
- 式典
となります。
一番、看護師資格が活かせそうなヘルスケアですが、以下のような記載があります。

ヘルスケア
選手にけが人が出た場合、医務室への搬送サポートを行います。「ファーストレスポンダー」は応急手当セットを所持して2人1組で会場内を巡回します。また、ドーピング検査のサポートは、対象選手への告知、検査室への誘導や受付を行います。(検体採取は有資格者が行います)【人数の目安:4,000~6,000人】
重宝される一般のボランティアで良い方はお勧め
看護師として東京オリンピックに携わることとは、少し違いますが、看護師資格を保有している場合、重宝されるボランティアであることは間違いありません。
ファーストレスポンダー(最初の対応者)になった場合は、看護師として力を発揮できるはずです。
どうしても参加したい方や、重宝されるボランティアを目指す方は是非参加してみてください。
難易度2:指定されたオリンピック病院に勤務し参加する方法

現在、(選手、IF、NOC及びIOC関係者のための)オリンピック病院として指定されているのは10施設です。その他の協力病院(4施設)も合わせると、14の病院施設が東京オリンピックに協力することを決めています。
オリンピック病院とは、外科、救急医療をはじめ、あらゆる分野の診療科を備え、最新の医療設備と優秀な人材スタッフを擁し、いかなる傷病に対しても適切な治療を行うことができる。指定病院のほか、その他の大学病院や都立病院等、高度な医療水準を誇る医療機関においてもオリンピックファミリーその他の受け入れ態勢を整えている病院。
協力病院とは、東京会場以外の競技会場についても、選手及びオリンピックファミリーの受け入れ態勢を整えている協力病院を選定している病院。
これは、選手村からの距離、病院の機能を考えた上で、協力できる病院を選定しているものです。
もちろん、オリンピック病院に勤務している看護師だからと言って、参加できる可能性があるというだけで確実ではありません。
医師が看護師を選定する場合や、看護部長や看護師長から選定される場合が多いといえるでしょう。以下、オリンピック病院(または協力病院)に勤務する看護師は東京オリンピックに参加したいのであれば、ある程度のアピールは必要になると思われます。
また、現時点でオリンピック病院、協力病院に転職をする場合、参加できる保証はないですが、一般のボランティアでの参加を行わない場合は、東京2020オリンピックに参加できる可能性が一番高いと言えるでしょう。
オリンピック病院(10施設)
| 聖路加国際病院 | 病床数:471床/選手村からの距離2.2km/車で選手村へ4分 |
| 虎の門病院 | 病床数:882床/選手村からの距離3.6km/車で選手村へ5分 |
| 東京医科歯科大学医学部附属病院 | 病床数:730床/選手村からの距離6.6km/車で選手村へ8分 |
| 東京都立墨東病院 | 病床数:669床/選手村からの距離7.4km/車で選手村へ10分 |
| 日本医科大学付属病院 | 病床数:419床/選手村からの距離7.6km/車で選手村へ9分 |
| 東京都立広尾病院 | 病床数:826床/選手村からの距離8.9km/車で選手村へ11分 |
| 国立国際医療研究センター病院 | 病床数:678床/選手村からの距離9.9km/車で選手村へ12分 |
| 東京都立多摩総合医療センター | 病床数:721床/選手村からの距離8.2km/車で選手村へ11分 |
| 独立行政法人国立病院機構 埼玉病院 | 病床数:350床/選手村からの距離3.5km/車で選手村へ5分 |
| 埼玉医科大学国際医療センター | 病床数:656床/選手村からの距離9.8km/車で選手村へ16分 |
可能性として、現在勤務している病院が、東京オリンピック・パラリンピックの競技場から近ければ、急な要請などが入る可能性があるかもしれません。
協力病院(4施設)
| 札幌医科大学附属病院 | 病床数:855床/札幌ドーム |
| 独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター | 病床数:609床/宮城スタジアム |
| さいたま市立病院 | 病床数:516床/埼玉スタジアム2002 |
| 独立行政法人労働者健康福祉機構 横浜労災病院 | 病床数:595床/横浜国際競技場 |
協力病院は、東京以外の会場、サッカー会場のサポートを行う予定となっています。(サッカー好きの看護師にはお勧めですね。)
難易度3:医療スタッフ募集に応募する方法

(2018年12月時点で、医療スタッフの募集は出ておりません。募集が出た場合には、ページを更新しお知らせいたします。)
オリンピック競技大会に向けて、医療サービス提供に必要な人員の募集、選定、訓練が行われます。
おそらく一番難易度が高くなる参加方法は、この「2020年東京オリンピックの医療スタッフ募集に応募する方法」となります。
以下で詳しく説明していきます。
医療サービスに必要な人材を選定する機関
医療サービスに必要な人材(看護師を含む)を選定は、大会組織委員会の医事本部が行い、協力する医療機関としては、
- 東京都医師会
- 東京都歯科医師会
- 東京都薬剤師会
- 東京都看護協会
- 日本赤十字社東京都支部
などの医療関係団体や都立病院、大学病院が挙げられており、看護師としては「東京都看護協会」「日本赤十字社東京都支部」が大きく関係すると考えられます。
求められる人材
求められる人材や人員の選定に関しても、大会組織委員会の医事本部が定めており、「国際的な医療現場経験や、言語能力が考慮される」と記されています。
「必ず英語が話せなければならない」とは記載されておらず、
大会組織委員会の医事本部では、医療従事者を対象に、外国語などの講習会のほか、避難誘導や救助などの非常事態をシミュレーションした訓練を実施するとともに、各競技会場等における応急サービス、輸送サービス、救急サービスに関するマニュアルを整備する。
外国語などの講習会やシミュレーションした訓練の実施を検討しているようです。人員募集数も決まっていないですが、かなり多くの人員が募集されることが予想されます。
しかし、看護師の応募が殺到することも予想されるため、狭き門の可能性が高く参加する難易度は高いといえます。
最後に
東京オリンピックでは、当然海外からの選手がたくさん来日します。すべての国の選手に英語が通じるわけではありませんし、基本的には通訳がいるため看護師が英語を話す必要はないかもしれません。
しかし、英語が話せればきっと役に立つことはあるでしょうし、募集選定の際にも有利に働くでしょう。
看護師としての仕事も大変な中で、語学勉強をするのはとても大変なことですが、最近では在日・訪日外国人もたくさんいます。そのため、今後看護師として活躍したい人にとっては、とてもいい機会になるでしょう。
すでにオリンピック病院で働いている人も、すべての人が東京オリンピックで働けるわけではありません。募集に応募できるよう、選定に漏れないようにするには、さまざまな経験を積むことも役に立つはずです。
日本での五輪夏季大会開催は、56年ぶりのことです。一生でこんなチャンスは何度も巡ってくることはないでしょう。ぜひこの機会にさまざまなスキルを磨き、東京オリンピック・パラリンピックで働くチャンスを目標にしてみてはいかがでしょうか。
五輪大会で働けても、働けなくても、きっと多くのことを得られるはずです。


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