それぞれの診療科が独立した外来はよく見かけますが、内科外来は主に大学病院や総合病院のような大規模な病院に設置されていることが多いと言えます。
私が勤務していた内科外来では、消化器内科、神経内科、内分泌内科、心療内科、一般内科など、内科疾患にかかわる診療科で構成されている部署でした。
内科外来で私が働いた経験をもとに、仕事内容や働いて感じたことを説明していきます。
看護師の仕事内容

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私が勤務していた内科外来の看護師は、限られた時間の中で不特定多数の患者にスムーズに対応し、診察や検査、処置へと導くこと、患者のケアを行うことが主な仕事となります。
私の経験をもとに内科外来で働く看護師の仕事内容について詳しく説明していきます。
患者の案内・誘導・問診
私が勤務していた内科外来には様々な診療科の診察室がいくつもあり、エリアが広範囲でした。
そのため、受付後に適切な手順で患者が診察を受けられるよう、待合室・診察室・処置室などへ誘導し、患者がスムーズに移動できるように案内・誘導を行うことが内科外来の看護師の仕事でした。
また、受付時に記入してもらった問診票を見ながら、詳しい症状や診察時に必要な情報を確認し、診察前にバイタルサインの測定を看護師が行います。
看護師の体験談
そのため、看護師として対応するための広い知識(検査や手術に関する諸注意)と看護技術(採血や点滴・注射など)が必要になり、内科外来では病棟と比べて即戦力を求められ、病棟経験者が好まれる傾向がありました。
医師の診療補助
内科外来で働く看護師は一人一人診察室を担当し、医師の診療補助を行うことがメインの仕事になります。
診察補助としては、
- カルテの受け渡し
- 問診内容の医師への伝達
- 患者のサポート
(例:聴診時に患者の衣服を上げる、患者がベッドに横になるのを手伝う) - 医師の処置介助
(例:腰椎穿刺)
など、医師が診察しやすいように看護師が動きます。
緊急入院の手続きと病棟への申し送り
外来受診後に入院の必要がある患者はそのまま緊急入院することもあり、看護師は患者や家族への説明後、患者をストレッチャーまたは車いすに乗せて病棟へ移動します。
病棟の看護師へは、患者の症状や経緯、外来で実施済みの検査結果、患者の社会背景など、病棟での看護に必要な情報を申し送ります。
看護師の体験談
また、全ての医師ではありませんが、自分のやり方(例えば、患者を呼ぶタイミングや処置介助の手順など)に沿わない看護師にはきつく当たる医師も少なからずいました。
私は出来る限り医師のやり方を注意深く観察し、スムーズに進むようサポートするように心がけ、患者への質の高いケアとなるように動いていました。
診察後の患者の処置
看護師は診察後、患者を処置室に案内し、医師の指示により必要な処置を実施することが仕事になります。
主に注射、点滴の他に、皮内アレルギーテストや尿素呼気試験、術前患者には自己血採取など、処置内容は多岐に渡ります。
また、体調の悪い患者は処置室のベッドに案内し適宜経過をみます。
看護師の体験談
副作用の厳重なチェック、薬剤の確実な投与など、緊張感がかなりありました。
患者への検査の説明・手術前のオリエンテーション
内科外来では、患者の検査説明は看護師が行う仕事の一つです。
主に、
- 検査前後の食事の注意点
- 当日の服装
- 内服の可否
など、患者へ事前説明を行います。
また、患者が手術入院する場合は、入院当日の時間や持ち物、手術前後の処置や入院スケジュールなども伝えます。
働いて感じたこと

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私が内科外来で働いて感じたことを説明していきます。
患者の継続看護にやりがいを感じた
私は、内科外来で慢性疾患を持ちながら生活している人の継続ケアが出来ることに、看護師としてやりがいを感じました。
内科外来では定期的に受診する患者が多いため、患者と「点」ではなく「線」として関わることがで、生活に根付いた継続看護を実践できたと思います。
例えば、
- 患者の体調変化を観察すること
- 患者へ困っていることを尋ねること
などで、患者が病気を持ちながらも生き生きと日常生活を送れるような継続的な手助けが可能となります。
また、外来受診のたびに顔なじみになり「いつもいる看護師さん」と認識してもらうことで、症状や薬の相談を受けることや頼られる事も多かったです。
自己学習は必要になる
私が内科外来では、日ごとに担当の診察室が変わり、関連する全ての診療科の幅広い知識が求められ、常に勉強が必要でした。
また、患者に説明する機会も多く、自信をもって対応するためや診察時に医師とスムーズな意思疎通を図るために、日ごろから分からないことは自分ですぐに調べることを行っていました。
内科外来の看護師は「ここまで勉強すれば良い」ということがないため、働く上で一番負担でした。
内科外来の向き不向きはある
内科外来で働いた看護師たちは、「夜勤がない」「定時で帰れる」などの条件で勤務している方もいました。
しかし、内科外来を看護師として続けていくためには、
- 慢性疾患に興味がある方
- 外来での継続看護がしたい方
- 丁寧な接遇が行える方
などが向いていると、私は思います。
実際にやりがいを見いだせず、退職や転職していく看護師も多い印象でした。
看護専門の内科外来もあった
私が勤務していた病院の内科外来には看護師専門の内科外来があり、主に以下の通りです。
| 禁煙指導 | 喫煙者向けの禁煙指導プログラム |
| HOT指導 | 在宅酸素使用患者に対する在宅酸素の使い方や注意点の指導 |
| 糖尿病指導 | 血糖測定器の使用方法やインシュリン注射の打ち方、低血糖時の対処方法の説明 |
| フットケア指導 | 糖尿病患者へのフットケアの指導 |
私も内科外来に転職してから知ったのですが、勤務したいと考えている病院の内科外来に何科が設置されているかを事前にチェックすることで、自分の専門知識を生かせる可能性が高まると思います。
最後に

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内科外来で働く看護師には、多科に渡る知識が求められます。
常に勉強が必要となりますが、日々の自己研鑽を積むことで多くの患者に対応できるようになり、患者からの信頼感にもつながる仕事だと私は感じます。
内科外来は病棟でのケアと比べて短時間で完結するため患者との関係性を築きにくいと思われますが、実際に働いてみるとそのようなことはありませんでした。
看護師としてケアの方法や患者への対応を工夫することで、密度の濃い継続看護を実践することが可能となり、私にとって患者の日常生活を支えることが出来たのは大きな喜びでした。
興味がある方は内科外来への転職も選択肢の一つに入れてみてください。


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