がん性疼痛の評価方法と治療や看護のポイント

がん性疼痛は、がん患者に生じる痛みのすべてを含み、がんと診断された段階から終末期に至るまでの患者の痛み全てが対象です。

主に以下の4つに分類されます。

  1. がん細胞が直接の原因となる痛み
  2. がんに対する治療に伴って生じる痛み
  3. がんの随伴症状による痛み
  4. 既往やがんに関連しない疾患による痛み

がん患者を看護する時、いかにこの「がん性疼痛」を和らげてあげられるかが重要になってきます。

なぜなら、がん性疼痛は、患者を肉体的にも精神的にも追い詰め、著しくQOLを低下させてしまう可能性があるからです。

そんな患者の様子を目の当たりにして、「一体、私には何ができるんだろう?」と途方に暮れた経験のある看護師も多いでしょう。そんな時こそ、基本に立ち返ってみることが大切です。

このページでは、「がん性疼痛」について看護師がおさえておくべき基礎的なポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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がん性疼痛の評価方法について

ペインスケール

がん患者が痛みを訴えてくる時、まずは「どこが痛みますか?」などと開かれた質問をして、痛みの部位を確認する必要があります。

そして、痛みの強さを継続的にまた客観的に観察していく必要があり、そこでよく用いられるのが以下に説明する「ペインスケール」です。

ペインスケールを利用して痛みを評価する

ペインスケールはには、NRS(numeric rating scale)・VAS(visual analog scale)・VRS(verbal rating scale)・フェイススケールの4種類あります。

ペインスケール 4種類
日本緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインより引用
この中でも主に用いられるペインスケールは、NRS(numeric rating scale)でしょう。

それぞれ詳しく説明していきます。

NRSについて

NRSは症状が全くないときを0、 痛みが一番痛い時を10とすると、今の痛みの強さはどれくらいなのかを表してもらう方法です。

痛みの程度を患者が自分で数値化してもらうことで、痛みという主観的な症状を、数値という客観的に評価できます。また、高齢者だけでなく小児にも活用できます。

VASについて

VASとは、横線の左端を「痛みなし」、右端を「一番の痛み」とした場合、患者に今の痛みの程度を線上のどの部分にあてはまるかを印付けてもらう方法です。

より客観的に評価できるように、3段階から5段階の痛みの強さを表す言葉を数字の順に並べるようにするといいでしょう。線の長さは100mmで、段階に合わせて10mmや20mmごとに区切るとわかりやすいです。

ポイント!

ポイント

こちらも、NRSと同様に痛みという主観的な症状を、数値という客観的に評価できますし、数字を活用できれば高齢者だけでなく小児にも活用できます。

フェイススケールについて

フェイススケールは今の痛みに適しているものを、6つの表情の中から選んでもらうことで、痛みを客観的に評価する方法です。

一番の特徴は、言語や数字を介さないので、小児の痛みを評価する際に他のペインスケールよりもわかりやすいということです。高齢者にも活用することができますが、6つの痛み以外を表すことが難しいかもしれません。

VRSについて

VRSとは、「痛みなし」から「耐えられないほどの痛み」の4段階の痛みの強さを表す言葉を直線上に並べて、患者に選択してもらう方法です。言葉を理解する必要があるので、あまり小児では活用されないかもしれません。

がん性疼痛への治療は薬物療法が基本

がん性疼痛への治療は薬物療法が基本

がん性疼痛に対する治療は、鎮痛薬を中心とした薬物治療が基本となります。

なお、その薬物治療は、WHOが提唱する鎮痛薬使用の5原則と3段階除痛ラダーに沿って行われます。

鎮痛薬使用の5原則について

鎮痛薬使用の5原則とは以下の通りです。

  1. 出来る限り経口から投与する
  2. 時間を決めて投与する
  3. 除痛ラダーに沿った投与す
  4. 患者の個別性に適した投与を行う
  5. そのほかに細かい配慮を行う

このような原則に沿って、患者にとって安全な方法で鎮痛剤を投与することが求められます。

3段階除痛ラダーについて

3段階除痛ラダーについて 日本緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインより引用
概要の説明をすると、除痛ラダーとは、痛みの強さを3段階に分けて、それぞれの痛みの段階に沿って鎮痛薬を選択する考え方です。

いずれの段階においても疼痛時のみに鎮痛薬を使用するのではなく、がん性疼痛の緩和の目的が達成されるように予防的に使用されることもあります。

  • 第1段階:軽度の痛みに対して鎮痛薬を使用されます。そのために、非オピオイド鎮痛薬やアセトアミノフェン、鎮痛補助薬が用いられます。
  • 第2段階:軽度から中等度の強さの痛みに対して使用されます。そのため、弱オピオイド鎮痛薬を使用したり、非オピオイド鎮痛薬との併用を行うことで鎮痛効果の増強を期待することができます。
  • 第3段階:中等度から高度の強さの痛みに対して用いられます。弱オピオイド鎮痛薬ではなく、強オピオイド鎮痛薬が使用されます。

看護師が観察するポイントは?

看護師が観察するポイントは?

最後に、がん性疼痛を訴える患者に対し、看護師が観察しておかなければならないポイントを解説していきます。

普段の生活に合わせて痛みはどのように変化するのか

がん性疼痛対する薬剤を使用する目的はQOLの向上ですから、身体を動かしたら痛くてどうすることもできないというのは、日常生活を満足に送れません。

そのため、普段の生活に合わせて痛みはどのように変化するのかを把握することで、どのタイミングで薬剤を使用すれば良いのかがわかるようになります。

ポイント!

ポイント

痛みの評価については先ほどの「ペインスケール」を用いてどれくらいの痛みを感じているのか把握しましょう。受け持ち看護師が変わっても、同一の評価方法を用いることで、継続した観察を行うことができます。

鎮痛剤の正確な「1日量」

がん性疼痛に対して薬剤を使用している場合、その1日量を正確に把握する必要があります。

どれくらいの痛みに対して1日量はどれくらいのなのかを把握することで、痛みは緩和されているのかどうかが判断できます。
痛みが緩和されていなければ、1日量を増量することでQOLの向上を図ることが可能でしょう。

レスキュー量も把握しておく

身体を動かした時に増強するなどの一時的に増悪する痛みに対して使用されるレスキュー量も把握することで、一時的に増悪する痛みを緩和されているかどうかが判断できます。

便秘や眠気などの副作用の程度

1日量やレスキュー量に対しては便秘や眠気など副作用があるかどうか、もし出ているのであればどれくらいの副作用なのかを把握することで、薬剤の量を調節することができ、患者のQOLの向上に繋がると考えられます。

副作用が緩和されなけれ1日量の減量を考慮する

薬剤の1日量やレスキュー量に対して副作用が出ている場合、まず副作用は対応可能かどうか、他の薬剤を使用して緩和できるかどうかを観察します。

例えば便秘の場合は普段より飲水心掛けてもらったり、身体を動かしてみたり、食後にトイレに行くように促してみたりと、できることから介入します。

それでも改善が見られない場合は薬剤の1日量の減量を考慮します。

まとめ

まとめ

今回はがん性疼痛について述べてきました。がん性疼痛に関する看護については、患者とともに痛みをコントロールできるようにするにはどうすればいいのか、痛みを無くすことが難しい中で、どうやって患者のQOLを向上させるために介入していくのか、といったより個別性が必要になっていきます。

また、患者のQOLの向上を目的として薬剤を使用しているのに、その副作用でQOLが低下してしまっては本末転倒ですので、患者にとっての「適正な薬剤の量」を常に模索し続ける必要があります。

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