初めての透析室勤務で看護師が驚いた体験談

一般病棟と透析室は、隣接していながら足を踏み入れる機会が少なく、実際に透析室勤務を経験してみないとどんな仕事をしているのか全く想像がつきません。

特殊な機器操作をする場面も多く、一般にイメージする看護師像とはかけ離れていると見られているのではないでしょうか。

しかし、血液透析を受けている患者は年々増加しており各病棟に数名は透析治療を行っている患者を見かけます。

そこで、私が一般病棟勤務から転職して透析室の看護師となった時に感じた驚く実態を紹介します。

透析室で働こうと思っている、興味があるときの参考にしてみてください。

ちろん、私が勤務した透析室のため、病院によって違いがあります。また、詳しい仕事内容に関しては「透析室経験6年の看護師にインタビュー!給料事情や仕事内容について」を参照してください。

透析で使用する針が太すぎること

病棟や外来では、穿刺針の選択として血液検査に22G~24G、輸血に20Gが一般的です。

人工透析ではバスキュラーアクセスへの穿刺針として一般的なものは16Gとなります。多く使用される22Gの約0.72mmに対して、16Gは1.65mmとおよそ1mmもの差があります。

留置針に刺し慣れている看護師としては、太く長い透析用の針はとても衝撃的です。

新人看護師は臨床工学技士からも指導を受ける

透析室は機械操作による人工透析の管理と患者の全身管理が主な業務です。

基本的に機械操作とそれに付随する事象については専門である臨床工学技士(CE)に教わります。

バスキュラーアクセスへの穿刺も技士が看護師へ教えるといる所もあります。

私は透析室で働くことで、技士がバスキュラーアクセスに限って針刺しが出来るということを知りました。

透析室のスタッフも患者も時間に厳しい

透析室は時間に厳しいと聞いたことはありませんかでしょうか。

実はその通り、スタッフも患者も1分単位の時間にシビアなのです。

透析は必ず定時で始まり、透析時間は決して1分として短くなったり長くなったりしません。

特に外来通院で維持透析を行なっている患者は時間に厳しく、1分でも終了時間が遅くなると怒ってくるなんて事もよく見る光景です。

看護師などスタッフ側も透析の開始と終了時間では特に時間に追われています。

透析室では体重計算がとても細かい

基礎体重と増加量は血液透析においてとても重要なものです。

私たちは日常的に体重が50kgでも51kgでもそんなに変わらないし、小数点以下なんて気にしません。

しかし、透析においては100g単位で除水計算し、体重管理をしていきます。

着用している服がいつもより一枚でも多いとなった時は、服の重さを測り直すということは当たり前です。

着衣の量が大幅に変わる夏と冬で基礎体重を変える対応をすることもあります。

透析での針を刺す角度がほぼ直角であること

点滴のルート確保や採血など、病棟では針を刺す場面が多々ありますが角度は15~30度くらいと習ったのではないでしょうか。

バスキュラーアクセスへの穿刺は60度くらいで行う事もあって、非常に驚きました。

バスキュラーアクセスにしか穿刺を行わない透析室の技士の多くは針の持ち方が鉛筆のようで見慣れないということもありました。

透析患者の血圧の変化が激しい

透析導入期の患者の血圧を見ると驚くほど高いということがあります。

病棟勤務の時は収縮期血圧が180mmHg以上になる患者はほとんど見かけない、もしくはそこまで高くなる前に薬剤で調整します。

血液透析では、急激な除水を伴うため透析開始時に180以上もあった血圧が100ほどまで低下し、ほんの5分たらずの間に測定不可になる程血圧の下降が起こることがあります。

反対に、2日空いて透析をする時の患者は体内の水分量が多く溜まっているため血圧が200を超すという事もまれに見られます。

最初は驚きますが、維持透析をしていく中で管理やコントロールを行い徐々に血圧は全身状態とともに安定しきます。

夏と冬の気温差で顕著に平均血圧が変動するという患者も多く見られますが、多くの場合は季節の移り変わりの中で降圧剤の増減を行いコントロールしていきます。

透析室には忙しい時間帯は1日2回あること

透析室は比較的、忙しい時間帯とゆっくり出来る時間帯がはっきりとしています

それは透析開始時と透析終了時です。

開始時間になると各自ペアで分担し、担当患者の開始に入ります。終わったら次の患者へ、というように次々と開始をしていきます。

例えば50人程度の患者の開始を行うとしたら、1時間30分程度で全員の開始が終了するイメージです。

透析開始後は、30分~1時間で定期的な血圧測定と全身状態のチェックを行うのですが機械操作がほとんどなので簡単な作業となります。

2回目の忙しい時間帯は終了時間です。

血液透析では、3~4時間の透析指示患者が多いので、多くの患者は終了時間が重なります。終了時間が始まるとスタッフは動きっぱなしです。

大変そうと思いますが、2つの時間帯を除いてはゆったりとした業務のため病棟とは違い、メリハリがついている場所という捉え方もできます。

透析室は非常に暑い場所だということ

病棟勤務のときも感じていましたが、真夏のように室内が暑いのです。

寝ていることが多い患者に合わせた室温設定となっているため春夏秋冬関わらず、病棟勤務の看護師は常に暑さを感じながら仕事をしている看護師は多いでしょう。

透析室はその域をさらに超えて暑いです。

ワンフロアの透析室が多く、空調が個室のように細かくコントロール出来ないことが原因の一つとして挙げられます。また、一つのフロアにいる患者数が多いこともそうですが患者一人あたり一台のコンソールから出される機械熱も原因の一つです。

患者は臥床しているので寒い寒いと言っていますが、その横で汗水垂らしながら働いているスタッフがいるという場面が顕著に見受けられます。

最後に

従来の透析室は暗い・血生臭い・酸っぱいにおいがする、といったマイナスのイメージが多くありました。

現在は透析液や環境整備が整ってきています。

機械操作に強くなければ透析室看護師は務まらないという声も聞かれますが、実際に働くと軽作業が多く病棟よりも身体的負担は少なくなります。

透析患者がますます増加する中で、透析医療の需要や多様化が進んでいます。

関心が少しでもある看護師は、透析室を覗いてみることや実際に働く看護師の話を聞くのも良いかもしれませんね。

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