私が看護師免許のほかに一番先に取った資格は、消化器内視鏡技師資格でした。消化器内視鏡技師をとったのは、今から15年以上前になり、3回認定資格を更新しました。
資格取得時期 | 1999年5月 |
取得時の勤務先 | 一般病院(150床) |
当時の役職 | 内視鏡室の責任者・関東消化器内視鏡技師会の役員 |
このページでは、私が消化器内視鏡技師資格を取るまでの経験と、取得してから体験したことについてご説明します。(また、私は、関東消化器内視鏡技師会の役員だったことがあり、技師試験の立ち合いを数回したこともあります。)
内視鏡に関わるきっかけ
私が内視鏡に関わるきっかけは、働いていたクリニックで内視鏡検査の介助を行うようになったことです。
最初は、以前から在籍していた看護師の方から内視鏡の洗浄や介助の仕方を教わり、いわれるままに対処していただけでした。
しかし、2年間クリニックで検査介助を行う中で、
- 「本当にこのやり方で良いのだろうか」
- 「ただ、検査につくだけで看護師としてやれることはないのか」
という疑問がわき、もっと内視鏡のことを知りたくなりました。
そのため、私は一般病院(150床)に転職することを決めました。
そのクリニックの医師も資格はありましたが、私は「資格を取るなら色々勉強してから」と思い、一般病院に転職する道を選びました。
一般病院の内視鏡室へ転職後
転職した一般病院の内視鏡室は、小さいながらも、上部・下部・ERCP検査と治療、PEG造設、胆道鏡や気管支鏡などの介助を経験することができました。
消毒方法も以前勤めていたクリニックとは違い、処置器具の多さにも驚きました。
私は「もっと、勉強をして、安全な方法で患者さんに内視鏡検査を受けてもらいたい」と考えるようになりました。
資格取得を目指した経緯
内視鏡室へ転職して半年が経過したころ、私の上司(看護師)が、他の部署の立ち上げで異動となり、私が内視鏡室の責任者となることになりました。
私は、半人前であることを自覚しており、消化器内視鏡技師の資格を取得すれば、以前の上司(看護師)のように誇りと自信を持ち、仕事に取り組めるのではないかと考えました。
そのため、上司(看護師)の移動によって、私は消化器内視鏡技師資格をめざす覚悟をしました。
消化器内視鏡技師になるために
消化器内視鏡技師になるために必要な、明確な検査・治療数は決まっていませんでした。
- 消化器内視鏡部門で消化器内視鏡専門医の元で、2年以上勤務した証明ができること
- 内視鏡機器取扱い講習会に1回以上出席していること
- 技師研究会などに2回以上出席していること
などの書類を提出し、書類審査を受けることになります。
そのため、転職した病院だけの経験では、実際に資格取得を目指すまで3年近くかかってしまうため、以前勤務していたクリニックの医師に勤務証明書をお願いする必要がありました。(私の場合は、クリニックの医師が指導医を持っていたこと、円満退職だったことなどが幸いして、書類を書いてもらえました。)
しかし、内視鏡検査を担当している医師が専門医でなければ内視鏡部門の経験を積んでも、消化器内視鏡技師になる道が開けません。
消化器内視鏡技師になりたいと思い、内視鏡部門に勤務するときには、医師の資格をチェックすることが大切だと感じました。
講習会・研修会に参加
消化器内視鏡技師になるためには、先ほど説明した「2回以上の内視鏡研究会(学会)の出席」と、「1回以上の内視鏡機器取り扱い講習」を受ける必要があります。
講習会や研修会の日程が限られているため、試験を受けることが出来なくなると感じ、まず一番に日程をチェックしました。
仕事と勉強を両立しやすくするために、研究会や内視鏡機器取り扱い講習会の日程も年度初めには計画され発表されています。
試験勉強は主に実践から学ぶ
消化器内視鏡技師の勉強は、新しい知識を身に付けるというよりも、それまでの実践の根拠を再確認する勉強になります。
そのため、ただ仕事で検査介助くのではなく、患者さんに挿入された内視鏡から得られる情報が何なのかを学び、解剖生理を身に付けることで勉強を行いました。
私は実践から学び、その後の試験勉強で再確認することが、知知識と技術が自分の中で落とし込まれて、いつになっても忘れない方法だと思いました。
手術室での腹腔鏡を用いた手術の外回りも経験した
さらに心配性の私は、できる限り試験に出る検査や治療は体験したいと考えました。
