看護師の仕事の中で「眼科」は特殊な科であると位置づけられており、「仕事が楽である」「清潔で綺麗な仕事が多い」「残業が少ない」「ストレスが少ない」などのメリットを感じている看護師も多いです。
しかし、眼科には他の科の看護師にはない眼科ならではの悩みが存在するのも事実です。
眼科経験20年以上の私が眼科看護師として働いて感じた悩みや、その解消方法について説明していきます。
看護師としての悩み
何を勉強したら良いのか分からない

眼科は他の科と比べて看護師本来の仕事とはかけ離れた仕事が多く、看護学生時代に詳しく学ぶ機会はほとんどありません。そのため、眼科へ転職後、「何を勉強したらよいのか分からない」と途方に暮れるケースが多いのではないでしょうか。
眼科の看護師が勉強法に悩んだら、まず行うべきことは、新人向けのわかりやすい参考書を手に入れることです。私のオススメは、「メディカ出版」が毎月刊行している「眼科ケア」という雑誌です。
ここには、眼科で知っておくべきことの基本中の基本がわかりやすくまとめられていますので、「眼科看護」という未知の世界を歩くための地図の役割を果たしてくれます。
目の解剖・代表的な疾患の知識・基本的な検査の概要等も勉強しよう
眼科看護師として最低限、知っておいて欲しい知識としては以下の項目が挙げられます。
| (1)目の解剖 | 各部位の名前や機能について |
| (2)代表的な疾患の知識 | 白内障・緑内障・糖尿病網膜症・網膜剥離・加齢黄斑変性など |
| (3)基本的な検査の概要 | 視力検査、視野検査、眼圧検査など |
こういった内容を勉強しておき毎日仕事に励んでいれば、そのうち全容がわかってきて次に自分が何をすべきなのかが予測できるようになります。
また、教えてもらった内容は後できちんと復習して知識や技術を自分のものにし、次からは一人で行えるように勉強しておくことも重要です。
疑問に感じたことはすぐに調べ、先輩にも確認する
眼科の看護師が疑問に感じたことは、自分で調べるなり先輩に確認するなりして、勉強していくことも大切です。
私の経験上ですが、眼科の仕事内容はパターン化していることが多いためか、先輩看護師の中には新人への説明を省略してしまう看護師が多い傾向にあります。
疑問に感じたことはすぐに調べ、先輩にも確認することで、理解を深めることが「気づき」につながり、ミスや思い込みを防ぐことにもつながります。
看護師としてスキルアップが難しい

眼科では、看護師らしい仕事は少なく一般的な看護師としてスキルアップができないのは明らかです。
眼科看護師は注射や点滴の数も限られていますし、一般病棟で行うような排泄介助、体位変換、清拭などの一般的な看護業務も、ほぼないと言えるでしょう。
しかし、眼科看護師としての経験を積むことはできます。
眼科看護師としての道を極めるのだという決意をしてしまえば、「スキルアップできない」という悩みに惑わされず、今の仕事にまい進することができます。
ここで重要なのはあなた自身が将来どんな看護師になりたいかということです。
看護師らしい仕事でスキルアップしたい場合
「看護師らしい仕事がしたい」「看護師としてスキルアップしたい」という思いが強いのであれば、早めに他の診療科への転職を考えたほうが良いでしょう。
理由としては眼科で学ぶことができる「看護師の仕事」には限界があるからです。
方向転換をするのであれば、できるだけ若いうちに行った方が新しいことを吸収しやすいですし慣れるのも早いでしょう。
私の知り合いには、今後眼科看護師としての道を極めたいがゆえに一度、他の科の看護師の仕事を経験して再び眼科に戻ったという人もいます。
彼女曰く、結果的には、より広い視野から眼科疾患をとらえることができるようになったし、また自分にはやはり「眼科が一番合っている」という確信が持てて迷いがなくなったとのことでした。
仕事内容に関する悩み
眼科の検査器械の操作が難しい

眼科へ転職した看護師には「検査器械の操作が苦手」と悩む看護師もいます。
最初のうちは、むしろうまくできなくて当たり前だと考えておきましょう。
眼科の基本的な検査の理論や操作方法を学んだら、できるだけ多くの人に患者役になってもらい検査器械に沢山触れて操作に慣れるようにすることで簡単に解決することが可能です。
手術の介助が難しい

特に20床以上の病院に勤務する眼科看護師の場合、手術の介助が難しいという悩みを持っている看護師も多いです。
手術介助が「悩み」である看護師は、
- 何度もシミュレーションを繰り返し慣れること
- 術野をよくみて先を見越し、あらかじめ準備をしておくこと
以上が、克服するコツだと言えます。
眼科手術の介助に関しては、基本的なパターンは同じなため、苦手な人でも回数こなせばスムーズに行えるようになるはずです。
不慣れなうちは、集中し落ち着いて、確実にやるべきことをこなしていきましょう。
外回り看護師の仕事は、器械本体とチューブ類の接続をしっかり行うこと、患者さんの状態に常に注意を払うこと、眼内レンズを間違いなく提供することなどがポイントになります。
ORT(視能訓練士)との関り方が難しい

病院・クリニックどちらでも、ORT(視能訓練士)と看護師との関係性は様々であると言えます。師長の看護師がメインで働いているケースもあれば、視能訓練士のトップがメインの職場もあります。
例えば、眼科検査を実施することに重きが置かれ、看護処置は補足的な仕事であると捕らえられるため、看護業務より検査業務を優先せねばならない、などといった具合です。
眼科看護師は視能訓練士との関りなしで眼科業務をこなすことは困難です。
そのため、看護師は眼科検査の大先輩として、視能訓練士から注意や指導を受けた際には、謙虚に学ぶ姿勢で仕事を行っていくことが重要となります。
最後に
20年以上眼科を経験しても、どんなに勉強しても、私自身まだまだわからないこと、知らないことが沢山あると言えます。
しかし、私は一つ一つ眼科看護師である悩みを解決していくことで、少しずつスキルアップしてきていることも、実感できています。
医師や患者に「さすが」と言われる眼科看護師をめざして日々さらに精進していくために、皆さん頑張りましょう。


コメント