病棟や外来で、薬剤師が直接患者指導を行うことが当たり前になってきました。薬剤師は、医師と同じ大学6年教育となり、あなたの周りにいる薬剤師は、看護師以上に専門性もプライドも高いのではないでしょうか。
看護師として薬剤師と医療現場で接する際や連携する際に困っていませんか。
薬剤師との関わり方のポイントを押さえることで、看護に効果的な連携を発揮することができます。
ここでは私の経験を踏まえて、看護師が病院薬剤師と連携するうえで必要なポイントや二者間に起こりうるトラブルの対処法についてご説明します。
看護師と病院薬剤師はどのように関わるのか
まず、看護師と病院薬剤師が医療現場でどのように関わっているのかをご説明します。
入院患者の服薬管理と指導
入院する患者はお薬手帳と内服中のお薬を持参します。
以前は看護師がお薬を確認していましたが、今は残薬量や飲み合わせなどお薬に関することは薬剤師が担当することが一般的です。
また、退院時の薬剤指導まで、薬剤師が対応してくれています。
患者に薬を服用させる際に情報交換・共有する
看護師は、薬剤師がチェックしたお薬を患者に服用させることになります。
ここで、看護師と薬剤師との情報交換と情報共有が必要になります。
実際にお薬が飲めているのか、飲みにくいお薬はないかなど、患者の服用状況を確認し、飲みにくいようであれば形状を変えてよいかどうかを薬剤師に確認することができます。
看護師の体験談
薬剤師が外来や病棟にいることで対応を確認することができるようになったことは、看護師にとっても患者にとってもプラスになりました。
内服抗がん剤などの外来連携
内服抗がん剤を服用する患者が増加し、お薬を開始する前に抗がん剤について説明することが増えました。
以前は、外来看護師や医師が冊子を渡していましたが、それだけでは、分子標的薬などの特異な有害事象が発生した時に対処できずに服薬中止になった例を経験しました。
お互いが自分の専門分野について説明する
上記のことから、お薬についての説明は薬剤師が行い、セルフケアの説明は看護師が対応することで、有害事象が早期に発見できるようになりました。
お互いが自分の専門分野について説明するため、説明に要する時間も短縮し、より患者にとって具体的な指導・支援につながりました。
緩和ケアチームやカンファレンスの中での関わり
私が参加していた緩和ケアチームや抗がん剤に関する委員会、キャンサーボード、診療科別がん患者カンファレンスなどには、必ず病院薬剤師も参加していました。
医師や看護師は多くの患者と関わるため、どの人がどの抗がん剤をどのくらいの期間使用しているか把握できにくい面があります。
しかし薬剤師がいることで、抗がん剤や麻薬を使用している患者の把握が適切に行うことができ、情報管理・共有が適切に行うことができました。
看護師の体験談
看護師と病院薬剤師が上手く連携するには
上記のように、看護師は病院薬剤師と連携することで様々なメリットがあります。
その効果を発揮するために、看護師が病院薬剤師と上手く連携するポイントについて、私の体験から紹介します。
同じプロとして意見交換をする
同じ患者を見る異職種スタッフとして、看護師の立場で情報を提供し、話し合う関係を構築することが、病院薬剤師と連携を上手に行うポイントの一つです。
薬剤師を決して上の立場に見ないことが大事
薬剤師が6年教育になり、さらに薬剤師はお互いを「先生」と呼ぶ習慣があるため、そう呼ぶ看護師もいます。
しかし、薬剤師を「上の立場」という視点でとらえてしまうと、お薬のことすべてを「お任せ」してしまうことになり、連携する関係ではなくなってしまいます。
ダブルチェックとして連携する
今は、抗がん剤を詰めるのは薬剤師の仕事になっている病院がほとんどでしょう。
薬剤師の中でもダブルチェックが行われていますが、実際に患者に投与する看護師にダブルチェックする役割があることを意識することも、薬剤師と上手に連携しあうポイントの一つです。
私が実際に経験した例
新人薬剤師が計算した時間投与量が間違っていたものの、受け取った看護師も「薬剤師さんが計算してくれたから」とそのまま確認せずに患者に投与したため、予定よりも投与時間がかかってしまったことがありました。
これは、新人薬剤師のヒューマンエラーを看護師も見逃してしまったことになります。
せっかく別の職種のチェックが入る大切な機会を、「チェックしてくれたから」という遠慮や気兼ねが無駄にしてしまったのです。
薬剤師が負担なく仕事できるか考える