私は、内視鏡室の責任者という立場であるため、手伝いに来るスタッフなどに聞かれた際にきちんと答えられる技師になりたいと思っていました。
そのため、医師や看護部長に相談し、手術室での腹腔鏡を用いた手術の外回りも経験し、消化器内視鏡技師になるためにできる限りの経験をさせてもらえるように働きかけました。
この「自分の目で見る」という経験はとても役立ち、試験に出る腹腔鏡検査についても苦手意識を持つことはありませんでした。
腹腔鏡については、試験に出る割合も少ないのですが、他のスタッフが技師試験を受ける際に「腹腔鏡が出ると不安」と話していたので、見学する・経験する方法で試験対策できたことは大変でしたが、とても私の身になったと思っています。
書類審査に合格
私は、書類審査に問題なく合格し、2次試験(筆記試験)が3月となりました。
しかし、件数や処置の多さは、書類審査上の強みになります。資格取得を目指すなら、医師をはじめ周りのスタッフの協力も得て、できる限り検査だけでなく治療や処置にも介助に入っておくことは重要だと感じます。
筆記試験勉強を開始
2月から(試験1か月前から)繰り返しテキストと練習問題を繰り返しました。
消化器内視鏡技師の試験は、「ひっかけ問題」のようなものは少なく、テキストに目を通しておけば答えられる内容です。
また、テキストを見ながら、内視鏡の構造、洗浄、消毒について実際にやってみることが、仕事と勉強の両立になりました。
短い期間ですが、
- 数をこなすこと
- テキストを見ながら確認し、実施すること
で、出題率が高い問題の傾向も見えますし、業務と勉強がリンクし記憶にとどめてくこともできました。
消化器内視鏡技師の試験に合格
無事に私は消化器内視鏡技師の試験に合格することが出来ました。
資格を取ることで、自分が2年以上内視鏡業務を頑張ってきた証であり、自信になったことを今でも強く覚えています。
資格を取得して私が感じたメリット
専門分野で働き続けることができたこと
私は、ERCP関連の検査や処置がとても好きで、その検査や処置の介助を心行くまで仕事として関わることができたことは、とても幸運だったと思っています。消
化器内視鏡技師をとったことで、その後転職した際にも、内視鏡室勤務で仕事を続けることが出来ました。
検査を受ける患者に寄り添う技術が身についたこと
内視鏡検査は、苦痛を伴う検査です。
そのため、私は資格取得後に少しでも患者さんの苦痛が軽減できるように、体位を工夫したり、タッチングを取り入れたり、看護記録を活用したりと、スタッフと話し合い看護技術を高めていきました。
検査や治療にかかわる看護師は、医師の影で見えなくなりがちですが、
- 「ここは看護師さんが優しいから検査を受けに来た」
- 「説明しなくても、分かってくくれている安心感がある」
といった言葉を、患者さんからもらえた時は、看護師として嬉しかったです。
研究発表が増え苦ではなくなった
消化器内視鏡技師となり、医師との仕事が増えると、「あなたもどこかで発表しなさい」と言われることが増えます。
最初は院内の研究発表でさえ苦痛でした。
研究発表の資料に注意を受けて再提出することや、歯がゆく悔しい思いをしました。
しかし、その経験を乗り越えたことは、私の自信となり、研究発表をすることの度胸も据わりました。
管理業務に興味がわくようになった
内視鏡技師は、感染管理や物品管理、患者のデータ管理なども担当することになります。
ただ、内視鏡をきちんと扱いたい、患者さんが苦痛なく検査を受けられる援助法を身につけたいから始まった私ですが、徐々に、それを支える管理業務の大切さも学びました。
内視鏡の安全をどう視覚化すべきか、スタッフの感染対策はどうか、介助方法の統一化はどう図るべきかなどなど、安全に検査を提供するための管理業務の楽しさを知ることができたのも、内視鏡技師になって、責任をもって仕事に携わることができたからだと思っています。
最後に
消化器内視鏡技師の資格取得までの道のりと、資格取得後に感じたメリットを説明してきました。
少しでも皆様が消化器内視鏡技師に興味を持っていただければ幸いです。
また、内視鏡部門に興味があり、今、内視鏡室などの部門で働いている看護師の方は、是非、内視鏡技師を目指し、計画を立ててみてください。
技術向上は看護師としても強みになると感じます。
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