ユニット型特養(新型特養)の看護師の役割と働いた体験談

ユニット型特養は、新しいタイプの特養(特別養護老人ホーム)として近年人気があります。

介護系のメディアでも特集が組まれることが多く、介護福祉分野に従事している人や要介護者を抱えている家族でも知っている人が多いことが特徴です。

ここでは、ユニット型特養(特別養護老人ホーム)とはどういったところか、看護師としてどのような働き方をすることができるのかについてご紹介します。

ユニット型特養(特別養護老人ホーム)とは?

ユニット型特養(特別養護老人ホーム)とは?

ユニット型特養(特別養護老人ホーム)とは、どのような場所なのでしょうか。以下では、私が働いた経験があるユニット型特養について説明していきます。

ユニット型を導入している新型特養

ユニット型特養とは、ユニットケアを行う特別養護老人ホームとなり、新型特養とも言われます。

ユニットケアとは、少人数のグループをユニットという1つの生活単位に分け、1ユニットに対して専用の居住空間と専用の職員を配置する制度で、ユニット型を導入している特養がユニット型特養です。

ユニット型特養は、普通の特養よりも生活規模を小さくし、関わる職員の人数を限らせることで家庭的な雰囲気を作り出し、よりきめ細やかな介護が展開できることが特徴です。

プライバシーが守られる

大部屋で展開される特養と比べるとユニット型特養は、プライバシーが守られることも特徴で、感染症の蔓延を防ぐことや、認知症高齢者の徘徊が減ったというデータもあります。

また、ユニット型特養では、レクリエーションなど団体で過ごせる部屋も用意されており、まさに介護施設のいいとこ取りをしていると言えるでしょう。

看護師の給料事情

施設によって値段に差があることから一概には言えませんが、ユニット型特養の看護師の給料は、通常の特養よりも1.5~2倍ほど給料が高いところが多いことが特徴です。

給料に差が出る理由としては、「入居者が払う費用がユニット型の方が高い」「個室・少人数単位できめ細やかな看護を展開しなければならない」ということがあります。

ユニット型特養では、パートを募集しているところが多く、時給1,800円~2,000円と一般的な特養よりも数百円程度高いところが多いです。

ユニット型特養で働く看護師の役割

ユニット型特養で働く看護師の役割

看護師がユニット型特養で働く際の役割を私が働いた経験から、お伝えしていきます。

ユニット型特養の看護師の業務と特養の看護師の業務は、ほぼ同じであり介護士からの相談を受けたり、経管栄養や与薬などの医療的な処置を行ったり、医師に相談あるいは病院への搬送の業務を行います。

業務内容や仕事内容に関しては「特別養護老人ホームで働く看護師の仕事内容、3人の体験談」を参考にしてください。

私が勤務したユニット型特養では、おむつ交換などの日常生活援助に関わる業務を行うことは少なく、嚥下障害のある方の食事介助くらいになります。

しかし、ユニットケアは、入居者の尊厳を重視したケアの実現のために作られたため、個人のプライバシーを尊重したケアを行うことが重要視されます。

そのため、看護師の人数配置の問題から1ユニットに対して看護師1人が配置されることは少なく、看護師は数ユニットを受け持つか、ナースステーションに待機し全ユニットの相談をまとめて引き受けるところが多いです。

また、ユニットは、自分が受け持ちの利用者をしっかりと観察できていることが多く、求められる意見や相談内容が高度であるということも普通の特養ではなくユニット型ならではの特徴となります。

ユニット型特養で働いて感じたこと

ユニット型特養で働いて感じたこと

ユニット型特養で働いた経験を元に、看護師としてのメリット・デメリットを説明していきます。

利用者を覚えやすい

一般的な特養では、看護師もほぼ全員の利用者の顔と名前、内服している薬などを覚えなくてはならず、かなり大変です。

しかし、ユニット型特養の場合は自分(看護師)が担当する利用者のことを覚えれば良いため覚えやすく、ミスも少なくなりました。

注意点として、私が勤務したユニット型特養は担当制でしたが、働く施設によると思います。

利用者と関われる機会が増える

私が勤務したユニット型特養では、医療行為の有無にかかわらず自分の受け持ちユニットは皆覚えることが多いため、医療行為がない利用者とも関わることができます。

私の経験上、様々な利用者と関わることで医療的なことでなくても、その利用者から学べることがたくさんあり、医療行為などがないと、そうでない人とよりも関わりやすいと感じました。

介護士に質問される機会が増える

ユニット型になると、介護士の利用者を見る人数が少なくなり、介護士は1人1人の利用者をじっくり見ることができるため、介護士は普段気にならないような些細なことでも気になり、看護師にどんどん質問するようになります。

利用者・勉強のために質問することは良いことですが、何人もの人に質問することで自分の仕事が止まってしまい、さらには「そんな些細なことで質問するの」等と思われてしまい、苛立ってしまう看護師もいるでしょう。

部屋への移動が増え体力的に辛い

従来の特養は、「多様な処置が必要な人」「似たようなADLの人」等が一部屋にまとまっている傾向にあるため、一部屋に用事のある利用者が全て入居していれば一部屋に入るだけで用事をすべて終えることができました。

しかし、ユニット型特養は個々に部屋が異なるため用事がある利用者全ての部屋に訪室しなければならず、一部屋一部屋を訪室して回ることは結構な体力と時間を消耗するため、普段よりも動くことが多くなり、体力的に辛くなることがデメリットでした。

プライバシーの配慮が面倒

ユニット型特養は、プライバシーが配慮されていることから、家族も期待して一般的な特養ではなくユニット型の特養へ入所させるため、ユニット型特養では特にプライバシーへの配慮を求められます。

例えば家族が来ている時間に「プライバシーが漏れてしまうような会話を廊下でしてしまう」「部屋の外から大声で利用者を呼ぶ」等をすれば大問題となってしまいます。

最後に

ユニット型特養は、新型特養とも言われ今後も増えていくことが予測されます。

看護師として転職を希望する場合は、ユニット型特養の中には日勤常勤を積極的に受け入れているところもあるため、「夜勤をやりたい」「夜勤を避けたい」等、自分のライフワークバランスを考慮しながら求人をチェックしておくことが必要です。

また、看護師が比較的多く配置されている場合は、ユニットごとに看護師を配置することができますが、極端に看護師数が少ないと看護師は全利用者をまとめて診なければならず、ユニット型にせっかく転職したことも無意味になってしまいます。

そのため、一般的な特養と異なる良い点が多くある一方で看護師の働き方は、一歩間違えると一般的な特養と同等となってしまう可能性もあります。

注意点としては、事前に看護師の配置人数や看護師の配置の方法は確認しておくと、働くイメージしやすいでしょう。

ユニット型特養本来の特徴を生かして働けるよう、転職の際には看護師の働き方についてしっかりと情報収集しておくことをお勧めします。

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