看護師と違い、薬剤師の人数は限られ、病棟配属の薬剤師は一人か二人程度です。
多くは他の薬剤業務との掛け持ちで、病院で働く薬剤師はとても忙しいのが実情です。
そのため看護師と薬剤師が上手く連携していくためには、圧倒的に人数が少ない薬剤師がいかに負担なく仕事ができるのかを考える視点を持つことも、大切なポイントです。
薬の使用が決まった時点で連携する
私は、外来で分子標的薬の使用が決まった時点で、外来担当の薬剤師と連携しあい、どのタイミングで薬剤師が説明に入れるのかを確認するようにしていました。
お薬の詳しい説明はすぐにできなくても、薬剤師が入るまでにセルフケアを中心に説明することで患者の不安を軽減することはできます。
看護師と薬剤師間によくあるトラブルと対処法
ここでは、看護師と病院薬剤師の間によく起こったトラブルと、私が行った対処法をご紹介します。
口頭でお願いしたことを忘れてしまうトラブル
看護師も薬剤師も忙しいため、口頭でお願いしたことは「忘れた」ということが発生しがちです。
これは看護師・薬剤師でなくても発生する問題でしょう。
「言った」「言わない」はやめる
お願いしたことを薬剤師が忘れてしまっている場合、看護師が患者に対して「薬剤師さんがまだやってくれないから待っていて」ということを言うのだけは避けるように心がけましょう。
看護師からそういわれた後では、薬剤師と患者との間の信頼関係が構築しにくくなります。
薬剤師の返事が得られず患者を待たせてしまう時にも、薬剤師のせいにせずに、お待たせしていることを同じ病院のスタッフとして謝罪し、薬剤師に再度確認するようにしましょう。
薬剤師の説明の仕方を責めてしまうトラブル
看護師と薬剤師とでは、患者に説明する内容や量に違いがあり、患者の病状把握に関しても看護師ほどは深くはありません。
そのため、これからの治療について不安が強い患者に、薬剤師にとっては伝えねばならない副作用について詳しく説明した結果、さらに患者の不安が強くなってしまうこともあります。
結果、「患者さんの気持ちを考えて説明して!」と看護師が薬剤師の説明の仕方を責めてしまうというトラブルが挙げられます。
看護師ほど患者の特徴を知らないことを理解する
薬剤師は看護師のように一人ひとりの患者の特徴を知ってから、服薬指導に入るわけではないことを理解しましょう。
患者から不安の訴えがあった場合には、
と前置きしたうえで、患者の不安な気持ちに対処するようにします。
そのうえで、薬剤師を責めるのではなく、
と伝えるようにしてください。
事前に情報を提供して話し合っておく
患者に関して不安が強い、認知力が低下していることが事前にわかっている場合には、薬剤師にその情報を提供し、どの程度の説明が必要なのかを話し合っておくことも良いです。
場合によっては、患者本人だけでなく、家族がいる時間に薬剤師からの説明を行ってもらう調整をすることも可能でしょう。
説明の仕方を責めずにフォローすることも、トラブルを防ぐことになります。
薬剤師に何でも頼んでしまうトラブル
病院薬剤師は、看護師よりも少なく、年齢も若い人が多いです。
そのため、看護師が「これ、やっといて」「調べといて」という口調で、若い薬剤師にお薬の管理を依頼していることを見たことがあります。
薬剤師に何でも簡単に頼まない
看護師も患者の服用しているお薬について自分で調べる意識をもつことが必要ですし、「お薬のことだからお願い」という態度では、薬剤師とうまくコミュニケーションをとることができません。
お互いを尊重する言葉つがいや態度を示すこと
同じ職場で、同じ勤務内でお互いが効率よく仕事をするためには、気持ちよく仕事に取り掛かれるように、年齢や人数の多さなどで薬剤師に圧力をかけずに、お互い尊重する言葉遣いや態度で接することがトラブルを避けることになります。
最後に
私はがん治療を通して薬剤師と連携するようになり、薬剤情報や有害事象を判断する検査データの見方などの知識が増えてとても勉強になりました。
逆に私も、薬剤師が苦手なセルフケア支援や不安に対する対処を行うことができました。
看護師と薬剤師がうまく連携することは、医師から一方的に薬剤投与の指示が出たときに、お互いがタッグを組むことで薬剤使用を再検討してもらうことが可能となることもあります。
お互いの「プロ」としての視点に立って連携しあうことで、より良い医療を患者に提供できるようになるのです。
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